- ロードバイクのバーテープを自分で交換したい
- キレイに巻ける方法を知りたい
こんな悩みを解決します。
【この記事で分かること】
- 整備士が教えるバーテープの巻き方
- キレイに巻くためのコツ
- 初心者が練習用として選ぶべきバーテープ
自転車整備士を持ち、仕事として何百台?とバーテープを巻いてきた経験を持つ私が解説します。
「バーテープの巻き方が知りたい…」とお悩みではありませんか。
バーテープは一言でいえば“巻くだけ”ですが、キレイに巻くのは意外と難しいものです。自分でやると汚くなってしまいがち。
本記事では、レバー付近の巻き方を2種類解説しつつ、キレイに巻く方法をお教えします。
これを読んだらお店に巻いてもらう必要はなくなりますよ。参考にどうぞ。
用意するアイテム
巻き方を解説する前に、下記のアイテムを手元に用意してください。
バーテープを巻き始めると動けなくなるため、自分の近くに置いておきましょう。
セロハンテープはバーテープの巻き終わりで使います。20cm程度に切った上で、手に届く範囲に用意してください。
※ビニールテープでも可ですが、ベトベトしてくるので私はセロハン派です。
また「ビニールテープ」は、アウターケーブルを固定する際に使うことがあります。
詳しくはのちほど「事前準備」の項目で説明します。
【画像41枚】整備士が解説!ロードバイクのバーテープの巻き方
バーテープを巻き終わるまでの手順は、下記の4ステップです。
各シーンでそれぞれ重要なポイントを含みます。“ただ巻くだけ”ではありません。
画面をスクロールしつつ、ゆっくりと作業を進めていきましょう。
事前準備
バーテープを巻き始める前に、下記3つの事前準備を済ませてください。
ブラケットカバーをめくる
STIレバーのブラケットカバーを、↑写真のようにめくってください。
強い素材ですので、強く引っ張っても簡単に破れはしません。
※補足:ブラケットカバーも消耗品。傷みがあれば交換しましょう。
古いバーテープを剥がす
次に古いバーテープを剥がします。上ハンドル側からクルクルとほどきましょう。
跡(粘着テープ、バーテープのカス)が残ってしまったら、パーツクリーナーやテープ剥がしなどを吹きかけながら、綺麗にすると良いです。
キレイにゴミを除去するのが理想的ですが、多少残っていても握り心地に問題はありません。
アウターケーブルがハンドルに固定されているか確認
バーテープをはがすとアウターケーブルが顔を出します。
↑上の写真のように、ハンドルにピタッと沿っていない場合はビニールテープで巻きましょう。
※沿っている場合は作業不要。
100均に売っているような安いビニールテープでOK。↑のように巻いていきます。
アウターケーブルを手で押さえ、ハンドルに沿わせつつ、テープにテンションを掛けながら巻き付けていきます。
ビニールテープは見た目に影響しません。ケーブルを止めることが目的。ザックリで十分です。
下ハンドルを巻く
いよいよ巻き始めていきます。
下ハンドル→上ハンドルの順番です。
巻き始め(スタート地点)をキレイにする
まず、バーテープの粘着面を出します。
一気に全部めくってもいいですし、少しずつめくっていってもOK。好みです。
※全部めくる時は、ゴミが付着しないよう注意。
(※やり方様々ありますが)巻き始めはこんな形にしています。何度も巻いてきて「一番きれいに仕上がるな」と思った形です。バーテープ巻きには色々な流派があります。
巻き始め部分の作り方です。
先端をハンドルの真下にセットした状態でぐるりと一周させます。
巻く方向はハンドルの左右共に内回転。下ハンを握った時に“親指”の方に巻きます。
ただし「はみ出し量」はテープの厚みとバーエンドキャップの種類によって異なります。理由を以下で説明しますね。
バーエンドキャップの取り付けは最初がオススメ
私(の店)の場合、1-2周巻けた段階で先にバーエンドキャップを取り付けます。
数々の失敗経験からです…(笑)
え?一番最初に取り付けるの?
説明書や、他の人は「最後」って言ってたけど…?
と思った方もいるでしょう。
最初にバーエンドキャップを取り付ける理由は、バーテープのはみ出し量によってキャップが入らないことがあるからです。
巻き終わった後キャップを入れた時、万が一入らなかったら大変です。全部ほどいて巻き直し。その失敗をなくすために“先”にキャップを付けておきます。失敗経験から学びました。
はみ出し量は「テープの厚み」「キャップの種類」で変わる
なぜ「キャップが入らない…」となるかというと、テープの厚みやキャップの種類が異なるからです。モノを見てはみ出し量を考慮する必要があります。経験しないと分かりません。
エンドキャップは主に2種類
エンドキャップは主に2種類あります。細かい違いはさらにあります。
- 圧入式:手で押し込むだけのタイプ
- ネジ式:ボルトを締めこむと中で広がり、固定するタイプ。
はみ出し量をよりシビアに考えるのが「圧入式」です。キャップの径は決まっているので、緩くても、キツすぎても調整が効きません。
「ネジ式」の方が気楽です。簡単。はみ出し量に合わせてキャップ側の締め具合を変えれば調整が効くからです。
↑例えばこちらは「圧入式:ゴムひだ多め」です。
ゴムのひだが多いキャップははみ出し量は少なめにします。でないとキツくて入らないケースが多いからです。
ただし「少な目」と言っても、厚みによって変わるのが難しいところ。
生地の薄いバーテープなら、ある程度はみ出し量を取っておかないと、スカスカになってしまいます。
↑次にこちら。「圧入式:ゴムひだ無し」です。よく見る形かなと思います。
このエンドキャップの場合、はみ出し量は多めです。キャップ自体が小さめなので、その隙間を埋める必要があるからです。
自転車を見るとバーエンドキャップが取れているものがあります。走行時にポロンと取れるのは、おそらくはみ出し量が足りていません。
↑最後にこちらが「ねじ式」です。比較的高級なバーテープに付属します。単体でも購入可。
ボルトを締めることによってエンドキャップの胴体部分が広がり、ハンドル内で固定されます。
はみ出し量に関わらず固定できるので凄く楽です。このタイプが一番好き。はみ出しは小~中程度でOK。
…というように、正直経験がないとはみ出し量の調整は難しいと思います。
だからこそ初心者の場合は、キャップの取り付けを「最初」に行いましょう。
はみ出し量がミスってても、すぐ再調整可能ですから。
バーテープを巻く“角度”と“幅”を意識
バーエンドキャップを固定出来たら、下ハンドル(STIまで)を巻き付けていきます。ポイントは3つ。
- 一定の角度
- 一定の幅
- 一定の張り具合
幅は「粘着テープがハンドルに付くくらい」を目安にするといいです。
※一概には言えませんが。
幅を広く取りすぎると、バーテープが巻けていないところ(ハンドルが見えている)が出やすいので注意です。かといって詰めすぎると長さが足りなくなります。
最後に気づくと最悪です…(笑)
STIレバーの手前まで巻けたら一旦休憩。
そこまでしっかり巻けているか再度確認です。
私たちの場合は見た目が悪いと失格です。お客様に渡せません。間隔が合わない時は一度緩めて再調整をします。
ただ「とりあえず巻くだけ」を目指す初心者の方はどちらでもいいです。細かい所を求めすぎると、多分巻き終われないので。(笑)
シフトレバー付近(8の字巻きのやり方)
難所である「レバー付近の巻き方」を解説します。やり方は2パターン。
- 付属の目隠しテープを使うやり方
- 目隠しテープを使わず8の字巻きするやり方
どちらでも構いません。
目隠しテープが付属しないバーテープもあります。
8の字巻きのやり方(目隠しテープなし)
0.5巻き分の隙間を残した上で(無くてもいいです)、写真のように「シフトレバー方向」へ巻き付けてください。
ぐるっと一周させます。
ハンドルの下側にくぐらせます。
逆から見るとこんな感じ。
そのまま次は、シフトレバーの下側をくぐります。
「0.5巻き分の隙間」を残していたのは、↓のようにするためです。最後に1巻分が追加されるから。
隙間が無いと、この一か所だけ巻く間隔が狭くなってしまってカッコ悪いです。
これで8の字巻きの説明が終了です。
次に目隠しテープでのやり方を解説します。
シフトレバー付近(目隠しテープを使うやり方)
バーテープの箱の中に、10cm程度にカットされたバーテープが入っていることもあります。「目隠しテープ」といいます。
シフトレバーのバンド部が見えるのを防ぐためのものです。
8の字巻きでは「8の字」に巻くので複雑ですが、目隠しテープを使えばより簡単です。下ハンドルから巻いてきた流れで上ハンドルまで続けるだけですので。
目隠しテープを使ったやり方
下ハンドルを巻くまでの手順は一緒です。
シフトレバー部まで巻けたら、目隠しテープをこのようにセットしてください。
8の字巻きのように複雑な動きはせず、回転方向を変えないまま、目隠しテープを一緒に巻き付けていきます。
この巻き方をするとレバーのバンド部にバーテープが巻けませんから、それを隠すために「目隠しテープ」を挟み込むのです。中のハンドルが見えなければOK。
上ハンドル側まで巻けたなら、もう難所はクリアです。続けて巻くだけ。
上ハンドルを巻く
バーテープの位置がこのようになったら、あとは上ハンドルに巻きつけるだけです。
回転方向は「ハンドル内側→外側」です。
自分がハンドル前方に立っているので、テープを「奥へ奥へ」巻いていく方向ですね。
最後まで気を抜かず、「一定の角度、一定の幅、一定の張り」を意識して丁寧に巻きます。
ハンドルがカーブするところは、しっかりバーテープが重なっているかチェックしましょう。重なりが浅いといずれめくれます。
↑ステムに沿って3本指(目安)を置いた位置までバーテープが巻けたら、いよいよ締めに入ります。
私はまず余分なバーテープを一旦真横にカットします。
この時、ハンドルの真下で切り落とすと、末端が目立たなくて綺麗です。
立ち位置を変えて、ハンドル後方(サドル側)に立ってください。
(その方が分かりやすいから)
バーテープの巻き終わりを“真っ直ぐ”にするため、斜めに切る必要があります。
まずは切る“角度”を確認します。確認だけ。
バーテープの角度は変えずに、ハサミを「ステムと平行」になるよう当てましょう。
それがカットするラインです。
どこまでカットするかは、写真の「ハサミの先端部分」つまり、アウターケーブルに被さるくらいの位置がいいでしょう。目立たなくて綺麗だからです。
しかし、このままでは短くて切りにくいので一巻き分戻します。
左手でつまんでいる位置が、切り落とす位置です。
再確認すると、アウターケーブルに被さるくらいの位置ですね。
つまんでいたポイントに向かって、確認した角度でカットします。
切れました。このように斜めに切るのが正解です。
初心者の方だと「真横に切っただけ」で終わる方がいますが、それだと見た目が非常にダサくなります。テープが浮くんですよね。
あとは、これまで巻いてきた角度に合わせてラスト一巻き。
ステムと平行に、しかもバーテープの角度や間隔を崩さずに、巻き終わるときれいです。
バーテープが緩まないよう片手で押さえつつ、近くに用意したセロハンテープを巻きます。
ピンピンにテンションを掛けて貼り付けてください。
最後に付属の化粧(フィニッシュ)テープを巻いて終了です。
テープの末端がハンドル下部にくるようにすると、より美しいです。
「ただ巻くだけ」ですけど、意識することだらけです。差が出まくります。
巻き終わりがコチラ。
反対側も同じ手順で巻いていきます。
ただし、巻き始めの方向が逆になるので注意してください。
- ハンドル内側に巻く
- 下ハンを握った時に親指側に巻く
これを確認すれば間違えません。
お疲れ様でした。
【初心者向け】巻きやすいおすすめのバーテープ
バーテープによって「巻きやすい」「巻きにくい」があります。
- 柔らかくて伸びやすいテープ:巻きやすくて初心者向け
- 硬くて伸びにくいテープ:シワができやすく難しい
はじめて巻くなら「巻きやすさ」で選ぶと練習しやすいと思います。
実際に自分が巻いた経験から、初心者にお勧めできる巻きやすいバーテープを紹介します。
とりあえず練習用バーテープ
↑値段×巻きやすさで選ぶなら、OGKのコルクバーテープがおすすめです。
失敗しても痛くない価格。友達にも勧めました。
↑個人的に超巻きやすくて好きなのがシクロベーションのバーテープ。
ちょっと高めですが、デザイン性良し、握り心地良しです。
選択肢が多すぎると迷うと思うので、あえて絞りました。
何でもいいならまずOGKのコルクバーテープで練習して、キレイに巻けるようになったら、次はデザインで選ぶといいのではないでしょうか。
初心者にとって難しいバーテープ
あくまでも個人的に…という注釈を加えますが、おそらく初心者が巻くのは難しいバーテープが下記です。
硬いバーテープは角度や幅を適切にしないと、シワが取れせん。引っ張れば伸びるような素材ではないからです。これは慣れている私でも苦戦します。だから、初心者がいきなりはキツいかなと。
「2色巻き」が難しい理由は、ちょうどSTIレバーのところで色が変わるよう巻きを調整しないといけないからです。例えば下ハンで幅が狭いと、中途半端な位置で上ハンのデザインが始まります。中でも[硬いバーテープ×2色巻き]の組み合わせは、上級者向けです。
- 単色
- 伸びやすく巻きやすい素材
これが初心者にとってオススメのバーテープです。
【補足】アウターケーブルの劣化をチェック
バーテープを巻く際は、同時に「アウターケーブルの劣化」もチェックしてください。アウターケーブルの交換は、バーテープを剝がさないと行えないからです。
もし劣化しているなら、このタイミングが最適。
いずれかに引っかかるのであれば、そろそろ交換した方がいいですね。
さいごに
本記事では、私の経験をもとに大切なポイントをお話ししてきました。
これら情報を知ってから作業するか、知らずに作業するかでは、出来上がりに大きな差が出来るでしょう。
ただ、1回巻いただけでキレイに巻けないのは当然です。気にしなくてOK。
私もキレイに巻けるようになるまで20回以上は練習が必要でした。お客さんの目の前で盛大にミスり、先輩社員に代わってもらった経験もあります。
少しでもお役に立てばと思います。ご覧いただきありがとうございました。
「ん…テープの方向が自分と違うぞ?」となった場合、おそらく最初からの巻く方向が反対です。あらたてめ巻くのは内方向。下ハンを握った時の親指側へと巻きます。