スポーツタイプの自転車(ロードやクロスなど)に乗っているのだけど、普通の空気入れと違うからやり方が分からなくって。
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どのような手順で空気を入れたらよいのか?
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どこまで空気を入れたらいいのか?
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どのくらいの頻度で空気を入れるのか?
…といったことを教えて欲しいなあ。
専門用語とか分からないから、初心者でも分かるよう解説して貰えると助かる!
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- スポーツタイプの自転車に使われる“仏式バルブ”に空気を入れる方法
- 空気入れの使い方&注意点
- 空気圧の単位&どこまで入れたらよいのか?
- どのくらいの頻度で空気を入れるのか?
- 空気入れを怠るとすぐにパンクする理由
自転車ショップでメカニックとして働く私が解説します!
自転車の空気入れは基本中の基本。
お花には水やりが欠かせないのと同じくらい、重要な行為です。
でも、「どうやって入れたらいいか分からない」という方が非常に多いですよね。
私たちもお店でポンプの説明は行っていますが、正直一回の説明で全て覚えるのは難しいでしょう…。
そこで今回は、スポーツ車によく使われる“仏式バルブ”に対する空気の入れ方について解説します!
※仏式バルブとは、↓画像でいう中央。細長いバルブのことです。
初心者からよく質問がある内容を先回りしてお答えしてますので、是非参考にしてみて下さい。
空気入れをしないと、100害あって1利なし。
面倒だからと怠ると…修理費用が大変なことになります。
本記事で学ぶことで、不安なく空気入れ出来るようになりますよ!
【ザックリ解説】空気入れの全体像
まずは全体の流れから確認です。
だいたいこんな感じ。
あとで詳しく説明しますが、空気入れの頻度は
- ロードバイクなら1週間に1回
- クロスバイクなら2週間に1回
このくらいを目安に行いましょう。
厳密にはタイヤの太さや空気圧によるので、一概にはいえません。
知っておいて欲しいことは「ママチャリよりも空気入れの頻度が多い。すぐに空気が抜ける。」ということです。
「お花に水をやる」くらい重要なのが、自転車で言うと2つの基本メンテ。
- 空気入れ
- チェーンの掃除&注油
なぜ大事かと言うと…
【空気入れをしなければいけない理由】
- 空気入れをしないと必ずパンクするから。
- タイヤの寿命がグッと縮まるから。
- 走りが重たくなるから。。
【チェーンの掃除&注油をしなければいけない理由】
- ゴミが溜まり、チェーンの寿命が半分以下になるから。
- チェーンが錆びて切れたり、変速が決まりにくくなったりするから。
- 金属抵抗が増えて走りが重たくなるから。
前置きはこのくらいにして、本編へ移りましょう。
【用意するもの】仏式対応のメーター付きポンプ
空気入れ(ポンプ)をお持ちでないと、始まりません。
ママチャリ用の空気入れは使えませんので、「仏式対応」「メーター付き」の空気入れを購入してください。
例えばこんな空気入れなら使えます。
– 以下、一部の方へ案内です –
仏式バルブを採用した自転車の中には「英式アダプター」の付いた自転車があります。
↓こんなやつ。
これは、仏式バルブに対して被せて使うもので、“ママチャリ用の空気入れ”でも使えるようにするためのものです。
便利そうに見えるのですが、2点の理由からオススメはしません。
- 適切な空気圧管理ができないから
- ロードバイクのような“高圧”まで入らないから
仏式バルブの自転車をお持ちなら、素直にメーターが付いた仏式対応ポンプを買うべきです。
【ロードバイク/クロスバイク】仏式バルブの空気の入れ方
写真を交えつつ、手順を一つずつ解説していきます。
バルブキャップを外す
まず最初に、バルブの先に付いているキャップを外します。私のは透明ですが、基本は黒でしょう。
反時計回り、左回しで緩まります。
バルブの先を緩める
見慣れない形のバルブがでてきましたね。
これが“仏式(ふつしき)バルブ”です。
空気を入れる前に、バルブ先端の“頭”を緩めて、一番上まで持ってきてください。
↑これが一番緩んだ状態です。
ここを緩めないと空気弁が閉じたままになりますので、空気が入りません。
初心者がよくミスるポイントなので注意です。
頭を緩めたら、指で2,3回押し込んでください。
「プシュッ、プシュッ」と空気が抜けます。慌てなくてOK。
空気を入れる前にこの作業を行う理由は「弁の動きを確認するため」です。
ゴミなどが詰まっていると空気がうまく入らないので、プシュッっと空気を抜いて弁の動きを確認し、空気がスムーズに入るよう準備をしておくのです。
ポンプを固定
バルブの先が緩まっているのを確認した上で、ポンプを固定します。
前提として、ポンプが緩まっていることを確認しましょう。
“緩まった状態”はポンプによって変わりますが、たいてい「レバーを立てるか、倒すか」です。
レバーの開け閉めで中のパッキンが広がったり、狭くなったりします。
広がっている状態→緩んでいる状態です。
バルブに対してグッと垂直に力を加え、差し込んで下さい。
結構強めでOKです。奥深くまで挿入してください。
(※入らない時はレバーの位置が逆、緩まっていないかも。詳しくはポンプの説明書を読んでください。)
この入り浅いと空気が入りません。
適正空気圧の確認
空気を入れ始める前に確認すべきことが「適正空気圧」ですね。
スポーツ自転車はママチャリと違って“感覚”で空気を入れるわけではなく、具体的な数値(空気圧)を確認しつつ入れます。そのためのメーターです。
タイヤ側の適正空気圧
適正空気圧はタイヤによって変わります。
タイヤの側面をグルッと一周見てみてください。
どこかしらに、必ず指定空気圧の表記があります。(表になければ裏を見る)
空気圧の3つの単位
bar/kPa/PSI…これらが空気圧の単位になります。
全て表記してあるタイヤもあれば、一つの単位しか書かれていないタイヤもあります。
とにかく、空気圧の書かれた数値を見つけましょう。
私たちプロでさえ、毎回タイヤを見て確認してから空気を入れます。
1つの単位でしか表記が無い場合は良いですが、複数ある場合はこう悩みますよね。
結局、どの単位を使ったらいいわけー?
はい、使う単位は「ポンプ側にある単位」でOK。
ここでちょっと、ポンプのメーターを確認しましょう。
メーターの内側、外側で用いられている単位が異なるはずです。
例えば私のポンプだと…
- 外側の単位が「kPa」
- 内側の単位が「psi」
タイヤ側の空気圧を確認する時は、このどちらかで見るということです。
barやkPaが一般的ですかね。
なお、kPaの100分の1がbarとなります。※750kPa=7.5bar
空気圧の「min-max」
タイヤ側の指定空気圧の表記は2パターンあります。
タイヤによりけりです。必ず確認。
例えばこのタイヤなら、「最大120PSI」。
ちなみにさっきのタイヤなら、「MAX8.0BAR(=120PSI)」
どこまで空気を入れるのか?
タイヤの空気圧には「min-max」や「max」の表記があることはよく分かったよ。
ところで、空気圧には範囲があるけど、どこまで入れたらいいわけ?
最大の数値ピッタリまで入れるべきなのかな…?
おそらく、こんな疑問が湧きますよね。
ひとまず、最初は「最大数値の9割」くらいを目安に入れればOK!
慣れてきたら「好みの空気圧」を探しましょう。
例えば…
[min600kPa]-[max850kPa]だとしたら、850×0.9=765kPa。
→約750kPa(7.5bar)を目安に空気を入れればOK。
[max7.0bar]だったら、7×0.9=約6.3bar(630kPa)が目安です。
空気圧で変わる乗り心地の差
「ひとまず最大の9割」と言いましたが、走り慣れてきたら色々な空気圧を試してみて、好みの硬さを探って欲しいのです。
というのも、空気圧によって乗り心地が変わるからです。
体重や走る道、走り方、感じ方などによって、その人に対する“最適な空気圧”は変わります。
【空気圧の特徴】
→タイヤに弾力がでて振動を吸収しやすくなるため、乗り心地が柔らかくなる。
→一方でタイヤが変形しやすく路面との接地面積が増えるため、抵抗が増えてスピードが出にくくなる。
<空気圧が高め>
→タイヤが硬くなり変形しづらくなるので、クッション性が無くなり振動を感じやすく、疲れやすくなる。
→一方で路面との接地面積が減り、抵抗が少なくなりスピードが出やすくなる。
サイクリングにハマってきたら、入れる空気圧を変えてみて、走りの違いを実感してみて下さい。
長く走れば走るほど、その違いがよく分かりますから。
実際に空気を入れる
今現在の状態を確認します。
- ポンプをバルブに固定している
- タイヤの指定空気圧の確認が終わり、どこまで入れるか分かっている
間違いないですね?進めていきましょう。
空気を入れるコツ、姿勢
ポンプに力を入れて押し込み、空気を入れていきます。
コツは腕の力ではなく、体全体、体重をうまく使って押し込むのです。
極端な話、空気を入れる時に一瞬足を浮かせてみてください。
その時の姿勢、力の入り方です!
肘はピンと伸び、背筋は立ち、膝の屈伸と共に体重をグッとかける。
そうすると、力を使わず楽に空気が入ります。
ママチャリと比べて高圧入れるため、かたくて跳ね返されてしまうこともしばしば。女性は特に。
コツさえ覚えれば軽く入るようになるので、最初は練習ですね。
うまく空気が入ると、メーターの針が動いていきます。
「目標の空気圧(最大の9割程度)」まで空気が入ったら完了です。
もちろん前後輪行ってください。
空気入れを外す
ポンプのレバーを緩め、バルブから抜き取ります。
この時、必ず垂直に力を加えて抜いてください。
斜めに引っ張ったり、ぐりぐり引っこ抜こうとすると、バルブの先が曲がってしまう恐れがあるからです。
両手の親指でスポッと抜ける
私がやっているオススメの抜き方はこう。
右手はポンプに添えるだけ。
左手はホイールに添えて、親指でグッと押し出します。
軽い力で“安全に”スポッと外れます。
なぜ「安全」を強調したかというと、最初必ず失敗するからです。ケガをするから。
片手で「抜くことだけ」を考えて引っ張ると、勢いよくポンプが抜け、手がギアに刺さってけがをします。
危険なので、私のように抜くのがオススメですね。
バルブのネジを締める
ポンプを外したら、バルブ先のネジを必ず締めてください。
時計回りで一番下に来るまで回します。ギュッと。
締めが甘かったり、締め忘れたりするとスグに空気が抜けるのでお忘れなく。
キャップを付ける
外したキャップを取り付けて終了です。
なお、最初に付いてくるキャップはプラスチック製でして、いずれ割れます。なくなります。
そうなったら、“アルミ製”のキャップに変えるのがオススメですね。
カラーも選べるので、誰でも出来るお手軽カスタムとしてもいいでしょう。
空気入れの頻度
空気の入れ方解説は以上です。
最後に補足で「空気入れの頻度」について改めて説明します。
空気入れの頻度ですが…
- ロードバイクなら1週間に1回
- クロスバイクなら2週間に1回
くらいが目安となります。
タイヤの太さや空気圧の高さにもよるので、一概には言えませんが。
スポーツ自転車は空気の抜けが早い
いずれにせよ「絶対に1カ月は持たない」という認識を持ってください。要注意。
スポーツ自転車はママチャリに比べて、空気の抜けが早いです。
そもそも、タイヤの空気はゴム風船と同じで、何もしなくてもすこーしずつ抜けていきます。
スポーツ自転車がより早く空気抜けしてしまうのは、
が原因ですね。まあ「そういうもの」なのです。
空気を入れるメリット/デメリット
最初に「空気入れは花への水やりくらい大事なメンテ」だと言いました。
なぜか?
【空気を入れるメリット】
- 路面抵抗が減り、楽に軽く速く漕げるようになる
- タイヤの摩耗がしにくくなったり、ひび割れが起きにくくなるので、寿命が延びる
- 「空気圧不足によって必然的に起こるパンク」を避けられるので、運要素が大きい“刺さりものパンク”が主になる
【空気を入れないデメリット】
- 路面抵抗が増え、漕ぐのが重くなるし、進みも悪くなる
- タイヤの摩耗を促進し、ひび割れがすぐに起き、寿命がとても縮まる
- 空気圧不足によって必然的にパンクが起こる。運ではないため無駄なパンク。無駄な出費。
要するに、空気を入れないのは自転車にとって悪いことしかないのです。
- 走りがとっても重たくなる
- タイヤの寿命が半分以下に縮む
- 運ではなくて必然的なパンクが起こる(「空気入れてないなら当然パンクするよね」ってこと)
この「空気圧不足によるパンク」が、どれほど多いことか。特に学生。
修理をする身だからこそ思います。もったいないなって。
空気圧不足によるパンクの場合、タイヤもチューブも劣化が激しいです。
いわゆる「パンク修理」では済まない場合が多く、タイヤ&チューブの交換になることが多い。
そうなると、ザっと見積もって前後のタイヤチューブ交換で1万円は掛かります。
>>>ロードバイクのタイヤを交換すると、値段はいくら?【目安】
空気を入れず、修理に1万円を払う未来を選ぶか、
空気を入れて、修理代1万円の余分な出費を節約できる未来を選ぶか。
どっちの道を選ぶかは、あなたの心がけ次第です。
「空気を入れる」だけで、自転車はうんと長持ちします。
無駄な修理代を払いたくなければ、今から空気を入れる習慣を付けていきましょう!
空気入れなんて、1回5分もあれば終わりますから!
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【仏式バルブの空気の入れ方】
- バルブキャップを外す
- バルブの先を緩める
- ポンプを固定
- 適正空気圧の確認
- 実際に空気を入れる
- 空気入れを外す
スポーツ自転車は空気入れの頻度が多いので、入れ方はマスターしなければなりません。
本記事でも分かりやすく解説したつもりですが、どうにも分からなければ自転車購入店へ尋ねてみましょう。
お役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。