自転車のスポーク(銀の棒/針金)が折れてしまった。外れてしまった。
- このまま走ってもいいのかな?
- 自分で直せるのかな?
- もし修理をするなら、交換費用はどのくらいだろう?
こんなお悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- 自転車のスポークが折れた/外れた時にやるべきこと
- そのまま走り続けるとどうなるのか?
- 初心者でも自分で修理できるレベルか?
- スポーク交換の修理費用(目安)
自転車整備士の私が解説します。
【記事を読む前に…】
本記事は「具体的な直し方」には触れません。
直し方を知りたいのではなくて、「今折れた状態だけど、どうしたらいいの!?」と慌てている方に向けた記事です。
トラブルが起きてしまい焦っているあなたにむけて、「やるべきこと」をお話しします。
ぜひ参考にしてください。
自転車のスポークが折れたままで大丈夫?
慌てている方も多いと思うので、先に要点だけまとめて書き出します。
【スポークが折れた(外れた)時は…】
- スポークが折れたら(なるべく)押して歩き、早急に修理をしましょう。
- そのまま乗り続けると、次から次へとスポークが折れていく可能性があります。問題が大きくなり、修理費用も高くなります。
- 修理費用は1000円~8000円程度(※後述します)
- 初心者が自分で修理するのはまず難しいと思います。
以下でより具体的に解説していきます。
(なるべく)押して歩き、早めに修理をしよう
「スポークが折れた!」と気づいたなら、なるべく早急に修理をしてください。
そのまま乗り続けると、最悪の場合は「数万円の修理費用(ホイール交換)」になる可能性があるからです。
まず折れた直後にやることは“スポークの固定”です。
車輪を回した時にスポークが暴れなければ大丈夫ですが、カランカランと色々な所に当たるようなら固定してください。
折れた一本を近くのスポークに巻き付けます。テープ、紐、強そうな草の根っこ…手段は何でもいいです。動かなくなれば十分です。
【スポークを固定する理由】
- 足に刺さって怪我をするから
- フレームに傷をつけてしまうから
- ホイールにダメージを与えてしまうから
乗り続けるとどうなる?
固定が出来たら、早急に自転車屋で修理をしましょう。
間違ってもそのまま乗り続けてはダメです。
自転車屋まで歩いていける距離なら極力「押し歩き」が推奨です。
ただし、どうしても距離が遠い場合は、リスクを覚悟で乗るのも仕方がありません。
スポークが折れた状態で乗り続けるのがダメな理由は、「更に次から次へとスポークが折れるから」です。最悪の場合スポーク交換では修理できなくなり、ホイール自体を丸々交換するケースもあります。
スポークは、ホイールの中心にある“ハブ”と車輪の輪っかである“リム”に繋がっています。
一本一本の棒が同じ力で引っ張り合うことによって、ホイールは振れることなく「円」になって回ります。「円」を作るためにテンションのかけ具合を調整するのがいわゆる“ふれ取り”と呼ばれる作業です。
一本のスポークが折れると、左右のスポークで引っ張る力が変わってしまいます。バランスが崩れます。
バランスが崩れると、綱引きで言うと片側に一人欠員が出た状態です。
欠員が出た分を他のメンバーが150%の力を出してカバーしていても、いずれ限界が来てダウンしてしまいます。1本スポークが折れるとホイールのテンションが狂い、そのせいで「弱いところ」ができてしまうのです。
だから1本折れた状態で乗り続けると、次から次へとスポークが折れていきます。
弱いところから順に限界を迎えてしまうからです。
「一本折れたくらいだしまあいいか」と放っておくと、のちに痛い目を見ることになります。
ホイール交換になるケース
そうしてスポークが3本以上折れてくると、ホイール交換になる可能性が高まります。
それは「折れている3本だけ」を交換したところで、既に残りのスポークにも深刻なダメージが加わっており、じきに折れてくるのが明白だからです。
だからスポークは1本折れた時点で早急に交換してあげる必要があります。
素早く修理してバランスを均等に戻すのです。
「あとでいいか」は手遅れになる可能性が高いので、「今日折れたら今日修理をする(or修理をするまで乗らない)」くらいに思っておいた方がいいです。
スポークが折れる原因
原因は様々ですが、主に下記の通り。
- 一度に大きな衝撃が加わった
- 何かモノを巻き込んだ
- 金属疲労によるもの(寿命)
※失礼ですが「体重」も立派な原因の1つです。重いとスポークは折れやすくなります。
一番多いのは金属疲労ですね。スポークやニップルの寿命です。これは防ぎようがありません。
ただ、元々ホイールがぐわんぐわんと振れていた状態なら、通常よりも折れやすい状態だったと言えます。(さっきのバランスの話と一緒)
振れも大きくなる前に修正しないといけません。
とはいっても一般人が「振れているかどうか?」なんて分からないと思います。
だから、何もなくても日ごろからメンテナンスを受けることが非常に重要なのです。
歯医者さんと一緒で予防が大切。「虫歯になってから」では遅いはず。
本来は「虫歯にならないように」点検を受けるべきなのです。
もししっかり磨けていない箇所があったとしても、プロから指摘されないとわかりませんからね。事前に定期健診をしていれば、防げたはずの虫歯だったかもしれません。
自転車をお店で買ったなら、場合によっては誰でもメンテナンスが無料だったり、メンバーは無料になったりする場合も多いですよね。
せっかく無料で使える権利を持っているのに、使わない人が多くてもったいないなと思います。プロを無料で使えるんですよ。
ホイールの状態を含め、自転車の健康チェックは非常に大事。
特に通学で使われる自転車は酷い状態のものが多いので、何かが起こる前に点検をしてもらいましょう。起こってからでは遅いです。大問題につながる小さな原因は早めに取り除きましょう。
スポークの交換費用(一般車/目安)
23年10月現在、サイクルベースあさひの工賃表を参考にすると上記の通り。
「ニップル交換」は、スポークの先に付いているネジのことです。ニップルが割れてスポークが外れた場合、スポーク自体は生きています。ニップル交換ならタイヤが装着された状態でも行えるため、工賃が安くなっています。
逆にスポークの頭(ハブ側)が飛んでしまっている場合は問答無用でスポーク交換です。
「車輪脱着不要」は、ホイールを付けたままでスポーク交換できる場合のことです。
簡単に交換できるようになっているハブがあります。基本的には車輪を外した上でブレーキやギアを外さないと作業できませんから、場合によって安くなるかもって話です。
「前輪より後輪の方が高い」です。
なぜなら後輪側はホイール自体を外すのが大変だからです。そしてスポーク交換する際もギアやブレーキが邪魔になり、スポークが通せないことが多いからです。作業が多い分費用が高くなります。
なおスポーク交換の場合、合うスポークがない場合はメーカーへの注文になり、時間が掛かるケースもあります。
また、特に後輪のスポーク交換の場合は作業量が多くて大変です。
お店が空いていても1時間程度かかる場合がありますので、余裕をもって行きましょう。
初心者が自分で交換できるレベルか?
調査すると、Googleでは下記のキーワードで検索されているようです。
- スポーク+折れた+直し方
- スポーク+折れた+修理方法
要は「自分で直したいから、やり方知りたいな!」っていう検索需要だと思います。これについて答えます。
結論、いきなり初心者が行うのは難しいと思います。スポーク交換は修理の中でも難しい部類になりますので、
(もちろん挑戦には否定しません。挑戦しないと上達しないからです。)
例えば一般車の後輪のスポーク交換をしようと思ったら、下記のスキルが必要です。
いきなりこの作業に挑戦するのは無謀かなと思うので、簡単な作業から徐々にスキルアップしていけばいいと思います。参考までにどうぞ。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【自転車のスポークが折れたままで大丈夫?】
- スポークが折れたら(なるべく)押して歩き、早急に修理をしましょう。
- そのまま乗り続けると、次から次へとスポークが折れていく可能性があります。問題が大きくなり、修理費用も高くなります。
- 修理費用は1000円~8000円程度(※後述します)
- 初心者が自分で修理するのはまず難しいと思います。
というわけで以上です!
ちなみにですが、自転車にもロードサービスがあります。
スポークが複数折れて全く走れなくなったり、出先でのパンク時など走行不能時に回収してくれるものです。普段から自転車をよく使う学生の方は加入しておくと安心ですよ。年4回までの無料搬送に対応してくれます。