
- 自転車のチェーンはどうやって洗ったらいいのだろう?
- どんなアイテムを揃えたらいいのだろう?
- キレイにするコツってあるのかな?
- 注油のやり方を教えてほしい
…こんな疑問に答えます。
【この記事で分かること】
- チェーンの掃除がなぜ大切か?
- どのくらいの頻度で洗ったらいいのか?
- チェーン掃除で使うアイテム一覧
- オイルの注油方法
- “洗車”に関するよくある質問

自転車ショップでの勤務経験を持ち、無数の洗車経験を持つ私が解説します!
私のノウハウは、ワコーズケミカルさんから教えてもらったことが多いです。
本記事を最後まで読めば、チェーン掃除に対する知識がグッと深まりますよ。
チェーン掃除がなぜ大切か?

具体的な手順を解説する前に、「掃除の大切さ」についてお伝えします。
以下の説明文を読めば「なるほど。だから掃除が大事なのか。」と実感するはずです。
掃除のメリット
チェーンを洗うメリットは主に2つ。
…これが本質的な理由です。
「見た目をピカピカにするため」というのは、あくまでも表面的な理由なのです。
チェーンの寿命を延ばす

掃除をしないとチェーンの寿命が一気に縮まります。
溜まったゴミが“研磨剤”と化し、金属をゴリゴリ削ってしまうからです。
掃除をしてごみを取り除き、チェーンがスルスル動く状態がGOOD。
チェーンの寿命はおよそ3-5000km程度。
変速段数が多くなるほど“短く”なる傾向があります。
ただしこれはきれいに使った時の話で、汚れが多いと通常の半分程度の寿命になることもあります。
タイヤに空気を入れないと劣化が激しくなるのと同様に、チェーンも手入れが必要なのです。
走行パフォーマンスの向上

チェーンの掃除をすると走りもよくなります。
チェーンを掃除する頻度は?

チェーンを洗う頻度は「300-500kmごと」が一つの目安です。
=オイルが切れて注すタイミングを意味します。
あるいは、あまり乗らない方は「月に1回」は掃除&注油をした方がいいですね。
オイルを注す時に必ず掃除も一緒に行います。
オイルによって耐久性(切れるまでの距離)は変わりまして、ドライ系で300km程度、ウェット系で500km程度持つ印象です。
そうなったら…そうなる前にはメンテナンスを行いましょう。
※掃除の頻度が多い分には問題ありません。
「掃除」と「注油」は必ずセットで行うこと

掃除と注油は必ずセットです。
「掃除だけ」「注油だけ」ではだめですよ。
よくあるのが「注油だけ」を欠かさず行っているパターン。
注油しないよりはマシですが、掃除をしないとチェーンがゴミだらけになって、悪影響を及ぼします。
油を付ける前に掃除が必要ですし、掃除をしたなら注油が必要です。
チェーン掃除に使うアイテム一覧【洗浄剤で結果が決まる】

いよいよチェーンの掃除方法を順に解説します。
まずはしっかりとしたアイテムを揃えるところからです。
まだ何もお持ちでない場合、下記の用品を購入してください。
※あえて指定します。使うアイテムで結果が決まるといっても過言ではないので。後悔してほしくないんです。
最後のゴム手袋はなくてもいいですが、もし買うなら「テムレス」がド定番。
それ以外の3つはぜひ揃えて欲しいと思います。
ワコーズ チェーンクリーナー(ブラシ付属)

掃除に使う洗浄剤は、ワコーズの「チェーンクリーナー」を買ってください。
絶対に“ワコーズ”を選んでください。
…というのも、チェーンの掃除って洗浄剤選びが命なんですよね。
アイテムがショボかったら、誰がやっても、どれだけやっても、綺麗にならないからです。
「使う洗浄剤で既に結果が見えている」といっても過言ではありません。
安い消しゴムでは何回擦っても消えないのに、良い消しゴムだと軽く「スッ」と消える経験をしたことがあるでしょう?チェーンの洗浄剤も同じです。

「ちょっと高いな…」と思う気持ちには同情するのですが、だからと言って他を選ぶと後悔する可能性が否めません。
ワコーズのチェーンクリーナーを用意するのを強くお勧めします。
ブラシ付属で便利です。

200円くらいで買える「パーツクリーナー」じゃだめなの?
…ワコーズをおすすめすると、よく聞かれる質問です。

結論から言うと、チェーンの掃除にはあまりお勧めしません。
特に速乾性のパークリは相性が悪いですね。
仮に一本まるまる使ったとしても、オイルを注すとすぐ黒い汚れが出てくると思います。
パーツクリーナーは噴射力でサッと油分を除去するのには向いています。
ただ基本的に速乾性で、固まった汚れなどを取るには向いていないんですね。
汚れを取れきる前に渇いてしまうからです。
スプレーの噴射力で汚れを落とすのではありません。

実際にやってみると分かるのですが、パーツクリーナーだけでチェーンをピカピカにするのは至難の業ですね。
何度も挑戦してきましたが、結局チェーンクリーナーに行きつきます。
ワコーズ フォーミングマルチクリーナー

あれはチェーンの中にゴミが残っているから起こるのです。

チェーンの分解図
どうしてもチェーンのローラー内部まではブラシが届きません。
そこに残っているごみを除去するのに「フォーミングマルチクリーナー」を使います。

ワコーズ様直伝の組み合わせ技!
今回は「チェーンクリーナー×フォーミングマルチ」を使った洗浄方法で解説します。
マイクロファイバーウエス
汚れを拭き取りはマイクロファイバーウエスを使うのがオススメです。
※なければフェイスタオルでも全然OK。
テムレス(ゴム手袋)
ゴム手袋をする場合は「テムレス」がおすすめです。
実はこれもワコーズ様からの受け売り(笑)
【これで完璧】チェーンの洗い方

チェーンの洗い方は下記のステップで行います。
…ただ先に残念なお知らせを言っておくと、黒い油汚れを全く残さないためにはチェーンだけ洗ってもだめです。
駆動系パーツを全て掃除しないとその状態にはなりません。
では、順にやっていきましょう。
チェーンクリーナーを吹きかける

これを約4回繰り返すとチェーンが一周すると思います。
1分ほど時間をおいて浸透させます。
入念にブラッシング

チェーン掃除の肝となる「ブラッシング」をしていきます。
丁寧にやるか、雑にやるかで、結果が大きく変わります。
【ブラッシングのコツ】
- 「10cm」を1区画として、ブラッシングを進めていきます。
- チェーンの中央(ローラー)を20往復、側面のプレートをそれぞれ10往復する。
- 適度に“圧”を掛けながら擦ろう。
- 汚れを拭くのは全て終わったらでOK。
ちょっと大変ですが、手を抜いてはいけません。
とにかく「汚れを触ってあげる」ことが大切。歯磨きと一緒。
“ブラシが当たっていない部分”が全くない状態を目指して、細かいところまで掃除をしましょう。
ウエスで汚れを拭き取る
一周終わったらウエスで汚れを拭き取ります。

親指で「グッ」と強くつまみ、1区間20cm幅を目安に5往復以上させてください。
結構な力で「ゴシゴシ」拭くのがポイントです。指が熱くなります。
既にチェーンの表面がある程度キレイになっているはず。
しかし、写真のようにプレートの内側や、外から見えない隙間にはまだ汚れがあります。
フォーミングマルチクリーナーをかける
ここでフォーミングマルチクリーナーの出番です。
フォーミングマルチクリーナーを吹きかけると、泡が「モコーーッ」と膨らみます。
そして汚れや油に反応して水滴に変わり、ボタボタと落ちます。
泡が発達する過程で外から拭き取れない内部の汚れを押し出し、そのまま水滴となって外へ排出するんですね。だから細かなところまで綺麗に仕上がるのです。
これも一周行いましょう。
ウエスで拭き取る

最後にもう一度ウエスで汚れを拭き取れば終了です。
力強くゴシゴシと入念に行いましょう。
フォーミングマルチクリーナーを使う前と、使った後では、このくらいの差があります。

フォーミングマルチを使う前

フォーミングマルチを使った後
チェーンの内側にある細かな汚れが取れているのが確認できるでしょうか。
同じアイテムを使って同じ手順を踏めば、誰でも同じ結果になるでしょう。
「完璧な掃除」を目指す方へ【他のパーツも洗おう】

これでチェーンは奇麗になりました!
…が「完璧」を目指す方にとってはまだ不十分です。
奇麗になったのはチェーンだけで、「チェーンの通り道が汚れたままだから」ですね。
他にも一緒に掃除した方がいいのは下記のパーツです。
チェーンをブラッシングするタイミングで、全てのパーツを掃除するのがおすすめです。
途中でちょこちょこ拭きながらやっていてはキリがありませんからね。結局汚れが飛ぶので。

それぞれのパーツの洗い方はこちらの動画が参考になります。
※チェーン以外の掃除も「チェーンクリーナー」で対応可能です。
細かなところまで掃除をしましょう。
汚れがヒドい時は、クランクとスプロケットは外してから洗った方が早いかもですね。
「難しそう…」と思っている方も多いですが、実はめちゃくちゃ簡単です。
工具さえあれば誰でも出来るレベルですから、興味がある方はチャレンジしてみるのもいいでしょう。
「チェーンの掃除」に関するよくある質問

チェーンの掃除に関して、よくある質問に回答します。
Youtubeで紹介されていた「マジックリンでチェーンを洗う」のはアリですか?
絶対にダメです。マジックリンはアルカリ性。
チェーンを脆くし、結果ひび割れして切れる可能性が高まります。
チェーンを切ってから洗ってもいいですか?(ピン、ミッシングリンク)
- ピンの場合は切らない方がいいです。同じ場所で抜き差しするとピンの圧入が弱くなり、走ってて切れます。切るならその後ミッシングに交換するという手があります。
- ミッシングリンクは「再利用可能/不可能」の2つがあります。
不可能なら新しいものを使うべき。再利用可能なら3-5回は着脱OKです。
→KMCのミッシングリンクは再利用可能?【両方ある】
※シマノのクイックリンクは再利用不可です。
ブラッシングは必須ですか?拭くだけじゃだめですか?
なるべくブラッシングは必要です。
表面を拭くだけだとローラー内部の汚れが取れないからです。
※頻繁に掃除をしている方は軽い汚れなら拭くだけで取れます。
スプロケを外さずに、パーツクリーナーを掛けまくってもいいですか?
スプロケットに直接パーツクリーナーを掛けるのはおすすめしません。
液が「ボタボタ」と垂れるほど掛けると、中にあるグリスが溶けるからです。
結果ホイールの寿命を縮めることになります。
<掃除パート>まとめ
一旦まとめます。復習です。
- なぜ、掃除をしなければならないのか?
→ゴミを除去し、寿命を延ばすため。またパフォーマンスの向上。 - 掃除の頻度は?
→300~500kmに一回です。オイルが切れるタイミング。 - チェーンを綺麗にできるかは「使う洗浄剤」で結果が決まります。
- ブラッシングが掃除の肝。とにかく時間を掛けて入念に。
- フォーミングマルチクリーナーをかけると細かな汚れも取れます。
- チェーンだけ掃除しても黒い汚れは完全に取れません。通り道も全て洗うと完璧です。
続いて「注油」のパートへ移ります。
おすすめのチェーンオイル

既にチェーンオイルはお持ちですか?
コレから購入する方向けに紹介です。
高耐久でオススメなのが、フィニッシュラインの「ウェット」ですね。
スプレー式で使いやすく、バランスいいのがワコーズの「チェーンルブ」ですね。
チェーンオイルの注油方法

掃除が終わったチェーンに対してオイルを注していきます。
流れは下記の通り。
チェーンのつなぎ目を見つける

オイルを注し始める「スタート地点」を探しましょう。
チェーンのつなぎ目を目印にするともれなく一周できます。

オイルを注そうとしているところだけ、ピンの色が違う(結合部分)
グルッと一周見渡すと、どこか一つだけ他とは違う部分があるはず。
ピンの色が濃いグレーだったり、ミッシングリンクだったり。
それを起点に一周注油します。
※見つからなければどこからでもOK。
オイルを注油する

リキッドタイプなら「トンッ、トンッ、トンッ」てな感じで、一つずつ丁寧に注油します。
写真くらいの量…「少ないな」と思うくらいで十分です。
スプレータイプの場合、中央の「ローラー」に向かって、勢いよく噴射します。
ボタンを深く押し込んでください。
ローラーの内側にまでしっかりとオイルを潤滑させるためです。
15分以上時間を置く(一晩がベスト)

オイルを塗ったら15分以上置くのが理想的。
できれば一晩置くといいですね。
オイルが浸透するのを待つためです。
時間がない時はすぐに乗ってしまっても問題はありません。
余分な油を拭き取る

乗り始める前に余分な油を拭き取りましょう。
チェーンのプレート(側面)を指で軽くつまみ、一周拭いてください。
オイルが必要なのは中央(ローラー部)であり、プレートについていても意味がないので。
錆びない程度に軽く付いていればいいです。
全段変速して、馴染ませる
一度、全部の段に変速をしてください。
チェーンについたオイルをチェーンリングやスプロケにも馴染ませるためです。
これで洗浄&注油全ての工程が以上になります。お疲れさまでした。
オイルが切れる「300~500km」おきに作業を行ってください。
「チェーンの注油」に関するよくある質問

「注油」に関するよくある質問に回答します。
オイルって「5-56」や「ラスペネ」でもいいんですよね?
→結論:ダメではないけど「適切」ではないです。
「全くオイルを注していないとか、既に錆びている状態なら使った方がいいけど、普通ならチェーン用オイルを使おうね?」って感じです。
ワコーズの営業さんも、「ラスペネをチェーン油として普段から使うのはナンセンスだ」とおっしゃっていました。
チェーンが錆びている時は、オイルを注せば直りますか?
脆くなっていて切れやすいので、新品に交換するのをオススメします。
>>【サルでも分かる】自転車チェーンの交換方法【初心者向け】
<注油パート>まとめ

「注油」に関する要点まとめです。
【注油のポイント】
- オイルは「自転車用」なら何でもいいです。
- ディスクブレーキ車は、リキッドタイプを選びましょう。
- 5-56やラスペネは適してはいないですね。
- 注油作業のポイントは「オイルを付けすぎないこと」「余分な油は拭き取ること」
チェーンの交換時期を確認しよう【必須メンテ】

掃除や注油と合わせて「交換時期(寿命)のチェック」も行いましょう。
チェーンの寿命は3-5000km程度です。
交換時期の判断は「チェーンチェッカー」というアイテムを使います。
>>自転車のチェーンチェッカーおすすめ4選!【使い方も解説】
さいごに

以上でチェーンの洗い方&注油方法の解説は以上です!
「チェーンを洗う」というのは、見た目を奇麗にすることが本質ではないと理解いただけたでしょうか。
正しいアイテムを使い、正しい手順で行えば、誰でもチェーンをキレイに保てます。
本記事の情報を参考に、今後メンテナンスを行ってみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。