定期的にチェーンにオイルをさしているんだけど、なんだか黒くドロドロになってきちゃった。
これって、オイルの付けすぎかな?
でも、オイルが不足しているよりは、いっぱい付けた方がいいんじゃないの?
サビも発生しなくなるし、潤滑もよくなるからね!
とはいえ、流石にチェーンが汚れすぎているな・・・
どうやって洗ったらいいかな?
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- チェーンにオイルを付けすぎてはいけない理由(ドロドロしてたら要注意!)
- 最適なチェーンオイルの量
- チェーンをピカピカな状態に戻す方法
- チェーンを洗う頻度
- チェーンの寿命を確認する方法
自転車ショップでメカニックとして働く私が解説します。
いきなりですが、まず最初にこの写真を見てください。
このように思った方は要注意!
恐らく、あなたも「チェーンオイルの付けすぎ」です。
“適量”の認識が間違っていると思われます。
私もロードバイクを始めた頃はそうでした。
「チェーンオイルってこのくらいかな?」と、正解を知らない状態だったので、付けすぎだったようです。
自転車屋さんに行ったときに指摘されて、初めて気が付きました。
実は、このようにオイルを付けすぎていると、チェーンに悪影響を及ぼします。
ご存じでしたか?
多分、知らなかったですよね。
だからこそ、付けすぎているのだと思われます。
そこで本記事では、「チェーンオイルの適正量がよく分からない」という初心者の方に向けて、
- なぜ付けすぎは良くないのか
- 適量はどのくらいか
- 洗うにはどうしたらいいか
といった内容を詳しく解説していきます。
これらを知ることで、自転車を高いパフォーマンスで、より長持ちさせることができますよ。
それではご覧ください。
【ドロドロしてない?】チェーンにオイルを付けすぎてはいけない理由
チェーンオイルを付けすぎてはいけない理由。
それは、「ゴミを拾いやすくなるから」です。
ゴミを拾ってしまった結果、
という3つの悪影響が生じます。
「うーん、正直よく分からない・・・」と思う方がほとんどだと思うので、詳しく解説します。
寿命が縮む
余分なゴミが付いていると、チェーンの寿命は大幅に縮まります。
なぜかというと、ゴミが“研磨剤”と化し、金属でできたチェーンを削ってしまうから。
そもそも、チェーンの寿命って何を基準に確認すればいいかご存じですか?
正解は、「伸び率」です。
伸びるといっても金属がびよーんと伸びるわけではなく、走行によって金属が削られていき、わずかな隙間ができます。
隙間ができるとチェーンがガタつくようになり、それが積み重なって“伸びた”ように見えるのです。
つまり、「チェーンの伸び=削れ具合」。
一旦話を戻して、なぜゴミが研磨剤となるかの続きです。
例えば、チェーンの可動部に微小な小石(ゴミ)が入っていたらどうなるでしょうか?
動くたびに石が金属の上を転がり、削ってしまいますよね。
で、チェーンが削られるとどうなるんでしたっけ?
そう、ガタツキが大きくなって「伸び」が生じるんでしたよね。
つまり、寿命を縮めてしまうということです。
だから、チェーンはゴミの付いていない綺麗な状態を保つ状態がベスト。
ゴミを拾いやすくなってしまうため、チェーンオイルを付けすぎてはいけません。
回転抵抗が増える
あとは、ゴミが付いていることによって「回転抵抗が増える」という悪影響もあります。
つまり、ペダリングが重くなるということ。
先ほどの例と同じように、チェーンの間にゴミが入っていたらどうなるでしょうか?
ゴミが“ゴリゴリ”と当たってしまい、滑らかな回転を妨げますよね。
抵抗が増えて、回りにくくなります。
ですので、オイルの付けすぎはいけません。
チェーンが重くなる
最後に、「チェーンの重量」について。
オイルの付けすぎでゴミが溜まると、それだけ余分に重くなります。
結果、ペダリングが重くなり、走行性能へ悪影響を及ぼします。
実際どのくらいのゴミがたまっているかというと「約10g」です。
ケミカルメーカーのワコーズさんの洗車講習を受けたときに、そう教えていただきました。
とはいっても、
10gってそんなに影響あるの?
いまいち、分かりにくいけど。。。
と思う方もいるでしょう。
私もこれを聞いた時、ピンときませんでした。
「そんなに変わるのかな~?」って。
でも、こう表現したらどうですか?
「デュラエースチェーンが、105チェーンの重さになってしまっている」と。
というのも、
- デュラエースチェーン(CN-HG901)は247g
- 105チェーン(CN-HG601)は257g
ちょうど、10g差です。ゴミの重量と全く同じ。
ゴミだらけのデュラエースチェーンは、105チェーンと同等の重さになってしまうのです。
事の重大さがイメージできたでしょう。
この二種類のチェーンを使ったことがある方ならわかると思いますが、10gの差ってめちゃめちゃ大きいんですよね。
持った感じの重さも全然違うし、走り心地もまるで違う。(厳密には加工処理の違いもありますが)
非常にもったいないですよね。
なので、オイルを付けすぎてはいけません。
心当たりがあれば、すぐに洗浄しよう
やばい。まさに自分のことだ・・・
いますぐゴミを洗い落としたくなってきたんだけど。
そう思っていただけたら、記事を書いた甲斐があります。
忘れてしまう前に、すぐに洗いましょう。
チェーンの洗浄方法について、こちらの記事で詳しく解説しています。
チェーンがドロドロだと、駆動系パーツがが全体的に汚くなっているだろうと思われます。
チェーンだけをピカピカにしたところで、他のパーツも一緒に綺麗にしないと、すぐに汚れが復活してしまいます。
ですから、記事内で紹介している
- プーリー
- チェーンリング
- チェーン
これら3つのパーツ全てを洗う方法を試してみてください。
ちゃんと掃除をすると、ペダルを踏んだ時の感触がまるで変わりますよ。
「うわっ!軽い!」と感じられ、掃除も乗るのも楽しくなると思います。
洗浄後は欠かさず注油を
汚れるのを怖がりすぎて、洗浄をしたまま注油をしないのは絶対にいけません。
チェーンを軽く、滑らかに回転させるためには、オイルは必要不可欠。
洗浄をしたら注油もセットで行うようにしましょう。
先ほどと同じ記事内で、“どれくらいが適量か”の解説もしています。
チェーンを洗う頻度って?
ここまで聞いて、こんな風に思った方もいるのではないでしょうか?
ところで、チェーンってどのくらいの頻度で洗えばいいの?
これについても、ワコーズさんの洗車講習会の時に聞いてみました。
理想的なのは、「2週間に一回」なのだそう。
理由は、「あまり日が経過してしまうと、油が固まって掃除が大変になるから」ということでした。
汚れが柔らかいうちに掃除しましょうってわけですね。
ただ、2週間に一回もやるのって大変じゃないですか。
絶対やらないといけないかというとそうではなくて、「あくまでも、汚れが取りやすいから」です。
あまり走行していないのなら、わざわざ掃除する必要はないそうです。
本当の意味で絶対に掃除&注油をしなければいけないのは、油が切れてきたら。
チェーンオイルは、およそ300-500km持ちます。(モノによりますが)
オイルが切れてくると“キュルキュル”いうようになるので、オイル切れを感じたら必ずメンテナンスを行いましょう。
ちなみに、洗浄の頻度が多すぎる分には全く問題ないとのことでした。
【注意】
洗浄する時は、市販のパーツクリーナーを使うのはオススメしません。
チェーンに攻撃性があるためです。
詳しくは「自転車のチェーン掃除に“パーツクリーナー”をやめるべき2つの理由」で解説しています。
チェーンの寿命、確認してる?
始めに述べたように、チェーンの寿命は「伸び率(ガタツキの大きさ)」で決まります。
決して「錆びたら」とか、「切れたら」ではありません。
いくら見た目がピカピカでも、自転車に乗れば自然と消耗していくパーツです。
ところで、「チェーンの寿命」を確認してますか?
まさか、「メンテナンスだけして、寿命があることは知らなかった!」なんてことはないでしょうね!?
・・・実はこれ、昔の自分の話です。(笑)
チェーンが消耗品だということを認識しておらず、指摘されるまで気が付きませんでした。
恐らく、これを読んで「ハッ」とした方が一定数いるのではないでしょうか。
チェーンの伸びは、定期的に確認するようにしましょう。
チェーンチェッカーというアイテムを使うことで、寿命を迎えているかを確認することができますよ。
1000円ちょっとで買えるので、1つ持っておくと便利です。
寿命を超えたチェーンを使い続けると、駆動系パーツ(プーリー、チェーンリング、スプロケット)が削られていきます。
最終的にチェーンとのかみ合わせが悪くなり、使えなくなります。
それらのパーツを全て交換しないと、まともに乗り続けることができません。
グレードにもよりますが、交換費用はザっと1万円は超えるでしょう。
場合によっては2万円くらいになるかも。
「ただチェーンの交換を怠った(知らなかった)」だけで、このような悲劇が起こりかねません。
ですからチェーンチェッカーを使って寿命を確認し、必要なタイミングで交換するようにしましょう。
まとめ
長くなりましたが、本記事の最重要ポイントを再確認しましょう。
【オイルの付けすぎは、チェーンに悪影響】
- 寿命が縮む
- 回転抵抗が増える
- チェーンが重くなる
→「しっかりと洗浄&適量注油」を行うことが大切です。
ドロドロしているチェーンは、もれなくオイルの付けすぎ。
いますぐ掃除しましょう!
自転車およびチェーンのメンテナンスの参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!