自転車を漕ぐとフロントディレイラーから「ガラガラ」と音が鳴って気になるんだよね。
調整で直るのかな?
解決方法を教えてほしいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- ガラガラと音鳴りする原因
- フロントディレイラーとチェーンの音鳴りをなくす方法
- トリム操作について
ロードバイクやクロスバイクに乗っていて、「ガラガラ」という音鳴りにお悩みではありませんか。
中には「買ったばかりなのに調整がおかしい」と心配されている方もいるでしょう。
確かに調整不良の場合もありますが、多くの場合が「トリム操作」を行うことで簡単に解決できる問題です。
というのも、「フロントディレイラー(前の変速機)とチェーンが擦れて音が鳴る」のは、構造上仕方が無いからですね。鳴って当たり前なのです。
そこで、音鳴り(干渉)をなくすために「トリム」という機能が備わっています。
※全てのレバーにあるわけではありませんが。
もしかすると、あなたは「トリム操作」をご存じないのではないでしょうか?
本記事を参考に、音鳴りの解決方法を参考にしていただければと思います。
【音鳴り解消】フロントディレイラーにチェーンが当たる時の解決方法
フロントディレイラーにチェーンが干渉し、音鳴りする時の解決方法を2パターン紹介します。
中でもご存じない方が多いのが「トリム操作」ですね。
前変速のレバーを半押しすると、数mmだけフロントディレイラーがズレてチェーンとの干渉(音鳴り)がなくなる機能のことです。
これは「調整」とかではなくて、「操作」を覚えるだけです。
順に解説していきます。
「トリム操作」で音鳴りをなくす
まず最初に「トリム」機能が正しく使いこなせているかどうかを確認して下さい。
クロスバイクのレバーの場合はトリム機能が備わっていないものもありますが、ロードバイクのレバーならまずあると思います。
「トリム」とは?
「トリム」とは、フロントディレイラーとチェーンが干渉し、音鳴りが発生してしまった時に使う機能のことです。
フロントディレイラーを数mm動かすことによってチェーンとの干渉をなくし、音鳴りしなくなります。
トリムの使い方は「フロントの変速レバーを半押し・半戻し」するだけですね。
今回はロードバイクに乗っている方向けにSTIレバーで解説しますね。
なぜ音鳴りするのか?
そもそも「なぜ、音鳴りするのか?」からお伝えします。
多くのスポーツバイクの場合、フロント変速が2段以上、リア変速が8段以上ありますよね。
なので、掛かっているギアの組み合わせでチェーンの角度が大きく変わってしまいます。
- 前が「一番軽いギア(インナーギア)」
- 後ろが「一番重いギア(トップギア)」
↑例えば上記の組み合わせにした場合、チェーンが斜めに掛かりますよね。
実際にやってみると分かりやすいと思います。
斜めに掛かることによって、チェーンの通り道である「フロントディレイラー」で擦れが発生します。
全てのギアで音鳴りするわけでは無くて、特定のギア(斜めになる組み合わせ)にすると音鳴りするのはそのためです。
この音鳴りは構造上仕方がないわけで、それを回避するために「トリム」機能が備わっています。
別に整備士の調整が悪いわけではありません。正常なのです。
スポーツバイクに乗るなら必ず知っておくべき操作ですね。
ガラガラ鳴り続けているのは気になりますし、長期的に擦れ続けるとフロントディレイラーに穴が開きます。
トリムの操作方法
トリムの操作方法は「レバーを半押し/半戻し」です。
- 前ギアのインナー側(軽いギア)
- 前ギアのアウター側(重いギア)
…それぞれにトリムポイントがあります。
フロントインナー側(軽いギア)でのトリム操作
まずは前ギアインナー側(軽いギア)でのトリム操作を説明します。
自転車に乗る時は、軽いギアからだんだんとスピードアップさせていきますよね。
[前:軽い×後:軽い]=インナーローの状態がコチラです。
フロントディレイラー(FD)の内側とチェーンにはわずかな隙間があり、干渉はしていません。
そこからスピードを上げていく時、後ろのギアをトップ側(重い方)へ移動させていきますよね。
ギアの位置関係はこのように変化します。↓
…するとどうでしょうか。
フロントディレイラーとチェーンが擦れ、干渉していることが分かります。
実際にこの状態で自転車に乗ってみると、常にガラガラと音鳴りが発生してしまいます。
音鳴りの原因は“ココ”の擦れだったわけです。
ここで紹介した「トリム」機能の出番です。
左レバーの大きい方のレバー(※↓画像)を、ギアが上がらない程度に軽く押し込んでみてください。
画像:シマノ
Aレバーを半押しすると、「カチッ」という音と共にフロントディレイラーが1-3mm程度外側へ移動しますよね。
これがトリム動作になります。
トリムをしたことでわずかな隙間が生まれ、フロントディレイラーとチェーンが擦らなくなりました。
反対に、ここから後ろのギアを軽くしていった場合も同じです。(=インナー×ローの形へ)
フロントインナー(軽い方)の状態からリアのギアをロー側(軽くする方向)へと戻していったとき、今度は逆の面がチェーンと擦ってしまいますよね。
なぜなら、既にトリム機能を使ってFDの位置をずらしているからです。
今度は反対に、左STIレバーの小さなレバー(Bレバー)を「カッ」というまで軽く押し込んでみて下さい。
…すると、トリムをする前の状態に戻ります。これが元の位置です。
このようにトリムを使って干渉を避けます。
フロントアウター(重いギア)でのトリム操作
アウター側(フロントの重いギア)にも、トリム操作があります。
やってみましょう。
フロントギアをアウター(重い方)に入れます。
そして後ろのギアをトップ側(重い方)に動かしていくと、フロントディレイラーの外面がチェーンと擦って干渉します。
そうなったら、左STIレバーの大きなレバー(Aレバー)をさらに押し込んでみてください。
すると、トリムによってフロントディレイラーが1-3mm程度外側へ動くはずです。
※最初から奥まで押し込めている場合は動きません。
トリムによって隙間が生まれ、音鳴りがなくなりました。
分かりやすい正面からの写真はこちらです。 ↓
反対にアウター×ロー(前が重い、後ろが軽い)に近づけていくと、フロントディレイラーの内側がチェーンと擦れますよね。
そこで、左STIの小さなレバー(Bレバー)を「カッ」というまで軽く押し込んでみてください。
先ほどの反対で、フロントディレイラーが内側に1-3mm程度移動すると思います。
以上がトリム操作によって、音鳴りをなくす方法です。
「フロントディレイラーにチェーンが干渉する」という場合、トリム操作がうまく使えていない方が多くいらっしゃいます。
なので、まず一番最初にトリムで解決できるかを確認してみて下さい。
解決方法②:フロントディレイラーの調整
トリムを行っても干渉が解消しない場合、フロントディレイラー側の調整がズレてきた可能性があります。
納車時にどれだけ完璧に整備をしてもワイヤーは少しずつ緩んでいき、調整が狂うからです。
確認が必要なのは2点です。
一応解説しますが、難しい内容になっております。
分からなければ購入店へ持ち込みましょう。
ワイヤーの張り調整
- 説明通りにトリム操作を試してみたど、全く動かなかった。
- やってみたけど、ほとんど動かなくて擦ったままだよ。
という方は、シフトワイヤーの張り具合(緩み)が原因かもしれません。
緩み(遊び分)があるせいで、レバーを押してもトリムができないという現象が起きていると考えます。
もしかすると「自転車を購入したばかりなのに・・・」という方がいるかもですが、それはある種正常です。
恐らく納車時に説明があっただろうとは思いますが、「初期伸び」による影響だからです。
新品のワイヤーは使い始めに急激に伸びが生じるため、必ず変速調子が狂います。
起こるべくして起こったトラブルなので、心配ありませんよ。
新車ではない方も、シフトワイヤーは少しずつ伸びるものなので、全然緩んでいてもおかしくないです。
解決するためには、「シフトワイヤーの張り調整」を行います。
緩んでいるワイヤーを張る作業です。
…ただ、フロントディレイラーの張り調整は初心者がいきなりできるものではないと思います。難しいです。
やり方の載っている動画を紹介しておきますが、自転車屋さんに頼んだ方が無難ですね。
可動範囲の調整(アジャストボルト)
もう1つ考えられることは、フロントディレイラーの「アジャストボルト」の調整です。
アジャストボルトとは、フロントディレイラーの可動範囲を制限するボルトです。
ここの調整がうまくいってないと、どれだけワイヤーを張ってもチェーンとの干渉が直らないことがあります。
あやふやなまま調整を終わらせてしまうと、チェーンが外れて大事故につながってしまうことも考えられるからです。
なので、トリム操作をしても動かないなら購入店へ持ち込むのがいいでしょう。
注意点(どうしても干渉する自転車もある)
中には「調整は完璧でも、絶対に干渉してしまう自転車」もあります。
これは解決方法が無いので、もう仕方がないですね。
パーツが全てシマノ純正だったらなりにくい印象ですが、[FDがシマノ×クランクが他社製]だとなりやすい印象ですね。
えー、なにそれ。なんか嫌だな・・・
と思うかもしれませんが、実際の影響はほとんどないので心配ありませんよ。
なぜなら、そもそもチェーンを極端なたすき掛けの状態(インナートップ・アウターロー)で使うのはよくないからです。
これについては、ペダリングコーチフランキーたけさんが詳しく解説していらっしゃいますので、こちらを参考に。
基本的にチェーンが“平行”になるよう変速することを心がければ、フロントディレイラーとチェーンの干渉はほとんど起こらないはずです。
なので、実際には大きな問題ではありません。
まとめ
最後に本記事の要点をまとめます。
いずれにせよ、初心者が自分で調整するには難しいかなと思うので、自転車店で見てもらいましょう。