- 自転車の空気が急に抜けてしまった
- 原因はなんだろう?
- 空気が抜けたまま走ってもいいのかな?
こんなお悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- 「急に空気が抜けた」場合に考えられる主な原因
- 直すためにはどんな修理が必要か?
これまで何千件とパンク修理をしてきた、自転車整備士の私が解説します。
いくつかパターンに分けて可能性が高い原因を紹介します。参考になれば幸いです。
「自転車の空気が急に抜けたんですけど…パンクですかね?」
このようなトラブルを抱えて自転車ショップに来られる方は多いです。
これまでの経験から言うと、「急に抜けた」といっても原因は様々なんですね。
単に締め付けが緩くて抜けているだけだったり、タイヤに穴が開いて破裂したり。
本記事では、原因になりうる可能性を紹介します。自転車知識が無い方でもセルフチェックできる内容もありますから、ぜひご自身で確認をしてみて下さい。
お店に持っていかずとも直ればラッキーです。
【整備士が解説】自転車の空気が急に抜けた時の原因と直し方
経験上、「急に抜けた」という表現でも、“急”という時間の解釈が色々あるなあという印象です。
空気が抜けるまでの時間によって考えられる原因も違ってきますので、まずは“急”を具体的なシーンで分けてみます。
4つのパターンについて、順によくある原因と直し方を解説します。
走行していたら急に空気が抜けた
リム打ち
走行中に突然空気が抜けた場合、よくあるのが「リム打ち」によるパンクです。
【質問】
- 定期的に空気は入れていますか?
- 空気が抜ける直前、何か段差などでゴンッと衝撃がありませんでしたか?
リム打ちは、空気を入れていない方に特に起こりやすいパンクです。
空気圧が少ない状態で段差などに差し掛かった時、チューブが潰され穴が開き、一瞬で空気が抜けます。
・ママチャリの場合は月に一回が目安。
・クロスバイクやロードバイクの場合は1週間に1回程度が目安。
「定期的にしっかり空気を入れている」と自信を持って言えるなら、リム打ちパンクはあまり起こりません。
※絶対ではないのですが、よほど大きな衝撃が加わらないとならないハズ。
逆に「空気は入れていない…」という方なら、リム打ちパンクのリスクは急増します。可能性は高いです。
まずやるべきこと
近くに空気入れがあるなら、まずは空気を入れてみてください。
いれてもタイヤが膨らまず、一瞬で空気が抜けるようなら「リム打ち」である可能性は高いですね。
リム打ちはチューブに典型的な2つの穴があくため、穴が大きく空気の抜けるスピードが速いからです。
リム打ちだった場合の直し方
リム打ちパンクの場合、基本的に「パンク修理(シール貼り)」での修理は難しいです。穴が大きく、貼っても剥がれてくるからです。
「チューブ交換」が最低限必要になりますが、タイヤにも穴が開いている場合等はタイヤ&チューブの交換が必要です。
タイヤの劣化(破れ)による破裂
タイヤを一周ぐるっと見てみて下さい。
どこかに大きな穴が開いていたり、裂けたりしていませんか。特にひび割れの多い劣化したタイヤは要注意です。
[タイヤが破れる → チューブが飛び出して破裂 → 一瞬で空気が抜ける]というケースも考えられます。
直し方
タイヤにもチューブにも大きな穴が開いている場合、「タイヤ&チューブ」の交換が必要です。
パンク修理やチューブのみの交換では直りません。
大きな異物が刺さった
もう一度、タイヤをぐるりと一周見てみて下さい。
どこかに大きな異物が刺さっていませんか。
大きなネジなどが刺さっていると、空気は一瞬で抜けます。
小さな異物なら空気が抜け切るまでに多少時間が掛かりますが、異物が大きいと抜けるスピードが速く、一瞬で抜けます。運が悪かったとしか言いようがないですね…。
直し方
タイヤとチューブを大きな異物が貫通している場合、おそらく「タイヤ&チューブ」の交換が必要です。パンク修理で塞げる穴は小さいものに限りますので、厳しい場合が多いでしょう。
(駐輪していて乗ろうと思ったら)急に空気が抜けていた
虫ゴムの劣化(英式バルブ)
一般的な自転車の「英式バルブ」を使っている場合、「虫ゴムの劣化」が原因で空気が抜けたのかもしれません。
↓英式バルブはこの形のやつです。
バルブの銀の棒を引っこ抜くと、「虫ゴム」と呼ばれる黒いゴムが覆いかぶさっています。
「虫ゴム」は空気の逆流防止弁です。
このゴムが空気穴にピタッと張り付くことで、普段は空気が漏れません。
虫ゴムは消耗品で、破れると空気がツーツーに抜けます。
虫ゴムは半年から1年に一回程度交換が必要です。1年以上自転車に乗っていて交換していないなら、まずはチェックですね。
直し方
虫ゴムの劣化が原因で空気が抜けていた場合、「虫ゴム」を新品に交換すれば直ります。
詳しい作業手順はこちらの記事で解説しているので、参考にどうぞ。
スローパンク
「自転車に乗ろうと思ったらパンクしていた」という場合、ゆっくりと空気が抜ける“スローパンク”を起こしているかもしれません。
例えば朝通学する時は何ともなかったのに、帰りに乗ろうとしたらパンクしてた…みたいなシーンですね。
まずやるべきこと
原因は様々で水調べをしないと特定できません。
でも、まずやるべきことは「再度空気を入れてみる」です。
空気を入れても時間が経つと抜けるなら、おそらく「スローパンク」していますね。
自転車店に持ち込みましょう。原因によって修理が異なるため、一概には言えません。
バルブの緩み
まれにあるのが「バルブの緩み」です。
↑銀色の部分を右回転(ペットボトルのフタと一緒)で締め直してください。
ここが緩いと空気が抜けてしまうからです。
↑クロスバイクやロードバイクなどの「仏式バルブ」の場合、先端のネジを写真のように締めてください。ネジの頭が上に出ている状態だと空気が漏れます。
バルブを締め直したうえで空気を入れ、抜けなさそうなら大丈夫です。
“バンッ”と大きな音がして急に空気が抜けた
タイヤの劣化によるチューブの破裂
先ほどと一緒です。タイヤをグルっと見て、穴が開いてないか確認ですね。
[タイヤに穴が開く→チューブが飛び出して破裂→急にパンク]という流れです。
空気の入れすぎ
もし直近で空気を入れた覚えがあるなら、「空気の入れすぎ」が原因かもしれません。
タイヤには指定空気圧があり、最大値を大幅に超えて空気を入れると破裂します。
大きな音がして破裂した場合、チューブには間違いなく大きな穴が開いています。
その影響でタイヤも大きな損傷を負う場合もあります。タイヤ&チューブ交換になる可能性が高いでしょう。
適正空気圧の確認方法や、空気の入れ方についてはこちらで解説しています。
噛みこみによるバースト
【要チェック】
- 最近パンク修理(タイヤ、チューブ交換)をしたばかり
- 自転車を買ってから3日以内
上記に当てはまる場合、チューブの嚙みこみによるバーストの可能性もあります。
件数は多くはないですが、まあ考えられる原因の1つですね。
要するに「作業ミス」「初期不良」の類です。
チューブがしっかりタイヤに収まっておらず、タイヤに噛みこんだ状態ですと、チューブが「バンッ」と大きな音をたてて破裂します。バーストです。
基本的にこのケースは空気を入れた直後にバーストしますが、中には数日持ってしまうケースもあるんですね。
持ち込みは購入店(修理した店)へ
本当にチューブ嚙み込みによるバーストだった場合、店側のミスです。
必ず買った(修理した)お店に持ち込んでください。
他店だと絶対に無償交換にはならないからです。
また、他店で交換した後に買った(修理した)お店に相談しに行ってもダメですよ。その事実確認ができないからです。
空気を入れても一瞬で空気が抜けてしまう
パンクしたまま走ってもいいのか?【結論:絶対ダメ】
ちなみに、自転車がパンクしたまま乗ってもいいの?
自転車屋や家まで距離があるから、手で押して歩くのは面倒なんだよね…
…もしかすると、このように考える方もいるでしょう。
絶対ダメです。
車輪が削れ、使い物にならなくなり、交換が必要になるからです。
数万円の高額修理になることも多いので、マジでやっちゃいけません…
詳しくはこちらの記事で解説しています。
>>パンクした自転車で走るとヤバい理由【〇万円の修理になります】
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【自転車の空気が急に抜けた時の原因と直し方】
- 走行していたら急に空気が抜けた
→リム打ち
→タイヤの劣化(破れ)による破裂
→大きな異物が刺さった
- (駐輪していて乗ろうと思ったら)急に空気が抜けていた
→虫ゴムの劣化(英式バルブ)
→スローパンク
→バルブの緩み
- “バンッ”と大きな音がして急に空気が抜けた
→タイヤの劣化によるチューブの破裂
→空気の入れすぎ
→噛みこみによるバースト
- 空気を入れても一瞬で抜けてしまう
→リム打ち
→バルブ折れ
→虫ゴムの劣化
→大きな穴が開いてパンク
少しでも参考になれば幸いです。
いずれにせよ、「パンクした!?」と思ったら再度空気を入れてみて下さい。自転車屋に行くのはそれからですね。簡単に直るケースもありますので。
「スマホの画面がつかない」なら、まずは充電をするのと一緒です。