自転車業界に属する企業の株でも買おうと思うのだけど、どんな企業・どんな銘柄があるのだろう?
この業界のことはあまり詳しく知らないから、「業界地図」みたいな感じで、全体の構造や企業の特徴を教えて貰えると嬉しい。
投資をする際の参考にさせて欲しいな。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- (投資家向け)自転車業界の構造
- 企業の特徴
- 国内で有名な自転車関連株
- 話題の「自転車ヘルメット」大手メーカーはどこか
自転車業界に入って6年目の私が解説します。
思いついた流れで書いていくので情報の網羅性に欠ける部分はあるかもしれませんが、よければ株式投資の参考にしてみて下さい。
なお、こちらの内容はYoutube動画からもご覧いただけます。
自転車業界に属する企業の特徴、分類
もちろんですが「自転車の会社」といっても、販売を担う“小売店”だけではありません。
大きく分けて3つの分類に分けることができます。
「そんなの大体わかるでしょ!」と思うかもですが、意外と一般人の認識は勘違いしている部分もあるので、深掘りして解説していきます。
フレーム製造会社(自転車メーカー)
いきなりですが質問です。
ところで「自転車メーカー」って、何をもって「メーカー」と判断するのでしょうか?
何をしている会社が自転車メーカーと呼ばれているのですか?
えっとー…
普通にお店で売られている「自転車」の形にするのが、メーカーではないのですか?
自転車もパーツも作って、くっつけて、走れる形にするのがメーカーっていうことだと思ってるけど。
多分、多くの人はこう考えていると思います。昔の私もそうでした。
でも違います。
自転車メーカーが自転車の骨格(フレーム)を作る
↓
部品製造会社が作った部品(自転車パーツ/コンポーネント)と組み合わせ、“自転車”の形にする
↓
小売店で販売する
というのが大まかな流れです。
例えば、スポーツタイプの自転車で有名なメーカーで言えば、
ジャイアント、メリダ、ビアンキ、トレック、ピナレロ、スペシャライズド…etcって感じです。
国内メーカーでいうと、
パナソニックサイクルテック(非上場/6752パナソニックHD子会社)、ブリヂストンサイクル(非上場/5108ブリヂストンの完全子会社)、ヤマハ発動機(7272)…なんかが有名です。
ちなみに、ヤマハ発動機とブリヂストンサイクルは電動アシスト付き自転車の共同開発を行っておりまして、
- ヤマハ発動機 → ブリヂストンサイクル へ 電動ユニット供給
- ブリヂストンサイクル → ヤマハ発動機 へ 車体供給
といったように相互に部品を供給し、補完し合っています。
部品製造会社(自転車パーツ)
メーカーが作ったフレームに、部品製造会社の作った「パーツ」を組付けていくことで自転車の形に仕上げていきます。
例えばブレーキ、変速機、チェーン、ホイール…など全てが“パーツ”になります。
で、世界的に圧倒的なシェアを誇り、超有名な「自転車パーツメーカー」こそが、知っている方も多いであろう「シマノ(7309)」です。
街で見かけるママチャリなどの一般車から、ロードバイクなどのスポーツ車まで、たいていどの自転車にもシマノのパーツが必ずと言っていいほど使われています。
もはや“シマノのパーツなくして、自転車作れず”といっても、全然大げさな表現でははないほどです。
※もちろん、中にはありますけど。
シマノは自転車メーカーではありません
ここで大事なポイントです。
「シマノ」は自転車メーカーではありません。フレームは作っていません。作っているのはパーツだけ。
というと分かりやすいでしょう。
インテルのCPUにも様々なグレードがあるように、シマノのパーツ群(コンポーネントと呼ぶ)にも色々あります。
他にある?国内の“上場”自転車パーツメーカー
他にも、国内パーツメーカーで上場しているところでいえば「新家工業(7305)」も紹介しておきましょう。車輪の輪っか(リム)が祖業である企業です。
リムの他にアラヤ、ラレーといった自転車メーカーの顔も持ちます。
…しかしながら、全体売上の約98%が鋼管関連。自転車関連セグメントが占めるのは1%にも満ちません。
自転車業界が好調だとしても、利益に与えるインパクトはごくわずかでしょう。
販売・小売会社(自転車ショップ)
自転車メーカーがパーツを組み合わせて作った「自転車」を、最終的に点検・販売するのが小売店の役割です。要するに自転車ショップのことです。
例えば…
- あさひ(3333)
- イオンバイク(非上場/8267イオンの完全子会社)
- シナネンサイクル ※ダイシャリンブランド(非上場/8132シナネンHDの完全子会社)
- ※エイチーム(3662/ネット通販/直近株式譲渡)
あたりが有名です。
各社PBとして、自社ブランドの自転車を作っていたりもします。
自転車関連株は銘柄数が限られる
ここまでザッと紹介してきて感じたと思いますが…
自転車関連銘柄って、数が非常に限られます(笑)
国内で上場している企業ってほとんどないんですよね。
少なくとも「メーカー」に関しては、自転車一本の企業っていうのはないです。
ブリヂストンサイクルやパナソニックサイクルテックは子会社。ヤマハ発動機の自転車関連売上は、全体のうちの“ランドモビリティ事業”に属します。具体的な売上高は探せませんでしたが、割合としては大きくないでしょう。
もしこの記事を見たきっかけが「自転車の売り上げが好調だから、気になって調べてみた」という時期でしたら、単純思考でも間違いではないと思います。
- 自転車の売れ行きが好調 → 小売店の売り上げ増
- 自転車の売れ行きが好調 → 自転車パーツメーカーの売り上げ増
「直近の自転車の販売台数・売れ行きどんな感じか知りたい!」という方は、
あさひ(3333)が出している月次情報が参考になると思います。
→https://corporate.cb-asahi.co.jp/ir/month/
より細かい業界全体のデータを分析したいならば、自転車産業振興協会のサイトが良い情報源になるかなと。
電動アシスト自転車の近況、企業について
ここ数年で電動アシスト付き自転車のシェアがグングン増えてきています。
一方で、自転車全体の出荷台数は長らく減少が続いている状況です。
電動アシスト付き自転車に関連した銘柄・企業は、先ほども紹介した大手3社が有名です。
- パナソニックサイクルテック
- ブリヂストンサイクル
- ヤマハ発動機
各社の販売割合に関する記事を探しましたが、見つかりませんでした。
世界的に見れば、電動ユニットの有名メーカーは…
てなところですかね。
国内シェアバイク大手企業
国内のシェアバイク大手を4つ紹介します。
いずれも非上場です。
個人的にはシェアサイクルよりも、シェア電動キックボードが増えていくのではと思ってます(笑)
LUUPなんかが有名ですよね。しかし法の整備・改定が発展に必要不可欠な要因です。
自転車業界の業績に影響を与える要因
次に、自転車業界の業績に影響を与えるであろう要因についてです。
まだまだ僕も詳しくないですが、IRなどから読み取れる要因を3つまとめました。
- 為替
- 海上運賃
- 原材料価格
為替
基本的に「円安」が悪材料、「円高」が好材料です。
というのも、自転車は海外からの輸入がほとんどだからですね。
海上運賃
そして自転車は海運によって運ばれてきます。
海運の定期船運賃市況が自転車の輸入価格に大きくかかわってきます。
それはつまり、販売価格に転嫁できなければ、利益を押し下げる要因になります。
参考:海運市況 日本郵船株式会社
原材料価格
鉄、アルミ、ゴムなど…原材料価格も業績に影響を与えます。
自転車の販売動向に合わせてこれら要因を先読みできれば、株で勝てる…かも?(笑)
なんてね。シリマセンケド。
【努力義務化】自転車ヘルメット、大手メーカーはどこ?株は買える?
そういえば、2023/04/01から自転車ヘルメットの着用努力義務化になりますね。→なりました。
「ということは、ヘルメットメーカーの株を買いだ!」と思ったそこのあなたに向けて、紹介だけしておきましょう。
国内で最も有名なヘルメットメーカーは「オージーケーカブト」です。
でも、残念ながら非上場。
ちなみに自転車ライトで有名なメーカーは「キャットアイ」ですが、同じく非上場です。
さいごに
自転車業界ってこんな感じです。
上場している銘柄数も多くないですし、ぶっちゃけそれら銘柄も出来高は少ないです。
あんまり人気のない、話題になりにくいセクターではあります。
ただ、確かに大きな成長は期待できないセクターかもしれませんが、一方で“安定した需要”は見込めますよね。
配当目当て、優待目当ての投資もいいのではないでしょうか。
最後はご自身の判断に任せます。
良ければ参考にしてみて下さい。ご覧いただきありがとうございました。