- シマノの8速用(6/7/8)チェーンにはどんな種類があるのだろう?
- 「CN-HG40」と「CN-HG71」の具体的な違いを知りたい。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- シマノ8速用チェーン(CN-HG40とCN-HG71)の具体的な違い
(シマノに直接問い合わせてみました) - どちらのチェーンを選んだらよいのか?個人的な見解
自転車整備士の私が解説します。
自分自身が8速チェーンを使っており、気になったので調べてみました。
よければ参考にしてみて下さい。
シマノ8速チェーンの種類
現在(23年11月)、シマノの6/7/8速用チェーンには下記2種類のラインナップがあります。
数字の大きい方(CN-HG71)がグレードが高く、価格も高いです。より手ごろに購入でき、より一般的なのが「CN-HG40」ですかね。自分自身はHG40を使います。
これら2種類の違いですが、結論から言うと「サビに強いかどうか」です。
もちろん手ごろなHG40に比べ、HG71の方がサビに強いとなります。
何がどう違ってこのような影響が出るかは、後ほど解説しますね。
CN-HG40
こちらがCN-HG40です。
2種類のうち、グレードが低い方になります。
外見を見てみると、全体的にグレーと茶色が混じったような色をしていますね。
CN-HG71
一方で、こちらがCN-HG71です。
CN-HG40と比べてグレードが高く、その分価格も高くなっています。
外見を見るだけでも違いがあり、全体的にグレー掛かった色のCN-HG40に比べ、ピカピカと輝いているのが確認できます。
外見での違いはこんなところです。
[CN-HG40]と[CN-HG71]の違いとは?
次に、カタログに載っている情報を確認してみましょう。
画像:シマノデジタルカタログ
大事なポイントだけを抜き出てみました。
インナーリンク 表面処理 |
ピンの表面処理 |
重量(114リンク) |
メーカー希望 小売価格(税抜) |
|
CN-HG40 | グレー | – | 324g | 1701円 |
CN-HG71 | ブラウン | クロマイジング リンクピン |
324g |
3324円 |
この表を見て分かることは、主に下記の3点かなと。
「インナーリンク」とか「ピン」って、どのパーツのことを指すの?
という方に向けて、チェーンの分解図がこちら。
チェーンには外側のプレートと内側のプレートがありまして、内側の方が「インナーリンク」です。
そしてチェーンのコマ一つ一つを繋げているのが「ピン」になります。
インナーリンク表面処理の違い
インナーリンク 表面処理 |
|
CN-HG40 | グレー |
CN-HG71 | ブラウン |
カタログを見ると、インナーリンクの表面処理にはこのような違いがあることがわかりました。
グレー・ブラウンとは恐らく色のことでしょう。
しかし、カタログを隅々まで確認してみても、これらの処理による具体的な違いについて説明しているページはありませんでした。
ピンの表面処理の違い
ピンの表面処理 | |
CN-HG40 | – |
CN-HG71 | クロマイジング リンクピン |
高グレードであるCN-HG71にだけ「クロマイジングリンクピン」が使われているとのことです。
「それって何?」「クロマイジングリンクピンを使うとどういう効果があるの?」と気になるところですが、こちらもカタログに説明はありませんでした。これらを調べたのが本記事の結果になります。
「クロマイジング処理」について自分で調べてみた
耐熱金属材料の表面に,高温耐食性を目的として,クロム Crを拡散浸透させる表面処理法。一般的には,気相法と粉末法が用いられる。
(出典:コトバンク)
チェーンピンの表面をクロム(Cr)で強化することによって、耐摩耗性を向上させているのでしょう。
シマノお客様相談窓口に問い合わせてみた
カタログ上の「違い」は分かったのですが、肝心な「性能面での違い」が全く分かりません。ネットを調べても出てきませんでした。
なので、正しい情報を得るためにシマノのお客様相談窓口へ直接電話をして聞いてみました!
以下が、実際のやり取りになります。
もしもし、こんにちは。
8速用チェーンについてお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。
はい、何でしょうか?
現在、シマノ8速用チェーンには
・CN-HG40
・CN-HG71
の二種類があると思いますが、これらの違いって何でしょうか?
自分で調べてみたところ、
・インナーリンクに対する処理の違いがあり、見た目の色が違う
・CN-HG71にはクロマイジングリンクピンが使われている
ということが分かりました。
これらの具体的な「性能・効果・耐久性の違い」や、もし他にも違いがあれば教えてください。
はい、確かにこれら2種類のチェーンの違いはピンとインナーリンクの表面処理であり、その他に違いはありません。
仕上げ処理については、下記となっております。
- CN-HG40がブラウン系の仕上げ
- CN-HG71がシルバー系の仕上げ
これが2種類の色の違いとなりますが、具体的にどのような処理をしているのかは企業秘密でお答えすることができません。
「処理による性能・効果・耐久性の違い」についてですが、シルバー系の仕上げ処理をしたCN-HG71の方がサビに強いです。
サビに強い・・・だけですか?
例えば、上位グレードのチェーンに使われているシルテック加工のように、摩擦抵抗が少なく滑らかに走れたり、チェーンが伸びにくかったりという違いは無いのでしょうか?
そうですねー。
CN-HG71にはクロマイジングリンクピンが使われている分チェーンの伸びにくさはありますが、微々たるもので、耐久性に大きな違いはありません。
摩擦抵抗についても変わらないです。
「サビに強いかどうか」が主な違いですね。
なるほど、分かりました!ありがとうございます。
では最後に確認をさせてください。
実は私は自転車店で働いているのですが、お客様にはどのようにオススメしたらよいのでしょうか?
おっしゃいました通り、単純に「サビを気にする方にはCN-HG71」の方をオススメすればよろしいですか?
そうですね。
基本的には価格が手ごろで求めやすいHG40をお選びいただければ良いのですが、
- 「チェーンはサビにくい方が良い」
- 「見た目がキラキラして輝いている方が好み」
というお客様にはCN-HG71の方をお選びいただくと良いですよ。
かしこまりました。
お忙しい中ご丁寧に対応して下さり、ありがとうございました!
それでは失礼します。
初めてお客様相談窓口に電話をしてみたのですが、ものすごく丁寧に、詳しく教えていただくことができました。
8速チェーンの選び方
具体的な違いが分かったところで、どちらのチェーンがあなたにオススメなのか、使用者のイメージをまとめました。
CN-HG40をオススメする人
サポートセンターの方も言っていたように、基本的にはコチラを選べばOKです。
確かにCN-HG71と比べて錆びやすいですが、メンテナンスさえしていればまっ茶色に錆びることはまずないので心配ありませんよ。しっかりと掃除をしつつ、注油を行いましょう。
>>【初心者必見!】自転車チェーンの洗い方・注油方法を完全解説
私は8速チェーンに錆びにくさは求めないので、安い「HG40」を普段使っています。
CN-HG71をオススメする人
逆に、グレードの高いHG71をオススメする方はこんな感じ。
※「さびにくい」という点で「あまりメンテナンスをしない人」と一応書きましたが、基本メンテはしてくださいね!
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【シマノ8速チェーン】CN-HG40とCN-HG71の違いとは?
- CN-HG40とCN-HG71の違いは「サビにくさ」にあり!
- 性能差や耐久性の差はほとんどないとのこと。
違いについて、意外と知らない人も多かったのではないでしょうか。もちろん自分自身もここまで詳しくは知りませんでした。
ちなみに、私は全てのシマノチェーンについて違いを調べたのですが、全部が「サビへの強さ」だけが違いではありません。例えば11速チェーンなら中空ピンの使用有無だったり、シルテック加工をした割合が変わったりしてきます。
勉強として知りたい方向けに、記事を貼っておきますね。よければ参考にどうぞ。
互換性に関する「チェーンの選び方」は下記記事で解説しています。