- 自転車のバルブ根元(空気を入れるところ)から空気が漏れる
- 空気を入れてもすぐに抜けてしまう
- 考えられる原因を教えて欲しい
こんなお悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- バルブ根元(空気を入れるところ)から空気が漏れる原因
- どうすれば直るのか?
- 修理費用の目安
様々なパンクを修理をしてきた、自転車整備士の私が解説します!
「バルブ根元から空気が抜ける…」というトラブル、実は少なくありません。
実際にお店で働いている時も何度も相談を受けてきました。
本記事を読めば、その原因と直し方が分かりますよ。参考にどうぞ。
自転車のバルブ根元から空気が漏れる原因は?【整備士が解説】
結論から言うと、可能性が高い原因として考えられるのが下記の2つ。
- 虫ゴムの劣化(英式/ママチャリの場合)
- バルブ折れ
経験上「虫ゴムの劣化」であるケースが7割程度の印象です。
虫ゴムが原因の場合、ご自身でも簡単に修理できます。虫ゴムは消耗品ですので、ゴムを変えれば直るからです。100均でも購入できます。
バルブ折れの場合はチューブ交換が必要ですので、基本的にお店での修理になります。パンク修理(シール貼り)では直りません。
2つの原因について、詳しく解説していきます。
虫ゴムの劣化
「根元から空気が漏れる…!」という典型的な症状が出ている場合、最も可能性が高い原因は“虫ゴムの劣化”です。
使っている自転車が英式バルブ(一般的な自転車)なら、まずはチェック。
「虫ゴム」とは、自転車のバルブの棒(プランジャー)に被さっているゴムのことです。
銀色のフタを緩め、棒を引っこ抜くと出てきます。
↑の写真で言うと「黒いゴム=虫ゴム」ですね。黒以外もあります。
虫ゴムは「空気の逆流防止弁」の役割を担っています。
空気を入れた後になぜ逆流して抜けてこないのか?
それは、この虫ゴムが空気穴をふさいでいるからです。
↑銀の棒の中腹には空気穴があり、それに虫ゴムが被さっています。
空気を入れる時は一瞬だけゴムが浮き、空気の通り道が出来ることで中に入ります。
空気を入れ終わった瞬間ゴムが「ピタッ」とくっつくため、逆流して抜けない構造です。
そのため「虫ゴム」が劣化すると、空気が根元からツーツーに抜けます。
空気穴を塞げなくなるからです。
虫ゴムは消耗品なので、半年~1年に一回は交換が必要。
「根元から空気が漏れる」のであれば、まずは虫ゴムの状態を確認しましょう。
手順を解説します。
虫ゴムの状態をチェックする手順
↑黒いキャップを取ります。
↑銀の部分を指で摘まみ、左回転(反時計回り/ペットボトルのフタと一緒)で緩め切ってください。
↑緩めると銀のフタが外れます。
↑中の棒を引っこ抜きます。虫ゴムが顔を出します。
【補足】
※↑虫ゴム不要の棒もあります。スーパーバルブってやつです。もしこれが使われていた場合は、虫ゴムが原因ではありません。次の項目へどうぞ。
棒を引っこ抜いたら虫ゴムの状態をチェックします。
【チェック項目】
- ひび割れていないか?
- 穴が開いていないか?
- めくれていないか?
- なくなっていないか?
上記チェック項目のうちどれかに当てはまる場合、「虫ゴムの劣化」による根元からの空気漏れである可能性が非常に高いです。まずは新品に交換し、再度空気を入れます。多分直るはず。
虫ゴムの購入方法と取り付け方
虫ゴムは消耗品でして、ゴム単体で購入できます。
自転車店に車体を持ち込めば、虫ゴム交換作業もやってます。
【主に購入できる場所】
- 自転車ショップ
- ホームセンター
- 100均
100円~200円くらいで購入できるので、まずは虫ゴムを買ってください。
あるいは、このタイミングで虫ゴム不要の「スーパーバルブ」にアップグレードするのもオススメです。(棒を入れ替えて差し込むだけ)
虫ゴムを交換する
交換作業は簡単です。
元々付いていた虫ゴムを剥がして捨て、新しいものを差し込むだけ。
↑の写真の状態になればOK!
ポイントは、ゴムが段差を乗り越えてくぼみに落ちるまで差し込むだけです。
※滑りが悪くてなかなか入らない時は水を付けて下さい。
ダメな例
↑これはNG例です。
ゴムが段差を乗り越えていません。くぼみまで落ちていません。
差し込み不足ですっぽ抜けてしまいます。
しっかり奥まで差し込みましょう。
あとは銀のフタ、黒いキャップを元に戻すだけです。
交換方法をサクッと解説しました。より詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
空気を入れてチェック
虫ゴム交換後、空気を入れて再チェックです。
根元から漏れる様子が無ければ「虫ゴムが原因だった」ということですね。
どうしてもゴムは劣化する運命なので、空気が漏れたら変えましょう。
バルブ折れ
もう一つよくある原因が「バルブ折れ」ですね。
↑の写真のように、バルブはチューブにくっついています。
ここが根元から折れる(ちぎれる)ケースです。当然空気が漏れます。
虫ゴムを交換してもなおバルブ根元から空気が漏れるのであれば、次に疑うのはバルブ折れですね。
ただし、これは一度タイヤを外さないと状態が分かりませんので、お店へ持ち込みましょう。
バルブが折れる原因
バルブが折れる原因は主に2つ。
- 空気圧不足で乗っている
- チューブの劣化によるもの(2年以上~)
特によくあるのが「空気圧不足」です。劣化の場合は仕方ないですが、空気圧不足はメンテナンス次第で防げます。
自転車の空気は自然と抜けます。月に一回程度は適正空気を入れる必要があります。
下記のような方はバルブ折れしやすくなります。
バルブ折れのメカニズム
一般的な自転車のタイヤは、外から見える「タイヤ」の中に「チューブ(ゴム風船)」が入っている二重構造になっています。
空気が少ない状態で乗り続けると、中のチューブがズレてきます。
しっかり空気が入っていれば、中のチューブがタイヤにピタッと張り付きます。
でも空気が少ないとすこーしずつズレていくんですね。
この時チューブはずれていきますが、バルブの位置は変わりません。固定されているからです。
なのでバルブの根元が引っ張られる形になり、最終的に折れます。ちぎれます。
折れたバルブは直せないので、チューブ本体ごとの交換が必要です。
ただし「普段から空気が少ない状態」で乗っていた場合、タイヤも相当ひび割れしていると察します。体重で押しつぶされながら走るためです。
チューブのみならず、タイヤ&チューブどちらも交換が必要になる場合が多くなります。
修理費用の目安(一般車の場合)
今回紹介した2ケースの場合、修理費用の目安は下記の通り。
なお、お店に持ち込んだ場合「パンクしているかどうかの確認(水調べ)」をするだけでも費用は発生します。時間をかけて作業するからです。
虫ゴムの交換で直れば安く済むので、まずはご自身で試し、直らなければ店へ持ち込むのがオススメです。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【自転車のバルブ根元から空気が漏れる原因は?】
- 虫ゴムの劣化(英式/ママチャリの場合)
→消耗品です。状態確認して悪ければ交換しましょう。 - バルブ折れ
→空気圧不足で乗っているとなりやすいです。チューブ交換が必要になります。
というわけで以上です!
少しでも参考になれば幸いです。ありがとうございました。