自転車のフロントディレイラーがうまく動かなくて、チェーンがインナー側(軽い方)へ落ちないよ。
レバーをいくら動かしてもダメで…。
原因として何が考えられるかな?
解決へのヒントが得られたらうれしいのだけど。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- フロントディレイラーがインナー(内側・軽い方)へ入らない時の原因と対処法
- あなたがメンテナンスに関して全くの初心者なら、自転車ショップで見てもらった方がいい理由
自転車ショップでメカニックとして働く私が解説します!
私は以前、こんな記事を書きました。
>>>フロントディレイラーが「アウターに入らない」原因と対処法
こちらの記事が大変好評でして、現在までで26,000回以上の閲覧を頂いています。
それだけ、フロントディレイラーに関する悩みを抱えた人がいるということです。
「そういえば、“インナーに入らない時の原因”に関する記事を書いていなかったな」ということで、本記事を書かせていただきます。
内容は、すべて私の経験に基づくものです。
トラブル解消への参考になればと思います。よければ最後までご覧ください。
フロントディレイラーが「インナーに落ちない」原因と対処法
「インナーに落ちない」という症状には、考えられる原因はいくつかあります。
一つ一つチェックをして、間違っているところがないか確認しましょう。
…といっても内容は難しいので、専門知識があまりない方は、素直に自転車屋さんに任せた方がいいかなと思います。
“よくある原因”の順に紹介していきますね。
パッと思いつくのはこんな感じ。
たいていの場合は赤字で書いた上から3つを正しく設定できていれば、FDはしっかりと動くはずです。
特に、ご自身で何かしら触られた方は要チェックです。
こんな方は、設定を見直せば直ることがほとんどですね。
順に深掘りして解説していきます。
シフトワイヤーの張りすぎ
特に自分で触られた方に多いのですが、よくある原因第一が「シフトワイヤーの張りすぎ」ですね。
めちゃめちゃ単純な原因です。
フロントディレイラーを正しくギアに入れるために、シフトワイヤーの張り具合を調整します。
この時に、ワイヤーを張りすぎているとどうなるか?
「インナーに落ちない」という症状が起こるのです。
なぜかというと、本来はFDがインナー側の初期位置(ゼロ地点)に戻るから、しっかりインナー側へチェーンが落ちるわけです。
しかし、ワイヤーを張りすぎていると、FDが初期位置へ戻る前にワイヤーに引っ張られてしまい、“ゼロ地点”まで戻らないのです。
だから、インナーへ落ちなくなる。
解決策は、ひとまずワイヤーの固定を緩めることです。外しましょう。
外した状態でペダルを回せば、インナー側へ落ちますか?
もし落ちたなら、やはりワイヤーの張りすぎが原因だったと考えられます。
落ちないのであれば、次に紹介する「L側ボルトの締めすぎ」かもしれません。
FDの“L側アジャストボルト”を締めすぎ
フロントディレイラーの可動域を設定するために、二本のボルトを調整しますよね。(画像と違う場種類もあり)
このうち、“L側アジャストボルト”がインナー側の可動域…FD初期位置を設定するものです。
ワイヤーの固定を外した状態でL側ボルトを緩めると、フロントディレイラーが動きますよね。
リアディレイラーをロー側に動かした状態で、チェーンをフロントインナー側にセットさせ、FDと当たりそうで当たらないくらいの位置までボルトを調整します。
このボルトが締まりすぎていると、FDのインナー側の可動域を狭めることになり、つまりは「インナーに落ちない」という症状が起こるのです。
解決策は、「シフトワイヤーの固定を外した状態で、FDのL側ボルトを調整する」です。
初期位置を整えたあとでシフトワイヤーの張り調整に入りましょう。
FDの位置、角度が悪い
案外、基本的な“取付”を間違っていることも多いです。今一度確認をしてください。
角度・位置ともにシビアです。
FDの取り付け位置(高さ)は、アウターリングとの隙間が「1-3mm」になるのが目安。
指でFDを押しつつ高さを確認します。
次は角度です。「FD外側のウィングが、チェーンリングと平行」になるよう取り付けます。
この角度がちょっとでもズレていると入りが悪くなるので、細かく確認しましょう。
高さ・角度がこのくらいかな…?というところで、一度FDを仮締め。
再度かくにんしたのち、本締めしましょう。
本締めした後も最終確認です。
ちょっとややこしくなるのですが、サポートボルトのあるFDは、0.5-1mm内側に角度の付いた状態で固定し、最後にボルトを押し出し“平行”にします。
「サポートボルトってなんぞや?」
「どの部品のことじゃ?」
という方は、こちらの記事の写真が分かりやすかったです。
※サポートボルトは全てのFDにあるわけではありません。
シフトワイヤーやレバー、FD本体の劣化により、動きが悪くなっている
シフトワイヤーが錆びていたりすると、抵抗が増えることによってワイヤーがなめらかに動かず、正しい位置へ正しい反応速度で戻らないことがあります。
FD本体のサビや注油不足などが原因のこともあります。
解決するためには、シフトワイヤーの劣化なら「ワイヤーの交換」をしましょう。
>>>ロードバイク用シフトワイヤーのおすすめは?【選び方解説】
>>>自転車のシフトワイヤーの交換時期は?【目安は3000km~】
FDの劣化は、まずは注油で様子見。
どうにも動きが悪いなら本体交換になるかなと思います。
チェーンが伸びすぎている
チェーンが伸びすぎていたり、または錆びていたりすると、動きが悪くなることでインナーへ落ちなくなることもあります。
特に「チェーンの伸び」が原因になることは多々ありますね。
チェーンは走るとだんだん伸びていきます。
「伸びる=隙間が大きくなる」ということなのですが、ガタツキが大きくなることでチェーンが横方向の曲がりに“耐えて”しまうようになるのです。
新品のチェーンは必要な分のガタツキしかありません。
FDはチェーンを無理やり脱線させてギアを変えるわけですが、普通、横方向には大きく曲がりません。だからこそ素直に変速します。
しかしチェーンが伸びすぎていると、「FDに押されて曲がったまま」の状態になるんですよね。
チェーンが変速せずにガラガラガラr…って。
解決策は「チェーンの交換」です。
でもそもそも、「本当にチェーンが伸びているのか?」を確認した方が納得いくと思うので、まずはチェーンチェッカーを当ててみることですね。
チェーンチェッカーとは写真のようなフック状のものでして、フックの先がどちらも入れば「交換(寿命)」、入らなければ伸びていないので「交換不要」を判断するものです。
チェーンの寿命は目視では分かりにくいですから、持っておくのをオススメしています。
チェーンが伸びていて交換が必要であれば、速やかに変えましょう。
FDのウィングが変形している
転倒したり、ぶつけたりした拍子に「フロントディレイラーのひずみ」が生じていることがあります。
FDのウィング(プレート)が曲がっていると、うまく変速しません。
実際に修理で経験をしたことがあります。
「ちょっと曲がってるくらいじゃん?」って感じでも、変速には大いに影響があるのです。
解決策は基本的に「FD本体の交換」ですね。
応急処置的に曲げ直してもいいですが、人力で平行を出すのは難しいですから。
やっぱり現物を見ないと判断できない→お店へGO
このブログ記事は不特定多数の人が見ます。
「インナーに落ちない」といっても原因は様々でしょう。
やはり、トラブルの原因は触ってみないと分からないというのが正直なところです。
本記事を参考にしてもらいいつつ、どうにもダメならすぐ自転車屋さんに相談してみてください。
フロントの変速調整だけで済めば、工賃1000円もかからないとおもいます。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【フロントディレイラーが「インナーに落ちない」原因と対処法】
- シフトワイヤーの張りすぎ
→ワイヤーの固定を外して確認 - FDの“L側アジャストボルト”を締めすぎ
→ワイヤー固定を外し、L側ボルトを再調整 - FDの位置、角度が悪い
→アウターリングから1-3mm、チェーンリングと平行 - シフトワイヤーやレバー、FD本体の劣化により、動きが悪くなっている
→ワイヤー交換、FDへの注油 - チェーンが伸びすぎている
→チェッカーで確認後、伸びているなら新品へ交換 - FDのウィングが変形している
→基本的にFD本体の交換
てな感じですかね。
あらためてになりますが、たいてい“赤字”の内容を再確認すれば直ると思います。
少しでもお役に立てば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!