歳をとってきたせいか、最近は自転車に乗るのが大変になってきた…。
ペダルを踏む力も弱くなってきたし、スピードが出ないからフラフラするんだよね。
そこで新しく「三輪車(3輪タイプの自転車)」を買おうと思ってる。
三輪車なら倒れないし、より安全に走れるでしょ?
高齢者に良さそうだよね。
おすすめの車種があれば教えて欲しいなあ!
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- 高齢者に3輪車を安易にオススメしない理由
- 3輪車はシニア向けの乗り物ではなく「荷物を運ぶため」の乗り物
- 3輪車の操作は何が難しいのか?
- 3輪車でも倒れないわけではない
- 高齢者にオススメなのは、車輪の小さい電動アシスト付き自転車
自転車ショップで働く私が解説します!
高齢者からよくお問い合わせをいただく三輪車ですが、実は「シニア向けの自転車」というわけではないのです。
ご存じない方も多いので、詳しく解説します。
【オススメしない】大人用三輪車が高齢者向けではない理由
お店で働いていると、主に高齢者の方(あるいはそのご家族の方)からこんな質問を受けることがよくあります。
「足腰が弱ってきたし、普通の自転車に乗るのが怖くなってきちゃった。
三輪車なら倒れなくて安全だよね?おすすめの三輪車を教えて貰える?」と。
多くの方はこの質問内容に違和感を感じないとは思いますが、実は大きな認識の間違いが一つあります。
それは大人用三輪車は「高齢者用の安全な乗り物」として売られているわけではないことです。私もお店で働くまで知りませんでした。
※本記事を書くにあたり、3輪車の販売メーカー(ブリヂストンさん)に電話をし、3輪車の認識に間違いがないことを確認しました。
三輪車というのは、基本的に「たくさんの重い荷物を運ぶための乗り物」という設定なんですね。
決して「(主にシニアの方が)自転車に乗れなくなってきたからより乗りやすい乗り物として3輪車を…」というものではないのです。
その理由が以下の通り。
- 3輪車は普通の自転車よりも操作が難しく、逆に危険であるから
→カーブで横転しやすい
→段差でバランスを崩しやすい
といった点からです。
具体的に何がどう危ないかは、国民生活センターから出ている検証動画をご覧いただくと納得すると思います。
このことから言えるのが、本記事の結論「高齢者に3輪車はオススメしない!」ですね。
あ、それと、「3輪車は倒れない」と勘違いしている人も多いのですが、倒れないわけではありません。
サドル部分がグネグネ動くスイング機能が付いているので、足を地面に付けておかないと倒れます。
公園にあるバネの付いた動物の遊具みたいなイメージです。
確かにロックする(座ったままでも倒れない)ためのスイングストッパーがあるのですが、あくまで「3輪車の操作に慣れるまでの間のみ使うもの」です。
>>https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/lineup/wagon/pdf/pt16_safety.pdf
いずれストッパーは外さなければなりません。子供の自転車でいう「補助輪」のようなものです。
これもメーカーに確認したのですが…
どうにも転ぶことが不安な方は、ずっとスイングストッパーをONにしておいて、倒れない状態の三輪車で乗ってもらったらいいんですかね?
場合によっては、別にスイングストッパーを外さなくてもいいんですかね?
スイングストッパーは走行に慣れたら外してください。
あくまで3輪車の練習用というだけで、ずっと使うのは走行面で危険です。
と旨でした。
スイングストッパーは「外さなくてもいい」のではなくて、「いずれ必ず外すもの」みたいです。
それはつまり、3輪車は倒れない乗り物ではないということを改めて意味します。
どうにも自転車が厳しい方の最後の手段として3輪車を検討するのは間違いではないですが、その前段階において
- 車輪径の小さい自転車
- より軽い自転車
- より跨ぎやすい自転車
を試した方が良いですね。
「高齢者だから」「安全な自転車がいいから」で安易に三輪車を選ぶのは危険です。
【実は大人用3輪車は“荷物を運ぶため”の自転車】
大人用の3輪車で有名なのは以下の車種です。
※「ブリヂストンワゴン」以外は電動アシスト付き。
いずれの3輪車にせよ、商品説明ページに「高齢者向け」「安全に乗れる」「転ばない」などといった説明は無いんですよね。
逆に説明があるのは「3輪車の操作が難しい旨」「荷物を運ぶための自転車であること」「高齢者の乗車を想定して設計した乗り物ではないこと」の文面です。
3輪車の操作は本当に難しいです。むしろ自転車に乗る方がよっぽど簡単。
もちろん私自身も乗って運転をしたことがありますが、よく自転車に乗る僕でさえ難しく感じましたね。
高齢者であれば余計難しいと思います…。
【乗るべきは車輪小さめの電動アシスト自転車】
あらためて、
- 「自転車に乗るのがなあ不安になってきた…」
- 「辛くなってきた…」
という高齢者が乗るべきは、三輪車ではなくて、小さめの電動アシスト付き自転車がオススメです。
小さめというのはホイール(車輪)径の話ですね。
ホイール径が小さくなれば車体がコンパクトになり、足が付きやすく、より安心して運転できるからです。
高齢者が乗りやすいサイズと言えば、24~20インチのモデルですね。
いわゆる「普通のママチャリ」が27インチや26インチですから、ひと回りふた回り小さい自転車になります。
ただ、「小さければ小さいほど乗りやすい」というわけではないのでご注意ください。
身長や足の長さによってその人の“最適”は異なります。
また、「電動アシスト付き」をオススメする理由ですが、漕ぐのが楽なのはもちろんのこと、「走り始めに安定しやすい」という点です。
乗り物全てそうですが、低速時ほどふらつきやすい特性があります。
例えば30cm幅の一本橋あったとして、速度が遅い時と速い時、どちらが真っ直ぐ走れそうですか?
…早い時ですよね。遅ければ遅いほどハンドルがフラフラするはずです。
電動アシスト付き自転車は、「走り始め」にアシストが強く効きます。
※速度が速くなるにつれて徐々に弱くなっていく
それゆえ「速度の遅い不安定な状態」をカットすることができるんですよね。
より楽に安全に走れるわけですから、高齢者にオススメなのです。
自転車のサイズ感と操作感は一度乗らないと分からない部分も多いと思います。
出来る限りお店で試乗をして、プロにサイズを確認してもらった上で、購入を検討すると良いでしょう。
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【オススメしない!大人用三輪車が高齢者向けではない理由】
- 本来3輪車は「荷物を載せるため」の乗り物
- 高齢者が乗るための自転車ではない
- 3輪車は、普通の自転車に比べて操作が難しい
- 3輪車でもスイングストッパーを外すと倒れる
→ずっと固定(倒れない)状態は非推奨で、慣れたら外さなければなりません。 - まずは、小さい車輪の電動アシスト付き自転車をオススメする
本記事で伝えたいことは一つ。
「3輪車は高齢者向きじゃない!」ということです。
実際に3輪車でケガをしたという話も聞きますから、自己責任でとはいえ、安易な購入はオススメしません。
少しでも参考になればと思います。