ディスクブレーキのローターやロックリングを交換しようと思っているのだけど、調べてたら新しい用語が出てきてよく分からなくて…。
センターロックの
- 「内セレーション(スプライン)」
- 「外セレーション(スプライン)」
って何がどう違うのだろう?見分け方は?
知識として知っておきたいから、分かりやすく教えて貰えると嬉しいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- センターロック式ディスクブレーキの「内セレーション」「外セレーション」の違い
- それぞれの着脱に使う工具
- シマノ以外の「AFS式ロックリング(センターロック)」の存在
- <補足>ローターを購入すると、ロックリングは付属してくる
自転車ショップでメカニックとして働く私が解説します。
最近はディスクブレーキ車が本当に増えてきましたね。
お乗りの方はどこかで疑問に思うであろう「内/外セレーション」の話。
本記事で分かりやすく説明します。
センターロックの「内/外セレーション(スプライン)」の違い
そもそもですが、ディスクローターの固定方式には2種類あります。
このうち、今回説明するのが「センターロック式」について。
ローターを固定するロックリングは主に4種類あります。
※「セレーション」と「スプライン」は同じ意味だと思います。シマノのカタログにも混在しているのですが、指している内容が一緒なので。本記事では主に「セレーション」で表記します。
まず理解すべきは「内セレーション」「外セレーション」の違いですね。
結論、「工具を掛けるギザギザが“内”にあるか“外”にあるかの違い」です。
シマノの場合、ひとまず見分け方はそれだけ。
…ですが、後に説明するAFS式ハブもあるので注意が必要です。
シマノのカタログにある説明画像を見ると分かりやすいです。
>>【関連記事】センターロック式ディスクローターの着脱工具は?
順に深掘りして解説していきます。
内セレーション(スプライン)
内セレーションのロックリングの場合、いわゆる「スプロケットの工具」を使って着脱します。
要するに「カセットスプロケットのロックリング」とほぼ一緒みたいなのが、内セレーションタイプのセンターロック。
工具を回すためのギザギザが内側にあるがゆえ、対応するシャフト径は12mmまで。
15mmのシャフトに入れようとすると、工具が干渉してしまい、しっかり締めることができません。
外セレーション(スプライン)
対して外側にギザギザがあるのが「外セレーション」タイプのロックリングです。
着脱にはシマノのBB規格の「ホローテック2」用の工具を使います。
内セレーションに比べたときのメリットは、シャフトを通す穴が大きいために、15mmなどの太いシャフトでもうまく使うことができます。
「内」か「外」どっちでローターを買えばいいかは、元々付いていたのと同じ方を選べばいいかなと思います。
ただ元々が「内」だろうが「外」だろうが、「内→外」「外→内」のカスタムは一応可能です。
一応というのは、ハマるにはハマるけども…
- 工具が干渉してはまらない
- ロックリングがフォーク内側と干渉する
といった不具合が起きて現実問題付かなかったりするので、内か外かは、結論「付けれる方を付ける」って感じです。
内&外セレーション(スプライン)
内も外もギザギザのある、両対応したロックリングもラインナップがあります。
「内&外セレーションのロックリングはどういった時に使うのか?」というと、12mmでも内セレーションのロックリングだと干渉することがあるので、そういったシーンで使います。
ロックリングの互換表
一応、ロックリングの互換表を紹介しておきます。
先述した通り、軸タイプ、軸の太さに応じて「内・外スプライン」の使えるロックリングが変わるということです。
「AFS式ハブ」とは?【シマノのロックリングは使用不可】
…と今までの説明はあくまでも「シマノのセンターロック」の話です。
どういうことか?
他に「AFS式」というセンターロック方式があるからです。
フルクラム、カンパニョーロ系のホイールに採用されているので、使っている方は要注意。
間違える人がとにかく多いので以下じっくり読み進めてみてください。
…という私も最近まで間違えてて、理解したから、この記事を書くにあたった次第です。
※ゆえに、もしかしたらミス情報があるかもです。スミマセン。
シマノのセンターロックとは?
先ほど3種類説明しましたね。
これがシマノの場合ですと、実はホイール側のロックリングを受ける構造は一緒で「すべてのロックリングが使える」のです。
これ、意味分かります?
「ん?」と思った人も多いはず。
例えば…
- 内セレーション→外セレーションへの変更
- 外セレーション→内セレーションへの変更
ができるということです。
シマノの分解図を見ても、同じローターに対して、「内」「外」どっちも使えるよ~というイラストの説明があります。
シマノのロックリングは内・外セレーションに関わらず、ロックリングのネジはこんな感じで「ロックリング側」に切ってあるんですね。
要するに…
ってわけです。
入れる「雌ネジ側」は一緒で、さす「雄ネジ側」も一緒。
なので、本当に工具を掛けるギザギザが「内か外か」の違いだけなんですよね。実は。
で、それらはアクスルの径に応じて選べばOKってわけです。つけれる方を付ける。
【カンパ/フルクラム】AFS式センターロックとは?
では、ここで質問です。
↓のセンターロックは「内」か「外」か? なんて聞かれたらどう答えます?
「ギザギザが外にあるから、外セレーションのロックリングが使えるはず!
写真がまさにそうじゃん!」
おそらく、多くの人がこう思うはずです。
確かに外セレーションは合っているのですが…
実はこのホイールに「シマノの外セレーションのロックリング」は使えません。
内だろうが、外だろうが、内外だろうが、シマノのロックリングは全て使えません。
はい。これが本記事の肝に当たる部分ですかね。
違いを解説します。
まず、シマノのロックリングというのは、(内でも外でも)横から見ると「T」の形をしているんですよね。
ようするに、ロックリングをはめるハブの「内側」に「雌ネジ」が切られているわけです。
一方、AFS式はというと…
ハブの「外側」に「雄ネジ」が切ってあります。
逆にロックリング側には雌ネジが切ってあり、シマノのように横から見ても「T」の形をしていません。
これが「センターロックのロックリング」をややこしくさせている元凶とも言えましょう。
「外にギザギザがあるから、これは外セレーションタイプのロックリングだな!次買う時も“外セレーション”で買えばいいのだな!」
…という判断だけでは甘いということです。
外セレーションは外セレーションでも、そもそもハブ側は「内側」「外側」どっちにネジが切ってあるのか?を、まずは確認すべきということです。
補足
シマノのローターを買う時は「内セレーション」「外セレーション」を選ぶことができるのですが、AFS式ハブを使っている場合、結局付属するロックリングは使わず、元々付いているAFS式ロックリングを流用する形になりますね。
現状、純正くらいしか売られていない?っぽいので、例えば色を変えたり…というカスタムは難しいと思います。
手に入れるには、ホイールのメーカーから買うということになるでしょう。
…買う時は要注意です。
なお、ローターをはめるギザギザ(スプライン)自体はどちらも同じなので、AFS式だろうがシマノだろうが、問題なくはめることはできます。
また、AFS式ロックリングは外セレーションですが、ホローテック2用のBB工具が使えます。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【センターロックの「内/外セレーション(スプライン)」の違い】
- 結論「工具を掛けるギザギザが内にあるか、外にあるか」の違い
- シマノのセンターロックの場合、実は内だろうが外だろうが、どっちでも付けられる。(受け側の構造は一緒)
- ただ現実問題干渉が起こって締められなかったり、あるいはフレームと擦れたりするので、問題ない方を使うってわけです。
- ややこしいのが「AFS式ロックリング」の理解。
- フルクラムやカンパニョーロのホイールを使っているなら要注意。
- 「外にギザギザがあるから、外セレーションだ!」と思っても、シマノの外セレーションのロックリングとは互換性がありません。
- AFS式ハブに使えるのは、AFS式ロックリングだけです。
- シマノはハブの内側にネジ山が、AFSはハブの外側にネジ山が切ってあるので、それで判断。
以上です。
参考になれば幸いです。