Wレバーについて詳しく教えてほしい!
メリット・デメリットや使い勝手なんかを知りたいな。
こんな方にオススメの記事です。
Wレバーというと「昔の、使いにくい変速レバー」という印象を持っている方も少なくでしょう。
それもそのはず、変速毎に手を放してギアチェンジをする必要があり、他の変速レバーが出現した現在では大変使いづらいアイテムです。
しかし、場合によってはWレバーの方が使いやすい時だってあります。
Wレバーを使用して1万キロ以上走った私が、Wレバーの特徴について詳しく解説させていただきますね。
- 実際に使って分かったWレバーの「メリット・デメリット」
- Wレバーをオススメする人・しない人
W(ダブル)レバーとは?
Wレバーとは、変速レバーのことです。
ダウンチューブシフターとも呼ばれ、その名の通りダウンチューブに2つのシフトレバーがついています
レバーの種類
種類は2種類あります。
- インデックス式
- フリクション式
インデックス式はギアの段数分だけ「カチッカチッ」と動かすことができ、1動作ごとのワイヤーの引き量(1段分)あらかじめ決まっています。
そのため、ワンタッチで正確な変速が可能です。
現在使われているSTIレバーなどもインデックス式となります。
対してフリクション式は無段階変速となっています。
決められた可動域の中でレバーを動かした分だけ変速機が動きます。
自分の感覚でギアを合わせなければならず、慣れていないとバチッと変速をキメるのは難しいです。
使い方
ダウンチューブにレバーが付いているので「どうやって変速するの?」と思う方もいるでしょう。
想像の通り、毎回ハンドルから手を放してレバーを動かして変速をしなければなりません。
今の時代では考えられないですよね(笑)
時代の変遷
1991年にシマノからデュアルコントロールレバー(STIレバー)が誕生するまでは、ほとんどのロードバイクで使われていました。
しかし、シフトチェンジとブレーキの2つの機能を備えたSTIレバーの台頭により、現在ではほとんど使われなくなってしまいました。
今日では、
- ロードバイクはデュアルコントロールレバー
- クロスバイクやマウンテンバイクはラピッドファイア
- ママチャリはレボシフト
が主流となっています。
とはいえ、Wレバー搭載車が全くないのかというとそうではありませんし、現在でも製造されているパーツです。
クラシカルなクロモリロードやクロスバイク、ランドナーやミニベロに使われているのを見かけます。
また、一部の根強い愛好者が好きで使い続けているのも事実です。
自転車は趣味の世界ですから、スピードや実用性だけが全てではありません。
Wレバーについてザっと知っていただけたところで、本題であるメリット・デメリットといった特徴の部分を紹介していきたいと思います。
メリット
現在はあまり使われなくなってしまったWレバーですが、STIレバーやラピッドファイアなど他の変速レバーに比べて良い点はないのでしょうか?
Wレバーを1万キロ以上使ってみて感じた「メリット」について紹介します。
私が思うメリットは合計5つです。
- 小さくて軽い
- 壊れにくい
- メンテナンスが楽
- フロントバッグ積載時にケーブルが干渉しない
- 分厚い手袋でもレバーを操作しやすい
それぞれ詳しく解説していきます。
小さくて軽い
STIレバーと比べたとき、見た目もコンパクトですし、重量面で大きく勝ります。
クラリスグレードのWレバー「SL-R400」がペアで75gなのに対し、同じクラリスグレードのSTIレバーはペアで約500gあります。
約6分の1程度の重さといったところでしょうか。
Wレバーには「ブレーキ機能」がないため厳密な比較にはなりませんが、それでも大きな開きがあることが分かります。
そして、なんといってもコンパクトさが魅力的。
Wレバーは親指サイズほどのレバーが付いているだけなので、STIよりもうんと小さく目立ちません。
壊れにくい
STIやラピッドファイアに比べて壊れにくいというメリットがあります。
その理由は2つ。
1.構造がシンプルだから
Wレバーの構造はとてもシンプルです。
他のタイプの変速レバーに比べて、使われている部品の数がとても少ないです。
そのため、部品の摩耗や劣化からトラブルを起こしてしまうことが少なく、耐久性に優れています。
2.転んだ時に影響を受けにくいから
Wレバーの取り付け位置の多くはダウンチューブです。
自転車で転んでしまったり、倒してしまったりした時にダメージを受けにくい位置にあります。
STIレバーであれば傷がついてしまったり、最悪の場合折れてしまうことだってあります。
これらを比べたとき、「壊れにくさ」はWレバーの強みだと思いました。
メンテナンスや修理が楽
1.メンテナンスについて
ワイヤーやアウターケーブルの劣化によって「レバーの引き」が重くなりにくという特徴を持ちます。
Wレバーの場合、シフトワイヤーを裸で取り付けます。
アウターケーブルを使用するのはRD付近の20㎝ほどだけです。
フロントにいたっては全く必要としません。(例外もあります。)
通常もっと多くの部分にアウターブルがかぶさっているため、メンテナンスをせずに使っていると、ワイヤーの錆やケーブルの劣化から摩擦が増え、引きが重くなってしまいがちです。
しかし、アウターケーブルを使わないWレバーは、ワイヤーが茶色く錆びてしまったとしても引きの重さにほとんど影響しません。
そういった点でメンテナンスが楽だといえるでしょう。
2.修理のしやすさについて
また、構造上修理がとっても簡単です。
シフトワイヤーは消耗品です。いずれ切れてしまい、交換が必要になります。
Wレバーの場合、レバーに開いた穴にタイコ(シフトワイヤーの頭)を通すだけなのでとっても楽ですし、シフターの中で絡まって取れないといトラブルも起きません。
シフターの中で絡まるってどういうこと?
STIレバーの場合はワイヤーが切れても気づきにくく、その状態で使っていると中でワイヤーが絡まってしまいます。
まだこの写真は絡まる一歩手前ですが、狭い空間でワイヤーが絡まってしまうと引き抜くのが非常に大変です。
素手では取ることができず、千枚通しのように細いものを使ったり、ラジオペンチを使ったりして取る必要があります。
その点Wレバーは修理のしやすさで優れています。
フロントバッグ積載時にケーブルが干渉しない
私がWレバーを使う大きな理由です。
ハンドル前方にシフトワイヤー(アウターケーブル)が飛び出さないので、フロントバッグを付けても干渉しません。
ランドナーのブレーキワイヤーがハンドルの上に伸びているのも、このためです。
大きなバッグを付けても問題ありません。
分厚い手袋でもレバーを操作しやすい
これは実体験から感じたメリットです。
私が厳冬期に自転車旅をしていた時、防水もかねてスキー用の分厚い手袋をしていました。
Wレバーではシフトチェンジに支障はありませんでしたが、同じ手袋を使ってSTIレバーを操作してみた時、手袋が引っかかって上手く操作できなかったことがありました。
この経験から、手袋を付けたときのレバーの操作性もメリットだと感じています。
デメリット
Wレバーが今現在あまり使われなくなってしまった最大の理由はやはり、「変速のしづらさ」だと思います。
具体的に言うと、
- 変速毎にハンドルから手を放す必要がある
- 立ち漕ぎしながら変速ができない
の2点が他に比べて大きすぎるデメリットとなっています。
変速毎にハンドルから手を放す必要がある
Wレバーの宿命として、変速をするときに手を離さなければなりません。
現在ではSTIレバー、ラピッドファイア、レボシフトなど多くの変速レバーがありますが、どれも手元で変速が可能ですよね。時代の進化を感じます。
そう、Wレバーの操作は想像通りとっても煩わしいです。
特に使いづらさを感じるのは「停止状態からスピードが乗るまで」ですね。
信号などで停止してから発進後、数秒、数メートルおきにシフトアップをしなければならず面倒です。もちろん、そのたびに手を放す必要があるからです。
立ち漕ぎしながら変速ができない
また、地味に使いづらさを感じたのが「立ち漕ぎしながら変速できないこと」ですね。
ダンシングをすると力が加わってスピードが出るじゃないですか。同じギアのままだと軽すぎるため、シフトアップをしたくなりますよね。
そのたびに「一瞬座ってチェンジ⇒ダンシング再開」とやらなければいけません。
はっきり言って面倒で仕方ありません。
Wレバーはどんな人にオススメか
以上、Wレバーのメリット・デメリットについて紹介させていただきました。
率直に言って、理由がない限りWレバーを使うのはオススメしません。
他に選択肢がある現代においてデメリットがあまりにも大きすぎるためです。
一般人が普段乗りで使うには全くの不向きですし、サイクリングにも向いているとは言えません。
STIやラピッドファイアを使った方が、快適にストレスなく走行することができるでしょう。
ただ、Wレバーをオススメできる人ももちろんいます。
- デメリット以上にメリットを優先させた使い方をする時
- 趣味として自転車に乗る人
私が日本一周の自転車旅でWレバーを選んだ理由も「Wレバーのメリットが魅力的だったから」でした。
自転車旅で使う自転車に求めるポイントは、通常のサイクリングとは異なります。
- 壊れないかどうか
- メンテナンスや修理を楽に行えるか
- 荷物が載るか
この3点を重視した結果、Wレバーを選びました。
自転車旅で最も怖いのは「自転車のメカトラブル」です。
旅にトラブルは付き物だと言いますが、そのトラブルの発生を最小限に予防することと、万が一トラブルが起きてしまった時に対応がしやすいよう考えました。
だからSTIレバーではなくて、あえてWレバーを選択したのです。
このように、あなたがWレバーを使おうとしている環境や目的に対して、デメリットよりもメリットの方が大きいと感じるのであれば、使ってみるのはオススメです。
実際、私も日本一周で1万キロ以上の距離をWレバーで走ってきたわけですが、「Wレバーにしてよかった」と思えるシーンが何度もありました。
変速は確かに不便ですが、それ以上に大切だと考えたメリットの部分が活かされたのです。
まとめ
再度言いますが、Wレバーは万人にオススメできるアイテムではありません。
その理由は、
- 変速毎にハンドルから手を放す必要がある
- 立ち漕ぎしながら変速ができない
という大きすぎるデメリットがあるためです。
理由がない限り、他のシフトレバーを使った方がいいでしょう。
じゃあその「理由」とは何かというと、
「デメリット以上にメリットを優先させたい時」です。あるいは趣味として乗る場合。
【Wレバーのメリット】
- 小さくて軽い
- 壊れにくい
- メンテナンスや修理が楽
- フロントバッグ積載時にケーブルが干渉しない
- 分厚い手袋でもレバーを操作しやすい
Wレバーを使ってみようかお考えの場合は、これまでに言った内容を参考にしてみてくださいね。
あなたの選択の役に立てていれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。