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北海道を自転車でツーリングしてみたいなあ!
まだ一回も行ったことないんだよね~。
北の大地を走るなんて、めっちゃ楽しそう。
長期休暇を利用して、行ってみようかな!
自転車も、旅も初心者なんだけど、注意点とかある?
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- 完全初心者が自転車で北海道ツーリングするのは危険な理由
- 初めて北海道へ行ったときに感じたこと
- ヒヤッとした自分の実体験
- 北海道を走るなら最低限必要だと思う自転車知識
![かける](https://sekisaicling.com/wp-content/uploads/2020/08/ff048604c3bd827c93aac5dd7de62dde.jpg)
自転車日本一周経験者であり、ショップメカニックとして働く私が解説します。
自転車で北海道ツーリング。めちゃいいですよね。
私も、SNSで他の人が走っている写真を見て、憧れた記憶があります。
実際、北海道は最高でした。
道は走りやすいし、ご飯は美味しいし、空気は澄んでいるし、大自然を満喫できるし。
あなたもそんな思いで、北海道ツーリングへ向けてワクワクしているところでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
もしあなたが「自転車初心者」なら、非常に心配です。
なぜなら、本州に比べてうんと危険だから。旅の難易度が高い。
その点を詳しく解説したいと思います。
本記事を読んだ後、本当に行くかどうかを決めるといいでしょう。
【ちょっと待った!】初心者が北海道で自転車ツーリングするのは危険
なぜ初心者がいきなり北海道ツーリングをするのは危険だと言うのか。
それは、「トラブルが起きても誰も助けてくれないから」です。
極論、自転車に異変があったら、全て自分で直せるだけの技術・知識が求められます。
そう感じた理由について、お話ししましょう。
私が初めて北海道に行って思ったこと
「北海道はとても楽しいけれど、怖い場所でもある。本州とこんなにも違うのか。」
私はそう思いました。
初めて自転車で北海道に行ったのは、大学2年の時。
既に自転車屋さんでアルバイトをしていましたが、経験が浅く、正直トラブル対処にも不安がありました。
フェリーを降りて、北海道(苫小牧)に上陸。
そこから、日本最北端の「宗谷岬」を目指すルートでした。
苫小牧は割と“街”なので、人の賑わいもあったし、お店もたくさんありました。
自転車屋さん(サイクルベースあさひ)があったのも、印象的です。
「北海道って、こんな感じなんだ!意外と普通に街なんだね。」
そう思ったのは、初めだけでした。
都会の札幌を抜け、北へ北へと進みます。
旭山動物園がある「旭川」を越えたあたりからでしょうか。
一気に“北海道感”が強くなってきました。
具体的にどういうことか。
- 車通りは少なくなり
- 町と町の距離が離れて
- その間は家もコンビニも何もない道が続き
- 自販機すら見当たらない
そんな感じです。
北海道へ行ったことがないと、よく分からないと思います。
- 「最寄りのコンビニを調べたら、40km先だった」
- 「お腹が減ったのに、食べるお店がどこにもない。」
- 「飲み物が無くなったけど、近くに買えるところがない」
なんてことが、起こります。
大自然の中をひた走るのは、すごく気持ちが良かった。
しかし、「ここで自転車が壊れたらどうしよう?」と考えると、怖くてたまりませんでした。
誰も助けてはくれない
本州の場合、たとえ自転車が動かなくなってしまっても、何とかなりますよね。
- ヒッチハイクをする
- 歩いて街へ向かう(20kmも歩けば町はある)
- とりあえずホテルに泊まって考える
- 電車で、輪行をして引き返す
- 通りかかったサイクリストに声をかけて、直してもらう
いろんな手段が考えられます。
でも、北海道はそうではありません。
「誰も助けてくれない。自力でトラブルを解決するしか方法はない」
それくらいの意識が必要。
「トラブルが起きたら引き返す?」
自転車を直す以外、どうやって?って話ですよ。
だって、車も通らなければ、人もいない。
歩いて押して何とか町についても、自転車屋さんはあるでしょうか。
そんな感じですから。
でもね、分かります。
私がこのように話していても、北海道に行ったことがないと、イマイチイメージが湧きにくいと思います。
ならば、Googleマップを開いて、適当にストリートビューで確認してみてください。航空写真でもいいです。
本州とは全く違う光景が、広がっているはず。
私は北海道に行ったことで、「田舎」の定義が大きく変わりました。
スーパーが1店舗あるだけで、素晴らしいじゃないですか。
北海道の「天塩町」でハブのフランジが割れた話
時は変わって2019年、私は日本一周中に大きなトラブルを起こしました。
北海道の「天塩」という町での出来事です。
場所を確認してみてください。
海沿いにある町でして、「北海道の海岸をグルッと一周」する時に通る道です。
あるいは、有名な「オロロンライン」を通るために経由する町でもあります。
私がこの町に着いた時、ハブのフランジが割れました。
自転車のスポークを留める部分です。
分かりやすく例えると、「歩き旅をしている途中で、足を骨折した」くらいの重症です。
直すためには、ハブを新品に交換しなければなりません。
これはつまり、「ホイールの組み直し」「新品のホイールへ交換」を意味します。
私は自分の旅を成功させるために自転車屋で経験を積んでおりましたから、万全の準備が功を奏して、天塩にあるゲストハウス内で自分でホイールを組み直しました。
おっしゃー!ホイール組み上がったぜ🔥
前回と違ってリムは生きてたからハブだけ交換。もう予備は無いから次割れたらどうしような💭
残り4000km程もってくれー!😅
ちょうど明日から天気が回復しそうなので、オロロン通って稚内方面へ進みます👍 pic.twitter.com/i9IriBXrpA
— かける【自転車旅人】 (@sekisaicling) August 23, 2019
でも初めは、自分で組むつもりはありませんでした。
技術はありましたが、単純に面倒だったから。
お金を払ってでも、自転車屋さんに任せようかなと思っていたのです。
ここからが、よく聞いて欲しいポイント。
ホイールを直せるところがないかなと、最寄りの自転車屋さんを調べるじゃないですか。
そこで出てきたのが、稚内に1件。しかも、営業しているか怪しい。
天塩から稚内って、「約70km」も距離があるんですよ。
しかも、その通り道が「オロロンライン」。
オロロンラインは約70km続く“原野”でして、電気、ガス、水道などの生活インフラがありません。
そんな道を、足を骨折しながら進めないですよね。
ケンケン歩きで進んだとしても、いつか完全に歩けなくなります。そんな状況。
だから私は、自分で“やらざるを得なかった”のです。
あなただったら、どうしていますか?
「トラブルが起きたら引き返す?」走れなきゃ、戻れない。
私の例は、あくまでも「最悪のシチュエーション」でしょう。
でも、自転車のことが何もわからない方だと、もっと簡単なトラブルでさえ「走行不能」になり得ます。
- パンクをした
- タイヤに大きな穴が開いた
- チェーンが切れた
- 沢山スポークが折れた
・・・などなど。
いつものように「トラブルが起きたら、自転車屋さんに直してもらえばいい」という感覚でいると、万が一の時に困るかなと。
だから私は、全くの初心者の方に対して、北海道ツーリングは安易にオススメしない方がいいかなと思っています。
【北海道ツーリングするなら】最低限必要な自転車知識
では、具体的に「どんなトラブルに対処できるレベルが必要か」を考えてみます。
慣れていて、不安なく作業できるレベルが望ましいです。
- 「自転車の異常」が分かること(=つまり、“正常”だと判断できること)
- パンク修理、チューブ交換
- スポーク交換及び、振れ取り
- チェーンのカット、つなぎ直し
これらは全て、「“走行不能”につながるトラブル」ですね。
ちょっと難易度高いかもですが、出来ると安心。
スポークを1本交換するだけなら意外と簡単です。
ロングライドでは、「最低限パンク修理は・・・」と言われますが、それだけでは不十分かなと。
もちろん、これだけの技術を持ち合わせていなくても、北海道ツーリングは可能。
しかし、「不安なく走る」「とりあえず町まで走るための修理をする」という点において、技術を学んでおくに越したことはないです。
とにかく本州とはまるで環境が違うことを、旅を計画する段階で知ってほしいと思います。
さいごに
そんなわけで、自分の経験からお話しさせて頂きました。
北海道は素晴らしい場所です。
私も、多くの人にあの土地を走ってもらいたいと思います。
でも走るなら、トラブルの側面も考えないと、というわけです。
それが伝えたかったこと。
自転車の修理が全くできないのに、いきなり「アフリカの荒野を旅したい」なんて言い出しませんよね。
極端に大げさな例ですが、「北海道を走る」というのは、そんなイメージです。
特に、道北・道東エリアを走ろうと思っている方は、注意していただきたいなと思います。
本記事が少しでも旅の参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました!
ちなみに私は、「自転車旅を楽しむ人の力になれたらな」と思っております。
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