ポストマウント台座のフレームを使っているのだけれど、ローター径の変更(基本的にサイズアップ)をしたい。
アダプターにはどんなものがあるのだろう?
どうやって選べばいいのかな?
詳しく教えて貰えると嬉しいなあ。
こんな方にオススメの記事です。
【この記事で分かること】
- ポストマウント台座のフレームで、ローター径のサイズアップを行う際に使う「アダプター」解説
- 軽量ハイグレードタイプと、ノーマルモデルについて
- フレームやフォークには「基準ローター径」という概念がある
自転車ショップでメカニックとして働く私が解説します!
ポストマウント台座のフレームを使っていて「ローターのサイズを変えたいなあ」と思っている方に対して、参考になれば幸いです。
【ポストマウント】ローター径の変更に使うアダプター解説
結論、使うアダプターは以下の表の通り。
表の見方/アダプターの選び方
選び方の表はあるものの、ぶっちゃけ「何がどういうこと?結局どれを買えばいいかよく分からない…」という方がほとんどでしょう。
になります。
例えば、一番上の行で説明をすると…
基準ローター径140mmのフォーク(前側なので)に対して…
というわけです。
といっても、まだまだ理解できない方も多いはず。
きっといまあなたの頭の中には、
「基準ローター径ってなんぞや…。
まだまだ表の見方が分からない…。」
という疑問があるはずです。
必要な知識・情報を、これから順に解説していきますね。
最後まで読めば「なるほど分かった!」となるはずです。
深く理解するためにあえて前置き(必要な前提知識)をとても長くしています。
結論として使うアダプターだけ知りたい場合は目次から飛んでもらえばよいのですが、恐らく分からないと思うので、じっくり読んでもらうといいかなと思います。
軽量ハイグレードタイプとノーマルタイプ
アダプターには2つのグレードがありまして、
- 上の写真が「軽量ハイグレードタイプ」
- 下の写真が「ノーマルタイプ」
になっています。
軽量ハイグレードタイプは肉抜き加工がされていたりする分、軽いです。
しかし、ノーマルタイプに比べてラインナップが少ないのが難点。
値段はさほど変わらないので、
→サイズラインナップが無ければノーマルタイプから選ぶ
とするといいでしょう。
サイズ別に使うアダプターについては、後ほど詳しく解説します。
【フレーム/フォーク】基準ローター径とは?
アダプターを選ぶ上で把握しておかなければならないのが「基準ローター径」です。
これを知っておかないと、適切なアダプターが選べません。
例えば「今160mmローターが入ってて、180mmに変更したい」とだけ言われても、そもそもフレームの基準ローター径が分かってないと何とも適切な返答ができないわけです。
基準ローター径とは、「フレーム(リア)やフォーク(フロント)に最小ローター径」とでもいいましょうか。
アダプターを介さず、ブレーキをダイレクトに付けたときの対応ローター径が「基準ローター径」です。
基準ローター径に対して、より大きいローターを付ける時にアダプターが必要になるということ。
逆に、基準ローター径より小さなローターには変えることができません。
基準ローター径が最小だからです。
例を言うならば
- 身長が低い人は、厚底の靴を履けば身長を高くすることはできる
- でも、元々身長が高い人は、それより低くすることはできない
みたいな感じ。
アダプターを選ぶときは、「フレーム側に設定された基準ローター径(身長)が何か?」を特定しなければなりません。
簡単なようで、ちょっとややこしい。
なぜかというと、現在アダプターが付いているのなら、今使ってるローター径が基準ローター径とは限らないからですね。
ダイレクトで付けたときに対応するローター径を逆算して考えなければなりません。
「身長180cmだと思っていたら、実は20cmの靴(アダプター)を履いている状態だった」
ということは、
「この人は靴(アダプター)を脱いだら、元々の身長は160cmだな!」
みたいな感じです。
最初からアダプターが付いていることがよくあるので、全てフラットな状態にしたら何か?を考えなければいけないわけですねー。
ややこしいと思うので、実際に写真を使って説明していきます。
基準ローター径160mm(ダイレクトマウント)
例えばこのクロスバイク↓
ローター径160mmに対して、ブレーキキャリパーはアダプター無しの“ダイレクト”で付いています。
ということは、このフォークの基準ローター径は「160mm」です。
もしローターを180mmに変更したいなら、
- 表の縦軸が(基準)160mm
- 横軸は(付けたいサイズ)180mm
で探し、出てくるアダプターを付ければOK。
基準ローター径180mm(ダイレクトマウント)
ではお次のMTB。↓
これは180mmローターに対して、ブレーキキャリパーが“ダイレクト”についてます。
つまり、このフォークの基準ローター径は「180mm」ということです。それ以下にはできません。
だからもし…
180mmローターを付けたいんだけど、アダプターっているよね?
なんて質問があったとしても、「現物を見ないと答えられない。基準ローター径を確認しないと分からない」という理由が分かりましたでしょうか。
例えば、このMTBならアダプターはいらないけど、ひとつ前のクロスバイク(基準160mm)なら必要ということです。
基準ローター径160mm+アダプター = 180mm
お次はこのMTB。↓
ローター径は180mmですが、よく見るとブレーキキャリパーには元々アダプターが噛ませてあります。
この“アダプター”を抜き、ダイレクトに付けたときに対応ローター径は160mmだと推測できるでしょう。(140mmはよっぽどないから)
つまり、実はこのフォークの基準ローター径は「160mm」です。
表でアダプターを探す時は、縦軸160mmで探さなければなりません。
ちなみに、この自転車の場合に出来るカスタムとしては、
ということです。
元々ポストマウント変換アダプターが付いている場合もアリ
これまで紹介したのは「ポストマウント台座のフレームに、ポストマウントキャリパーが付いている状態」のものでした。
しかし、全てがそうではありません。
完成車状態から、ポストマウント台座への変換アダプターが付いているものも多いです。
(フレーム台座がポストマウント以外の種類で、アダプターを噛ませることでポストマウントキャリパーを対応させている)
そうなると、先ほどの表とは見るものが異なります。
あくまでも「ポスト台座→ポストキャリパー」の表だからです。
別の「変換アダプター」を探さなければなりません。注意してください。
例を紹介します。
フラットマウント台座にポストマウント変換アダプター
こちらはグラベルロード。
ローター径160mmですが、ややこしいです。
フラットマウント台座に対してポストマウント変換アダプター(160mm用)を付けている状態。
元々のフラットマウントの基準ローター径は140mmです。
フラットマウントはアダプターをかませても160mm径までしか対応しません。
つまり、この自転車にできるカスタムとして考えられるのは…
【ローター径140mmにサイズダウンしたい】
- 140mm用の「フラットマウントからポストマウント」への変換アダプターに付け替え
- 新たにフラットマウントキャリパーを購入し、ダイレクトに取り付ける(今のブレーキは使わない)
【ローター径160mmのまま、フラットマウントキャリパーを購入して使いたい】
- リアフラットマウントアダプターを購入して噛ませる
※フラットマウント→ポストマウント変換アダプターについては、こちらの記事をどうぞ。
>>>フラットマウント台座からポストマウントへ【変換アダプター解説】
インターナショナルAスタンダードにポストマウント変換アダプター
こちらのMTB↓
ポストマウントのブレーキが付いていますが…
「フレーム台座はインターナショナルAスタンダード + ポストマウント変換アダプター」 を組み合わせている状態です。
フラットマウントの場合と同じように、この自転車でマウントを探す時は「インターナショナルスタンダード」側で探す必要があります。
※詳しくはこちらの記事で解説中。
>>>インターナショナルA台座からポストマウントへ【変換アダプター解説】
【フロント】ポストマウントアダプター ローターサイズ別解説
ようやく前置きが終わりました。(笑)
ここから、ポストマウントアダプターのサイズ別解説を行っていきます。
基準ローター径140mmのフォークに160mmローターを付ける
軽量ハイグレードタイプ:ISMMA90F180PPC
ノーマルタイプ:ESMMAF180PP2
基準ローター径160mmのフォークに180/203mmローターを付ける
180mm軽量ハイグレードタイプ:ISMMA90F180PPC
180mmノーマルタイプ:ESMMAF180PP2
203mm軽量ハイグレードタイプ:なし
203mmノーマルタイプ:ISMMAF203PPA
基準ローター径180mmのフォークに203/220mmローターを付ける
203mm軽量ハイグレードタイプ:ISMMA90F203PPM
203mmノーマルタイプ:ESMMAF203PPMA
220mm軽量ハイグレードタイプ:なし
220mmノーマルタイプ:ESMMAF220PPM
基準ローター径203mmのフォークに220mmローターを付ける
軽量ハイグレードタイプ:なし
ノーマルタイプ:ESMMAF220PPL2
【リア】ポストマウントアダプター ローターサイズ別解説
次はリア側です。
基準ローター径140mmのフレームに160mmローターを付ける
軽量ハイグレードタイプ:ISMMA90F180PPC
ノーマルタイプ:ESMMAF180PP2A
基準ローター径160mmのフレームに180/203mmローターを付ける
180mm軽量ハイグレードタイプ:ISMMA90F180PPC
180mmノーマルタイプ:ESMMAF180PP2A
203mm軽量ハイグレードタイプ:なし
203mmノーマルタイプ:ISMMAF203PPA
基準ローター径180mmのフレームに203/220mmローターを付ける
203mm軽量ハイグレードタイプ:ISMMA90F203PPM
203mmノーマルタイプ:ESMMAF203PPMA
220mm軽量ハイグレードタイプ:なし
220mmノーマルタイプ:ESMMAF220PPM
基準ローター径203mmのフレームに220mmローターを付ける
軽量ハイグレードタイプ:なし
ノーマルタイプ:ESMMAF220PPL2
まとめ
最後に、本記事の要点をまとめます。
【ポストマウントのローター径の変更に使うアダプター解説】
- フォーク/フレーム側に設定された「基準ローター径」を確認すること
- 基準ローター径&使いたいローター径に応じてに、アダプターが変わる
- 今付いているブレーキがポストマウントでも、元々がポスト台座とは限らない
- わりとややこしいので、分からなければお店の人に聞いてみるといいと思う
というわけで、以上です。
ご覧いただきありがとうございました!