
- 自転車のペダルを漕いでも、チェーンが空回りしてしまう
- 後輪が動かず、全く前に進まない
- 何が原因なのだろう?どうやって直すのだろう?
こんなお悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- 自転車のペダルが空回りする原因
- 後輪のギア部分にある「フリー」とは何か
- 直すために必要な修理と金額目安

自転車整備士の私が解説します。
「空回りして後輪が動かない…」という事例はボチボチありまして、これまで50件以上は対応した経験があります。
おそらく原因は同じですので、本記事を参考にどうぞ。
【チェーンが空回り】自転車ペダルを漕いでも進まない時の原因

結論から言うと、原因は「フリーの故障」です。
※後で詳しく説明します。
起こるシーンは様々ですが、特に長期間放置していた自転車に久しぶりに乗ろうと思ったタイミングで起こりやすいですね。
ママチャリに限らず、スポーツタイプの自転車でも起こります。
修理するためには、下記のいずれかが必要です。自転車によって対応が変わります。
初心者が自分でチャチャッと直せるような内容ではありません。後輪の着脱及び、ギア部分の着脱が必要であり、専用工具が無いと作業できません。
応急処置で直ることも稀にありますが、基本的にはパーツの交換になります。
パーツがお店にないと取り寄せです。時間が掛かりますから注意をしてください。

「フリーの故障が原因です」といったところで分からないと思いますから、詳しく解説しますね。
「空回りする」の状態を確認
本記事で想定している原因「フリーの故障」かどうか確認するために、以下の文章に沿ってセルフチェックをお願いします。
↑画像で言うと、このギアだけグルグル回って、後輪が動かない状態を指します。

同じ状態であれば、原因はやはり「フリー」の可能性が非常に高いです。
このまま読み進めてください。
※後輪が回る場合は別の原因です。本記事の内容とは異なりますので、閉じて貰ってOK。
「フリー」とは?
「フリー」とは簡単に言うと、下記の機能のことです。

どうして自転車はペダルを前に漕いだ時だけ進み、後ろの回すと空回りするのか?ペダルを止めても後輪は回り続けるのか?
その答えは「フリーがあるから」です。
フリーが無いとペダルと後輪が連動します。
例えば競輪の自転車(固定ギア)なんかがそうで、ペダルを逆回転させると自転車も後ろへ進みます。
フリーは爪が立ったり閉じたりすることで、進むか空転させるか…をしています。
※詳しく話すとめちゃ難しいので、簡略化しました。
その爪の動きが悪くなると、立たなくなってしまいます。
だから長期間放置して中でグリスが固まったり、錆によって動きが渋くなったりすると起こりやすいです。フリーが問題で空転したなら、フリー自体の交換が必要になります。
フリーは自転車によって備わっているパーツ(箇所)が異なります。
一般車のボスフリー
↑これは、主に一般的な自転車(ママチャリや子供車など)に使われるギアです。
「ボスフリー」といって、このギア自体にフリー機能が備わっています。
スポーツ車のフリーボディ(カセットスプロケット)
↑スポーツタイプの自転車には、ホイール側に「フリー」が備わっています。黒いところがそうです。普段はスプロケット(ギア)がはまっているため見えません。

ここで言いたいのは、フリーのある場所です。
- 一般車のボスフリーの場合:ギア自体にフリー機能がある
- スポーツ車の場合:ホイール側にフリー機能がある
直し方と修理費用の目安
つまり、自転車によって原因のパーツが変わるため、直し方も変わります。
一般車:ボスフリーの交換費用
主に一般車に使われる「ボスフリー(ギア)」を交換するとなると、修理費用は「約5000円」が目安です。その内訳は下記の通り。※店やパーツによって変わる。
【一般車の修理費用】
- パーツ代:約2000円
- 工賃:約3000円

ボスフリーが原因だった場合、ギアを交換すれば簡単に直ります。
ボスフリーの場合ギア側に付いている分、交換が安いです。
スポーツ車:フリーボディの交換費用

スポーツ車の場合、フリーボディはホイールを構成するパーツの1部です。
ホイールメーカーの補修部品として取り寄せできる場合、「フリーボディのみ交換」で修理することも可能です。
ただし、フリーボディの金額はピンキリです。高いホイールほど高いです。
例えば↓はシマノの8/9/10速用ホイール「WH-R501」のフリーボディ。3000円前後です。
でも、高いものだと1万円を超えます。
ちょっと金額が出しづらいですが、R501のフリーボディで目安費用を出すと「約8000円」でした。
【スポーツ車:フリーボディの修理費用】
- パーツ代:約3000円
- 工賃:約5000円
スポーツ車:ホイール自体の交換費用

ただし、「フリーボディ」が手に入らないケースも多いです。
そうなると「ホイール自体の交換」になります。
ホイールこそピンキリですが、例としてWH-R501で見積もると「約16000円」程度でした。
【スポーツ車:リアホイールの交換費用】
- パーツ代:約13000円
- 工賃:約3000円
応急処理のやり方【オイルを吹く】

一応、応急処置で直ることもあります。
基本的には交換推奨ですが、試すだけやってみてもいいでしょう。
浸透性の高いオイルだけ用意してください。クレ5-56やラスペネ等です。
ボスフリーの場合
↑ボスフリーの場合、自転車に付いているギアのこの部分に向かってオイルをぶっ掛けます。ボタボタに垂れるくらいかけます。
何がやりたいかというと、この隙間から中のフリー部分へ油を浸透させ、爪の動きを正常化させたいのです。表面にちょっとかけたくらいではしみこまないので、じゅわーッと溢れるくらいかけます。
これを何度か繰り返しているうちに復活し、動くようになることもあります。
カセットスプロケットの場合
ギアの裏側からフリーボディ(黒い筒)が生えている根元を狙ってオイルを掛けます。
同様に、この隙間から内部にしみこませるためです。何度か繰り返して復活すればラッキー。

ただし、あくまでも「とりあえず動かすため」の応急処置。
フリー部分に浸透性の良いオイルを注すと、中のグリスを溶かします。
長期的に見るとよくありませんので、やはり交換がオススメです。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【自転車ペダルを漕いでも進まない時の原因】
- 原因は「フリー」です。
- 一般車かスポーツ車かで、フリーの位置が変わります。つまり直すパーツが異なります。
- 応急処置で直るかもですが、基本的に交換推奨です。
以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。