なんだか自転車のリア変速調子が悪くって。
具体的に言うと、下記に当てはまる症状がある。
- ギアが全く変わらない
- 一気に2段変速する時がある
- ギアが「ガチャンガチャン」と勝手に変速する
- 「チャッチャッ」と音鳴りがして変わらない
- 時差で急に変わる(ずれる)
- トップギア(一番重いギア)に入らない
- ローギア(一番軽いギア)に入らない
原因と解決方法を教えて欲しいなあ。
こんな悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- 変速不調の主な7つの症状
- それぞれの原因と解決方法
自転車整備士の資格を持ち、6年以上の実務経験を持つ私が解説します。
本記事では症状の原因に加え、解決方法まで紹介しております。
あなたが抱える問題の解決に役立ていただければ幸いです。
【自転車の後ギア変速がおかしい】主な7つの症状と原因・解決方法
まずは下表を見てください。
リア変速不調の主な症状7つと、その原因をまとめたものです。
変速不調の主な症状 | 原因 |
ギアが全く変わらない | シフトワイヤーが切れてる |
シフトワイヤーの劣化・固着 | |
一気に2段変速する時がある | ワイヤーの緩み、初期伸び |
ディレイラーハンガーの曲がり | |
ギアが「ガチャンガチャン」と勝手に変速する | ワイヤーの緩み、初期伸び |
ワイヤーが切れかかっている | |
「チャッチャッ」と音鳴りがして変わらない | チェーンの伸び |
ワイヤーのゆるみ | |
時差で急に変わる | シフトワイヤーの劣化 |
トップに入らない | ディレイラーハンガーの曲がり |
シフトワイヤーの劣化 | |
シフトワイヤが切れかかってる | |
シフトワイヤーの張りすぎ | |
ハイ(H)側アジャストボルトの締めすぎ | |
ローに入らない | シフトワイヤーが緩んでいる |
シフトワイヤーが切れている | |
ロー(L)側アジャストボルトの締めすぎ |
原因が必ずしもこの表の通りではない場合もありますが、多くが当てはまると思います。
以下で症状別に詳しく解説するので、心当たりのある項目をチェックしてみて下さい。
ギアが全く変わらない
【症状】
- ギアが全く変わらない
- 軽くも重くもならない
…このような症状が現れた時に考えられる主な原因はこちら。
真っ先に確認するのは「シフトワイヤーが切れていないか?」ですね。
あまりに古い自転車(放置期間が長い)の場合は、「シフトワイヤーの劣化や固着」も疑います。
シフトワイヤーが切れている
シフトワイヤーは変速機を引っ張るために、レバーから繋がっているワイヤーのことです。
当然ですが、シフトワイヤーが切れているとディレイラーを動かすことが出来なくなります。
レバーを押しても全く変速しなくなります。反応ナシ。
シフトワイヤーが完全に切れると、リアディレイラーが「一番重いギア(トップギア)」に勝手に入ります。
ワイヤーが切れて「引っ張った状態」を維持できなくなるため、初期位置であるトップギアに固定されます。典型的な症状ですね。
シフトワイヤーの劣化・固着
もう1つの考えられる原因として「シフトワイヤーの劣化・固着」があります。
過度なサビですね。
サビが発生するとワイヤーの滑りが悪くなります。
あまりにも劣化がひどいと抵抗が大きくなりすぎて、リアディレイラーが全く動かなくなってしまうのです。
…というの場合、ワイヤーの劣化が原因である可能性が高いです。
一気に2段変速する時がある
【症状】
- 変速をすると一気に2段変わる時がある
…という症状の場合、考えられる原因は主に2つ。
シフトワイヤーの緩み、初期伸び
シフトワイヤーが緩んでいる(or張りすぎ)と、一気に二段変わることがあります。
シフトワイヤーは“張り調整”を行うことで、レバーを押すと1段ずつ変速するようになっています。
この張りが緩くなると、リアディレイラーが本来の位置以上に動くことになるため、一気に二段変わることもあります。
※「ワイヤーの張りすぎ」でも同様の症状は起こりますが、基本的には緩みですね。
例えば…
- 新品のワイヤーに交換したばかり
- 新しく自転車を購入したばかり
という場合、初期伸びが原因で2段一気に変速してしまっている可能性が高いです。
初期伸びはほぼ必ず起こります。
これは納車時にどれだけ完璧に整備をしてようが、ワイヤーの特性上仕方のないことなのです。
いずれにせよ、「ワイヤーの緩み(張りすぎ)」が原因なら調整で直ります。
>>【車種共通】自転車のリアディレイラーの変速調整【完全理解】
ディレイラーハンガーの曲がり
もう1つの原因として強く疑うのが「ディレイラーハンガーの曲がり」です。
ディレイラーハンガーとは、主にスポーツタイプの自転車(アルミやカーボン素材)に採用されているパーツになります。リアディレイラーの固定部分にある小さな部品です。
ディレイラーハンガーに力が加わり、内側に曲がった状態ですと、ギアが一気に2段軽くなることがあります。
曲がったことにより、RDの動きも斜めになってしまうからです。
問題を解決するためには下記の対応が必要です。
【ディレイラーハンガーが曲がった時の対処法】
- ディレイラーハンガーの曲がり修正
- ディレイラーハンガーの交換
詳しくは↓の記事で解説しておりますので、心当たりある方は必ずお読みください。
>>ディレイラーハンガーの選び方と交換手順【曲がったら交換】
ギアが「ガチャンガチャン」と勝手に変速する
「ガチャンガチャン」と勝手に変速してしまう場合、考えられる主な原因は下記の2つです。
ワイヤーの緩み、初期伸び
先ほどの説明と同じです。ワイヤーが緩んでいると、リアディレイラーが中途半端な位置に動いてしまうんですね。
本来ギアの真下になければいけないのに、数ミリのずれが生じます。
分かりやすく言うと、本来は「ギア1.0」「ギア2.0」の位置に来るはずなのに「ギア1.6」みたいな位置にいるってことです。
微妙な位置にいるので、RDが行ったり来たりを繰り返します。
これを直すには、ワイヤーの張り調整が必要です。
ワイヤーが切れかかっている
もう1つ考えられるのが、「ワイヤーが切れかかっている」ということ。
ワイヤーが切れかかると張り具合が変わり、リアディレイラーの位置がおかしくなります。
「シフトレバーを押した感触や、リアディレイラーの挙動がおかしいな・・・」
と感じたら、シフトワイヤーが切れかかっていないか疑いましょう。
(リア)シフトワイヤーの寿命は大体2-3000kmを超えたあたりから切れ始める印象です。
変速回数が少ない方でも、持って5000kmくらいなイメージですね。
>>自転車のシフトワイヤーの交換時期は?【目安は3000km~】
切れているのなら、新品への交換が必要です。
>>ロードバイク用シフトワイヤーのおすすめは?【選び方解説】
「チャッチャッ」と音鳴りがして変わらない
レバーを押しても「チャッチャッ」と音鳴りするだけで変速しない場合、下記の原因が考えられます。
チェーンの伸び
チェーンの過度な伸びは変速に悪影響を与えます。
スパスパ決まりにくくなくなり、最終的には変わらなくなります。
当然ですが、自転車のチェーンも消耗品の1つです。
チェーンが過度の伸びると“遊び”が大きくなります。
リアディレイラーはチェーンを「無理やり脱線」させて変速するわけですが、チェーンの遊びが大きいせいで横方向の曲がりに耐えてしまい、脱線しなくなる(変わらなくなる)ことが原因です。
チェーンが寿命を迎えているならばまずは交換しましょう。大前提。話はそれから。
交換してもなお変速が悪いならまた他の原因を探す…という流れになります。
シフトワイヤーの緩み
「チャッチャッ」という音鳴りで変わらない場合、他に考えられるのはシフトワイヤーの伸びですね。
これまで説明してきた内容と同じで、リアディレイラーが中途半端な位置にいることが原因となって、音鳴りが発生します。
ワイヤーを張ることで問題を解決できます。
時差で急に変わる(ずれる)
シフトワイヤーの劣化
【症状】
- シフトチェンジをしてから数秒後にやっとギアが変わる
- レバーを押してから変速完了するまでにラグがある
…という場合、シフトワイヤーの劣化が原因である可能性が高いです。
始めに「シフトワイヤーの劣化、固着によって変速しなくなる」という例を話しました。その途中段階ですね。
例えば「茶色く錆びたハサミ」をイメージしてみて下さい。
スルスル動きませんよね。動きが重たいですよね。同じです。
シフトワイヤーとアウターケーブルの滑りが悪くなっていることが原因として考えられます。
これらを新品に交換すれば直る可能が高いです。
トップギアに入らない
【症状】
- トップギア(一番重いギア)に入らない
- でも変速は動いている
…という場合、複数の原因が考えられます。
実際に見てみないと何とも断定はできませんね。
一つずつ以上が無いかチェックをしていく形になります。
ローギアに入らない
「ローギアに入らない」という症状は、下記の原因が考えられます。
こちらも説明するには長くなってしまうので、別記事を用意しました。
当てはまる方は確認どうぞ!
まれにある原因
以上7つが変速不調の主な原因ですが、まれに他の原因であることがあります。
パッと思いついたのが下記3つです。
- 「どれだけ調整しても直らない…」
- 「どこが悪いのか見当が付かない…」
そう悩んだときに確認をしてみて下さい。
リアディレイラー本体のガタツキ・変形
…という場合、もしかすると本体にガタツキや歪みが生じてしまっているかもしれません。
もう本体自体が壊れかかっているパターンですね。
直すためにはリアディレイラー本体の交換が必要です。
ただ、本体が壊れているかの判断は難しいと思います。
- 「リアディレイラーのガタツキがあるかどうか?」
- 「何が正常で、何が異常なのか?の判断」
というのは、数こなしてるプロじゃなければ分からないでしょう。
もしその疑いがあるのなら、交換する前にチェックしてもらうと良いですよ。
スプロケットのガタツキ
- 使用しているスペーサーが適切ではない
- そもそも必要なスペーサーが入っていない
- スプロケットの固定が緩んでいる
といった原因からスプロケットのガタツキがあると、変速が上手く入りません。
スプロケット自体が動いてしまうからです。
手でスプロケットをつまんで動かしたときに「カタカタ」と動くなら、「何かがおかしいぞ?」と原因を追究しましょう。
- 最近ホイールを変えた
- スプロケットを変えた
…心当たりはありませんか?
一度スプロケットを取り外し、スペーサーが必要かどうかを再確認し、適正トルクで締めてみて下さい。直らなければお店へGOです。
ホイールが真っ直ぐ装着できていない
「どうしても変速が悪い…なぜだ…」
と悩みに悩んだ末、そもそもホイールが真っすぐ入っていないことが原因だったこともあります。
特に、最近ホイールの着脱をしてから変速調子がおかしくなった場合は疑うべきですね。
ホイールを固定するときは、必ず地面において真っすぐな状態で締めてください。
まとめ
以上、リアディレイラーの変速が悪い時の主な原因と解決策でした!
まとめとして再確認しましょう。
変速不調の主な症状 | 原因 |
ギアが全く変わらない | シフトワイヤーが切れてる |
シフトワイヤーの劣化・固着 | |
一気に2段変速する時がある | ワイヤーの緩み、初期伸び |
ディレイラーハンガーの曲がり | |
ギアが「ガチャンガチャン」と勝手に変速する | ワイヤーの緩み、初期伸び |
ワイヤーが切れかかっている | |
「チャッチャッ」と音鳴りがして変わらない | チェーンの伸び |
ワイヤーのゆるみ | |
時差で急に変わる | シフトワイヤーの劣化 |
トップに入らない | ディレイラーハンガーの曲がり |
シフトワイヤーの劣化 | |
シフトワイヤが切れかかってる | |
シフトワイヤーの張りすぎ | |
ハイ(H)側アジャストボルトの締めすぎ | |
ローに入らない | シフトワイヤーが緩んでいる |
シフトワイヤーが切れている | |
ロー(L)側アジャストボルトの締めすぎ |
この記事で紹介した「解決方法」を試せば、おそらく問題を解決できると思いますよ。
ぜひ参考にしてみてください。