シマノの11速用チェーンは、グレード別にどんな違いがあるのだろう?
- CN-HG901(デュラエース)
- CN-HG701(アルテグラ)
- CN-HG601(105)
- CN-LG500(リンクグライド)
チェーンを選ぶときの参考ににしたいから、詳しく教えて欲しいなあ。
こんなお悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- シマノ11速用チェーンの種類
- グレードによる違いについて
- 「シルテック」とは何か?どんな効果があるのか?
- チェーンの選び方
自転車整備士の私が解説します!
自分で言うのもあれですが、シマノチェーンについてはオタクレベルで詳しいと自負しております。(笑)
「11速用チェーンには色々な種類があるけれど、一体どんな違いがあるのだろう?」
とお悩みではありませんか?
パッケージを見ただけでは具体的な違いまで分からないので、調べた方も多いでしょう。
最後まで読めば「自分がどれを選んだらいいか?」が分かるはずです。
違いを理解し、納得して購入できるようになりますよ。
シマノ11速用チェーンの違い【シルテックの割合と中空ピン】
まずは結論からお伝えしますね。
簡潔に言うと、シマノ11速用チェーンの違いは下記の2点のみです。
- シルテック(超低摩擦表面処理)の割合
- 中空ピンの有無
執筆時現在(23/10月)は、シマノの11速用チェーンは全部で4種類あります。
違いをまとめるとこの通り。
【グレードによる違いまとめ】
- グレードが高くなるほど「シルテック処理」をした割合が増える。
- また、最上位グレードの「CN-HG901(デュラエース)」のみ中空ピンを使用。
- 中空ピンの「CN-HG901」以外の3種類は、実は重量は一緒。
…という感じで、上記が「特徴面での違い」になります。
※用語は後ほど解説するので心配なく。
「で、結局グレードが上がるとどんなメリットが増えるの?」という話ですが、下記の通りです。
…これらは「シルテック」という表面処理の割合が増えることが主な理由です。
サクッと結論から簡潔にお伝えしましたが、多分この説明だけでは不十分ですよね。
こんな疑問を抱くと思います。
【疑問点】
- そもそも11速チェーンはどんな種類があるの?
- シルテックって何?
- 中空ピンって何?
もうちょっと詳しく教えてもらっていい?
なので、一つずつ順番に詳しく解説していきますね。チェーンの勉強をしていきましょう。
グレード別 11速用チェーンの種類【23年10月時点】
画像:シマノ
上から「グレードが高い順」に並べています。
CN-LG500だけ後から追加されたグループでして、「デュラ→アルテ→105…」のグレードの続きではないですね。別のグループとして「リンクグライドシリーズ」が存在しています。
【用語が分からん…】違いを深掘り解説
4種類あるチェーンの違いは「シルテックの割合」と「中空ピンの有無」と言いました。
これを理解するために、下記の内容を続けて解説していきます。
- チェーンの構成パーツ
- シルテックとは何か?
- 中空ピンとノーマルピン
チェーンの構成パーツ
まずは「チェーンの構成パーツ」について学びましょう。
「どこにシルテック処理されているか?」の違いを理解するために必要な知識だからです。
チェーンを分解すると↓の最小単位に分けられます。
上記4つのパーツで“チェーン”を構成しています。
なぜいきなりチェーンの構成について話したか。
グレードによって変わる「シルテック(表面処理)の割合」は、これらのパーツのどこを処理しているかが変わってくるからです。
↓下表がグレード別の具体的な違いになっております。
モデル名 | アウターリンク | インナーリンク | ローラー | ピン | 重量 |
CN-HG901-11 [デュラエース] |
シルテック | シルテック | シルテック | シルテック 中空 |
247g |
CN-HG701-11 [アルテグラ] |
シルテック | シルテック | – | シルテック | 257g |
CN-HG601-11 [105] |
– | シルテック | – | – | 257g |
CN-LG500 |
– | – | – | – | 257g |
注目して見て欲しいのが「シルテック(表面処理)」の割合です。
分かりやすくまとめました。↓
【シルテック処理された箇所】
- CN-HG901:アウター、インナー、ローラー、ピン
- CN-HG701:アウター、インナー、ピン
- CN-HG601:インナー
- CN-LG500:シルテックなし
最上位のCN-HG901はチェーンを構成する全てのパーツの「シルテック処理」がされていて、グレードが下がるにつれてその割合が減っていく…というのが具体的な違いです。
一番安いCN-LG500になると、シルテック処理された箇所はなくなります。
シルテックとは何か?
- ところでその「シルテック」って何?
- 具体的にどんなメリットがあるの?
…次はシルテックの解説をします。
画像:シマノ
【シルテックとは…】
シマノが提供する超低摩擦表面処理です。
シンプルで優れたコーティング加工のシルテックは、フッ素加工によってシステム性能を向上させる先進的な表面処理方法です。シルテック加工された製品は、あらゆる環境下においてもより滑らかな動作が長期間持続します。
引用:シマノ
(説明画像にもある通り)シルテック処理されたチェーンは通常のチェーンに比べ、下記のメリットがあります。
【シルテックのメリット】
- スライド回転摩擦減
- 走行中のノイズ減
- 泥はけ性能向上
- 耐摩耗性の向上
これを言い換えたのが冒頭での説明です。もう忘れてると思うのであらためて載せます。
チェーンの「どこ」にシルテック処理されているか?
その割合の違いが11速チェーンの主な違いになります。
中空ピンとノーマルピン
もう一つの違いが「中空ピン」か「ノーマルピン」かです。
といっても、中空ピンを使っているのはCN-HG901(デュラエース)のみですね。
「チェーンピン」とは、チェーンの一つ一つを結合している芯の部分です。
一台の自転車には120前後のリンク数があり、つまり120個程のピンが使われています。
「ノーマルピン」は中身が詰まったピンですね。こっちが通常です。
ラップの芯のように中が空洞になっているのではなくて、木の棒のように中も詰まっているピンのこと。
11速チェーンの場合、デュラエース以外の3モデル全てがノーマルピンです。
こちらがCN-HG901の「中空ピン」です。
ピンの部分をよく見ると分かりますが、ラップの芯のように中が空洞ですよね。
なので、「中空ピン」を採用しているチェーンの方が軽量です。
11速チェーンの重量は下記の通り。(※116リンク時)
- CN-HG901(デュラエース):247g
- それ以外の3種類(ノーマルピン):257g
中空ピンを使ったデュラチェーンのみ「10g」軽いことが分かります。
11速チェーンの選び方
違いである「シルテックの割合」と「中空ピンの有無」、理解できたでしょうか。
シルテックとは何か?チェーンの最小単位は何か?中空ピンとは何か?が分かれば、具体的に何が違うかバッチリ分かると思います。
シルテックの割合が増えれば増えるほどより滑らかになるし、中空ピンが使われているデュラチェーンにすればより軽くなります。
「で、結局どれを選べばいいんだ?」って話ですよね(笑)
私はいつもこのように説明しています。
※定価と実売価格は違いますから、値段を↓から確認してください。
(LG500よりHG601の方が安ければ、当然「HG601」を選んだ方が得です。)
「実際に走るとどれくらい違うの?」
とよく聞かれるのですが、ぶっちゃけ自分はCN-HG901以外の3つは違いがよく分からないレベルです。
CN-HG901は袋を開けた瞬間から「ポロポロ(スルスルの更に上)」となる感覚があり、他に比べても格別に動きがスムーズです。
やはり全てにシルテック加工され、中空ピンまで使用していると、違いは分かります。
でも、例えばアルテグラと105チェーンの違いって、ぶっちゃけ分からないです。
これはあくまでも自分の感想なのですが、周りの整備士に聞いても同じ感じですね。
そして実は今、私は試しにCN-LG500を使っているところです。
…が、やっぱり105やアルテとの違いって分からないなあと感じています。
なので性能を求めるなら「CN-HG901」を選べば違いが分かると思うし、そうじゃないなら安い「CN-LG500」でも十分かなと思います。通勤で使っている場合は特にそうです。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【シマノ11速チェーンの違いとは?】
結論、シマノ11速用チェーンの違いは下記の2点。
-
- シルテック(超低摩擦表面処理)の割合
- 中空ピンの有無
グレードが高くなるにつれてシルテック処理された割合が増えます。
CN-HG901(デュラチェーン)のみ中空ピンで、他3つに比べて10g軽いです。
【おすすめのチェーンの選び方】
というわけで、本記事の内容が参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました!
なお、ご自身でチェーン交換する際は下記の記事も参考にどうぞ!