自転車のスプロケットの歯数を変えたり、新しくリアディレイラーを買おうと思っているのだけど、注意点があるみたいだね。
リアディレイラーの「トータルキャパシティ」っていう言葉を聞いたことがあるのだけど、これって何?
トータルキャパシティってのを計算した上で、RDを選ばなきゃいけないんでしょ?
“SS”と“GS”の2種類があるんだっけ。
はたしてキャパシティってのは、どうやって計算すればいいのだろう?
そして、どうやって買うべきRDを選んだらよいのだろう?
このあたりの知識について、ザッと教えて貰えると嬉しいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- リアディレイラーの「トータルキャパシティ」「ローギア最小-最大歯数」「トップギア最小-最大歯数」について
- ↑上記情報を意識するのは、主にスプロケットの歯数を変える時や、RDの交換をする時です。
- リアディレイラーの選び方を間違えると、どうなるのか?
- SS(ショートケージ)とGS(ロングケージ)の違いについて
- 稀にある、意図的に互換性のない組み合わせで組まれた完成車
自転車ショップでメカニックとして働く私が解説します!
今回解説する「RDのキャパシティ」について理解した方がいいのは…
ですかね。
新しく自転車コンポを構築する時だったり、駆動系パーツの“歯数”を変更する時に考慮しなければならないのがRDのキャパシティについてです。
初心者の方で「自分でいろいろパーツを変えてみた!」という場合、割と間違えている人が多いところです。
しっかり理解し、正しく使えるRDを選べるようにしましょう。
本記事を見れば、RD選びに関する情報がまとめて分かりますよ。ではどうぞ。
リアディレーラー選びで必要な情報
まずは本記事の内容を端的にお伝えします。後に各情報を深掘りして解説します。
リアディレイラーはケージの長さが大小2種類あることを知りましょう。
どちらを使えばいいのか?を決める要因は2つ。
- クランク(チェーンリング)の歯数
- スプロケットの歯数
具体的に確認するポイントは4つ。
- トータルキャパシティ
- ロースプロケットの歯数
- トップスプロケットの歯数
- 最大フロントギア歯数差
ここで本記事のテーマである「トータルキャパシティ」という言葉が出てきました。
といっても、さっぱりわけが分かりませんよね。
詳しく解説していきます。
【自転車知識】リアディレイラーの「トータルキャパシティ」とは?
トータルキャパシティの計算式は、
で求めることができます。
フロントギアの歯数差とは?
フロントギアとは、チェーンリングのことです。
「インナーリング(一番軽いギア)」と「アウターリング(一番重いギア)」の歯数を確認してください。
※フロント3枚の場合は、ミドルギア(真ん中のギア)は数えなくてOK。
どのメーカのクランクであっても、たいてい歯数の刻印があります。
例えばこれだったら写真左手に書いてありまして…
「52-36」が歯数のことです。
52が大きいアウターリング、36が小さいインナーリングの歯数。
この情報が得られたので、フロントギアの歯数差が求められますね。
※“T(ティー)”は“teeth”のことでして、歯数を意味します。“丁(ちょう)”ともいったりします。
スプロケットの歯数差とは?
続いてリアスプロケットの歯数差を求めます。
スプロケットも、一番小さい「トップギア」と一番大きい「ローギア」の歯数を確認しましょう。
例えばこの写真のものでいうと、刻印で確認できるので…
- トップギア11T
- ローギア28T
となっています。
写真のように刻印があればすぐわかるのですが、「汚れてて見えない」とか「そもそも刻印がない」場合も多いです。
そういう時は目視で数えるしかありません。
私はスプロケットの一つの歯に白いマーカーを“ちょんっ”と塗ったり、あるいは汚いスプロケットだったら一つの歯だけを綺麗に掃除して分かるようにします。
そこを起点にし、「いち、にー、さん…」と数えていくのです。
トップギアとローギアの歯数が判明したら、“差”を算出します。
上記の例で数えますと…
トータルキャパシティの算出
トータルキャパシティの算出は、「スプロケの歯数差+フロントギアの歯数差」です。
RDを選ぶときは、トータルキャパシティを超えないようにしなければなりません。
それぞれ必要な項目は既に計算してあるので、足していくだけ。
【フロントギア歯数差】
52 - 36 = 16T
【スプロケット歯数差】
ローギア28T – トップギア11T = 17T
【トータルキャパシティ】
16T + 17T = 33T
計算方法に自信がない間は、こちらのサイト「自転車ディレイラーのキャパシティ計算」にて数字を打ち込めば間違いないです。
リアディレイラーを選ぶときに必要な情報
トータルキャパシティおよび駆動系ギアの歯数を確認できたので、使うべきリアディレイラー(SSかGSか)を特定できます。
リアディレイラーを選ぶときは、RD側にこんな記載があります。
自分が組み合わせたいパーツと、これらの規定に間違いが無いかを確認していくのです。
例えば、先ほどの条件でRDを選ぶならどうしたらよいか?
105グレードのリアディレイラー“RD-R7000”を使って見ていきましょう。
SS(ショートケージ)リアディレイラー
「RD-R7000 SS」の場合、このような条件です。
GS(ミディアム、ロングケージ)のリアディレイラー
「RD-R7000 GS」の場合、このような条件です。
どっちが使える?表で確認
これまで写真で紹介してきた「例」の内容ですと、
- トータルキャパシティ33T
- ローギア歯数28T
- トップギア歯数11T
でした。
「SS」「GS」どちらに適合しているかを確認します。(“例の自転車”のところ)
てな感じで、この場合だとSS・GSともにどちらも使えます。
新しくRDを新調する時は、これ以上スプロケットを大きくしない予定であれば、より軽い“SS”を選ぶべきでしょう。
大きくするかもなら、GSを選んでおけばOK。
例1
他の例でも考えてみましょう。練習です。
以下のような組み合わせの自転車があった時、RD-R7000であればSS・GSどちらが使えるでしょう?
「例1」のところで確認をしてみましょう。
「12-25T」という小さいスプロケットの例です。
GSに対してローギアの歯数が小さすぎて、対応範囲外。28T以上でないといけません。
よってSSを選ぶ必要があります。
例2
今度はスプロケのローギア“32T”という、ちょっと大きめのギアで考えてみます。
「例2」を参照。
“SS”に対してトータルキャパシティのオーバー、およびローギア歯数のオーバーが発生しています。
SSは使えません。必然的に“GS”を選ぶ必要があります。
リアディレイラーのSS、GSを間違えるとどうなる?
“SS”や“GS”の選択を間違えるとどうなるのか?
【SSのRDで、ギアが大きすぎてキャパオーバーしている場合】
→ローギアに掛けた時、RDの曲がり角が限界を迎え、チェーンがパツパツに張られ、まともに回転できません。
【GSのRDで、キャパシティのよりもギアが小さい場合】
→見かけ上使えますし、変速もできます。しかし、、ガイドプーリーとスプロケットが離れすぎて変速が決まりにくいのと、チェーンの張りがでずたるみます。
稀にある、意図的に互換性のない組み合わせで組まれた完成車
中には完成車状態(新品で売られている状態)にもかかわらず、RDの選択を間違っている?自転車もあります。
主に「GSが付いているけれど、ローギアが規定の歯数未満」という状況。
経験上、このような自転車はフロントギアが3枚でして、「トータルキャパシティを対応させるために、あえてGSを使っている」と考えられます。
ご自身で交換しようと思った時に「あれ?ローギアの歯数に対してGSって間違ってるのでは?」と疑問に思ったら、そこを確認ですね。
まあ、本当にごくまれにあるレベルですけど。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【<SSとGS>リアディレイラーの「トータルキャパシティ」とは?】
リアディレイラー選びで必要な情報4つ↓
- トータルキャパシティ
- ロースプロケット最大-最小
- トップスプロケット最大-最小
- 最大フロントギア歯数差
トータルキャパシティとは…
フロントギアの最小-最大歯数差+スプロケットの最小-最大歯数差
- 自転車の条件に応じて、リアディレイラーの「SS」か「GS」を選ぶ。
- 間違えると、正しく変速できない。
リアディレーラーを選ぶ条件について、理解できたでしょうか。
「少しでも勉強になった」とか「悩みが解決できた」と思っていただけたら嬉しいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました!