- 自転車のチェーンから音が鳴っている
- カタカタ、カタカタ、ガラガラ、キュルキュル…
- 何が原因なのだろう?直し方が知りたいなあ。
こんなお悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- 自転車チェーンの音鳴り、よくある原因と直し方
- ママチャリ/クロス、ロードバイク別に考えられるケース
- ベルトの自転車が音鳴りする場合の原因
- 直すにはどうしたらいいのか?
自転車整備士の私が解説します。
「チェーンの異音」は様々な原因がありますが、実は簡単に直る場合も多いです。
本記事を読めば「どうしたら直るのか?」が分かりますよ。
【整備士が解説】自転車チェーンから音鳴りする原因と直し方
チェーンの音鳴りは「ママチャリ」と「スポーツバイク」によって、よくある原因が異なります。
結論、下記の通りです。
【ママチャリでよくある原因】
- チェーンがたるみ、チェーンケースに擦れている(ガラガラ)
- チェーンの油切れ、サビ(キュルキュル)
- ボトムブラケットのベアリングが割れている(バキバキ)
【スポーツバイク(クロス、ロード、MTB)でよくある原因】
- フロントディレイラーにチェーンが擦れている(カラカラ)
- チェーンの油切れ、サビ(キュルキュル)
- ディレイラーハンガーの曲がり、変速不調(チャッチャッ)
中でも最も多い原因を赤文字で書きました。
ママチャリならチェーンケースとの擦れ。スポーツバイクならフロントディレイラーとの擦れです。
問題が起こっているかどうかの確認は、知識の無い方でも可能です。目視で分かります。これからお伝えする箇所をチェックしてみて下さい。
ママチャリから順に解説します。
※クロスバイクやロードバイクにお乗りの方は、次の項目へスキップして下さい。
ママチャリでよくある原因
ママチャリでよくある原因が下記3つです。
チェーンがたるみ、チェーンケースに擦れている(ガラガラ)
「チェーンが伸び、たるむことによって、ケースに擦れている」が最も多い音鳴りの原因です。
直すためには「チェーンを張る」という作業を行います。
ただし、この症状が出るのは下記の条件に当てはまる自転車のみです。
【症状が出る条件】
- 変速(ギア)の無い自転車に乗っている
- 変速はあるが「内装変速」タイプの自転車である
→「外装変速」の場合は対象外
「変速(ギア)の無い自転車に乗っている」
…この条件は説明不要ですね。そのままでして、特に変速のついていない自転車に乗っている方です。2万円前後の安い自転車に多いです。
「変速はあるが“内装変速”タイプの自転車である」
…この意味がよく分からない方もいるでしょうから、解説します。
外装変速と内装変速
自転車の変速には2種類あります。
- 外装変速
- 内装変速
このうち、チェーンの張り調整が必要なのが「内装変速」タイプ。
これらは見た目が違うので、初心者でも簡単に判別可能です。
↑これが「外装変速」です。スプロケットとリアディレイラー(変速機)が特徴です。
ギア部分にはスプロケットと呼ばれるギア板がついており、ギアの段数分枚数があります。例えば「6段変速」の自転車であれば、スプロケットに6枚のギア板があります。
とにかく「スプロケット(主に6枚のギア板)」が付いていれば外装変速です。
外に変速機が付いているから“外装”です。
↑これが「内装変速」です。ギアを切り替えるレバーが付いているのに、ギア板は1枚しかありません。ハブの中で変速を行うからです。
「変速があるのにギアが1枚しかない」なら、内装変速です。
そして今回、チェーンがたるんでケースに擦れるという症状が出るのは“内装変速”になります。
シングルギアや内装変速はチェーンがたるむ
- ギアの無い自転車
- 内装変速の自転車
上記の自転車は、走行距離に応じてチェーンのたるみ(伸び)が生じます。
たるんできたら、その都度「張り調整」を行う必要があるのです。
※外装変速の場合、変速機がたるみを取る機能があるため、張り調整は必要ありません。
チェーンが過度にたるみ過ぎると「チェーンケース」に接触し、音鳴りします。ガラガラ…と擦れる音ですね。
たるみを取る必要がある自転車なのに、何もメンテナンスしてこなかった方は要確認です。写真で解説します。
↑チェーンを覆っているカバーが「チェーンケース」です。
チェーンのたるみがない場合、ピンと張っています。だからケースには擦れません。新車の時はガラガラ音鳴りしていなかったはずです。
チェーンが伸びてくると張りがなくなります。
それと同じで元々真っすぐに張っていたチェ―ンがたるみ、「赤丸」あたりでケースに擦れるようになります。これが最もよくある音鳴りの原因です。
擦れているかの確認は、裏側から覗けばわかります。
ペダルを回してみて下さい。チェーンがどこかと擦れていませんか。
※フルケースの場合、裏面もカバーで覆われているので見えません。
フルケースで中が見えない状態であれ、手で回してケース付近から「ガラガラ…」と音がするなら、チェーンのたるみが原因でしょう。あるいはチェーンケースが曲がっていて擦れている場合もあります。
直すには「チェーンの張り調整」を行えばOK。
サイクルベースあさひの工賃表を参考にすると、張り調整費用は「550円」となっております。
※23年10月現在
チェーンの油切れ、サビ(キュルキュル)
- チェーンが茶色く錆びていませんか?
- 定期的にオイルを注していますか?
油が切れている場合「キュルキュル」という音が鳴ります。
メンテナンスをする人の方が少ないので、この音鳴りも非常に多い原因です。
自転車のチェーンにはオイルが必要不可欠です。
より滑らかに、より軽く走るためにオイルが欠かせません。オイルが無いと走りが重くなるほか、チェーンが錆びます。油によるコーティングが剥がれるからです。月に1回程度の頻度が目安。
まずやるべきことは「注油」です。
花に水をやらないと枯れてしまうように、チェーンにオイルを注さないと錆びるのは当たり前。音が鳴るのは当たり前の現象だからです。
【よくある質問】
チェーンのオイルってクレ5-56とかでもいいの?
…とよく聞かれます。
「適している」とは言えないですが、油を全く注さないよりは掛けた方がいいです。
>>自転車のチェーン油として5-56やラスペネを使うのはアリ?
ただ推奨はやはり「自転車用のオイル」を使うべきです。
ママチャリの場合、錆に強いオイルを使うのがオススメです。↓
注油をしてもなお音が鳴るなら別の問題になります。一つずつ可能性が高いものから潰していきます。オイルは絶対です。
ボトムブラケットのベアリングが割れている(バキバキ)
ペダルの棒が付いている先には、「ボトムブラケット」という軸があります。
普段ペダルが滑らかに回転するのは、ボトムブラケットにベアリング(玉)があるからです。
このベアリングが割れると、漕いでいて「バキバキ」系の音鳴りが発生します。
直接的にチェーンの音鳴りではないものの、「漕いでいて音が鳴る=チェーンだ!」と思われる方も少なくないです。なので今回、原因の一つとして挙げました。
ベアリングがぶっ壊れるのは、ある程度使い古した自転車になります。
買ってすぐ壊れるようなパーツではないですね。
特に下記条件で起こりやすい印象です。※もちろんこの限りではありません。
ベアリングが割れたなら、「ボトムブラケット」というパーツを交換します。
修理費用は高額になりがちです。
サイクルベースあさひの工賃表を参考にすると、下記の工賃となっております。パーツ代が別途掛かります。(23年10月現在)
中々一般人に「ボトムブラケットに異常があるか?」なんて分からないでしょう。
外からは中の状態が分からないので、経験に基づく判断によるところが大きいからです。
スポーツバイク(ロード、クロス、MTB)でよくある原因
続いて、ロードバイクやクロスバイクなどで音鳴りする場合の話です。
主な原因は下記になります。
フロントディレイラーにチェーンが擦れている(カラカラ)
前側にも変速のある自転車の場合、ぶっちぎりで最も多い原因が「フロントディレイラーとチェーンの擦れ」です。
操作や調整で直ることが多いですが、どうしても音鳴りするケースもあります。
↑結論、原因はここの擦れ。前側の変速機=フロントディレイラーとチェーンの干渉です。
一応確認のために試してほしいことがあります。
…もし擦れていた場合のために、直し方を解説します。
- (特にロードバイク)トリム操作を使えているか?
- 変速の調整
音鳴りが直せない場合もある
ただし、どうしても音鳴り(擦れ)が取れないケースもあります。
特に以下の組み合わせで鳴る場合は仕方が無いこともあります。
要するに「極端な斜め掛け(たすき掛け)状態」になる組み合わせで使っている場合、干渉が取れない場合もあります。
そもそも、そのギアの組み合わせが不適切ですので、なるべくチェーンが平行になるよう前後のギアを変速してください。
(特にロードバイク)トリム操作を使えているか?
(特にロードバイクに乗られている方が対象です。)
フロントディレイラーの「トリム操作」はご存じですか?
音鳴りを解消するためのレバー操作です。半押しして使います。
擦れてガラガラ音鳴りしている場合、単に「トリム操作」が使えていないことが原因かもしれません。
「なにそれ、初めて聞いた」という方へ、こちらの記事で詳しく解説しています。試してみて下さい。
変速の調整
フロントディレイラーの調整が必要な状態かもしれません。
主に考えられる原因は下記の2つ。
- シフトワイヤーの張り調整
- H,Lアジャストボルトの可動域調整
専門知識が必要な作業になりますので、お店に任せるのがおすすめです。(下手に自分でいじって悪化させることが多い箇所です。)
チェーンの油切れ、サビ(キュルキュル)
ママチャリと同じく、「オイル不足」「サビ」によっても異音が発生します。
キュルキュル…という音ですね。
スポーツバイクの場合、距離を乗る方も多いはず
- 3-500kmに1回の注油
- 1カ月に1回の注油
注油の頻度としてはこのくらいです。
ママチャリと違い、スポーツバイクの場合はオイルにも走行性能が欲しいところ。
錆を防ぐことも大切ですが、それ以上に「より滑らかな回転」も重視しますよね。
ディレイラーハンガーの曲がり、変速不調(チャッチャッ)
走行時に「チャッチャッ」という音鳴りがするなら、下記が原因の可能性があります。
- ディレイラーハンガーの曲がり
- 変速不調
ディレイラーハンガーの曲がり
「ディレイラーハンガー」とは、リアディレイラーを取り付ける小さなパーツです。
主にアルミ、カーボン素材のスポーツバイクに採用されています。
ディレイラーハンガーが曲がると変速機自体が斜めになります。
それが原因となってチェーンの位置が悪くなり、「チャッチャッ」と音鳴りすることがあります。
変速不調
前側の変速と同様、調整が必要な状態になっているかもしれません。
主に「シフトワイヤーの張り調整」ですね。
シフトワイヤーは伸びるものです。伸びると変速の入りが悪くなります。
通常はレバーを押すごとに「ギア1.0」「ギア2.0」と入っていたものが、緩むと「ギア1.6」みたいな中途半端な位置に入ってしまうのです。
変速調整をすれば簡単に直りますので、お店で見てもらいましょう。
【補足】ベルトの自転車が音鳴りする場合
最後に補足として、「ベルト」の自転車が音鳴りする原因を紹介します。
おそらく漕ぐと“ギュルギュル”と鳴ると思うのですが、これはベルトの擦れる音ですね。
音は気になると思いますが、走行には全く問題ありません。
【直し方】
- まずはベルトを乾拭きする
- ダメならシリコンルブを薄く塗布する
詳しくはこちらの記事にて解説しております。
>>自転車のベルトからキュルキュル「異音」がする時の解決方法
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【ママチャリでよくある原因】
- チェーンがたるみ、チェーンケースに擦れている(ガラガラ)
- チェーンの油切れ、サビ(キュルキュル)
- ボトムブラケットのベアリングが割れている(バキバキ)
【スポーツバイク(クロス、ロード、MTB)でよくある原因】
- フロントディレイラーにチェーンが擦れている(カラカラ)
- チェーンの油切れ、サビ(キュルキュル)
- ディレイラーハンガーの曲がり、変速不調(チャッチャッ)
…中でも赤文字で書いた原因が最もよくある問題です。最初にチェックしてみて下さい。
本記事が誰かのお役に立てば幸いです。