
ディスクブレーキタイプの自転車(ロード・クロス・マウンテンなど)に乗ってるんだけど、使う上で知っておかなければいけない注意点ってあるの?
もしあれば教えてほしいんだけど。
こんな方にオススメの記事です。
マウンテンバイクだけでなく、近年はロードバイクやクロスバイクなど多くの自転車に使われるようになったディスクブレーキ。
主要メーカーもリムブレーキからディスクブレーキタイプへ次々と移行を進めています。
そんな広く普及しつつあるディスクブレーキですが、実はリムブレーキに比べて取り扱い上の注意点が多くあります。
知らずによくない行動をとってしまうと、ブレーキの音鳴りやブレーキが一時的に使えなくなるといった症状を招いてしまいかねません。
この記事で紹介する注意点を参考に「ディスクブレーキ搭載車の正しい取り扱い方法」を学んでみてくださいね。
- ディスクブレーキの取り扱いで絶対にやってはいけないことと理由
⇒正しい取り扱い方法の説明
ディスクブレーキの取り扱いで最も注意すること
初めにディスクブレーキを使う上で最も注意しなければいけないことをお伝えします。
それは「油の付着」です。
油がディスクローターやブレーキパッドに付着すると大変です。
大きな音鳴りがするようになるだけでなく、制動力がガタ落ちします。
ほとんど効かなくなるといってもいいでしょう。
もしパッドに油がついてしまったら、基本的には新品に交換しない限り制動力は戻りません。
それだけ注意しなければいけない「油の付着」ですが、無意識のうちに危険な行動をしてしまっていることもよくあります。
そこで以下では
- 油の付着を招く危険な行動
をメインに、
- その他のディスクブレーキ取り扱い注意点
について紹介していきます。
油圧式・機械式ディスクブレーキ共通の注意点
油圧式・機械式とは ~ディスクブレーキの種類~
ディスクブレーキには2種類あります。
- ワイヤーを引っ張ることでパッドを動かし、ディスクローターを挟む「機械式ディスクブレーキ」
- オイル(油)の圧力を使ってパッドを押し出し、ディスクローターを挟む「油圧式ディスクブレーキ」
どちらのタイプかを見分けるのは簡単です。
(出典:https://www.cyclespot.net/blog/mishima-blog)
機械式(ワイヤー)ディスクの場合は写真の位置にワイヤーが見えています。
油圧式ディスクの場合は何も見えていません。
この違いでどちらのタイプかを確認することができます。
まずは、機械式ディスク・油圧式ディスク【共通の注意点】について紹介します。
注意点①:素手で触らないこと
ディスクローターを素手で触るのはやめましょう。
理由は2つあります。
- 皮脂がついてしまうから
- ブレーキ直後は熱くてやけどするから
人間の指には油が付着しています。
そのわずかな油分でさえディスクブレーキにとっては大敵で、前述したようなトラブルの原因になりかねません。
触る時はなるべく新品で使い捨てのゴム手袋をするか、しっかりと手を洗った後になるべくローターの面を触らないようにして作業をしましょう。
また、やけどの恐れもあるためローターを触るのは停車後十分に時間をおいてからにしましょう。
自転車とはいえディスクブレーキの温度は最大で400度にも達するんですよ。
以上の二点から素手で触るのは注意が必要です。
注意点②:スプレータイプのチェーン油は使わないこと
自転車のチェーン油には2種類あります。
- スプレータイプ(噴射型)
- リキッドタイプ(液体型)
このうち、スプレータイプを使うのは絶対にやめるべき。
飛び散った油がディスクローターに付着する可能性が高いからです。
スプレータイプのチェーン油は楽に使える反面、的確な場所に塗布できないというデメリットがあります。
どれだけ注意して使ったとしても、チェーン以外にも飛散してしまうものです。
そのため、ディスクブレーキ車をお使いの方はリキッドタイプでの注油をオススメします。
スプレータイプに比べて時間はかかりますが、1滴1滴垂らすことができるので飛び散ることはありません。
注意点③:掃除の際には絶対に油分を移さないこと
ディスクローター本体、あるいは付近を掃除する時には最大限の注意が必要です。
よくあるシーン別に紹介します。
チェーン周りを掃除する時は・・・
黒ずんだチェーンやスプロケットなどの駆動系パーツを掃除する時、皆さんはどのようにして洗浄していますか?
恐らく多くの方がチェーンクリーナーやパーツクリーナーなどスプレータイプの洗浄剤を使っていると思います。
でもこの行為、実はとっても危険。
理由は油が飛散する危険性があるからです。
チェーンの注油にスプレータイプを使ってはいけないのと同じ理由ですね。
ですからディスクブレーキ車のチェーン周りを掃除する時は、あらかじめウエスに洗浄剤を付けてから拭き取るようにしたほうがいいです。
あるいは、スプレーの飛散を最大限抑えるためにウエスで飛散を防止した上で、弱く優しく吹きかけるようにしましょう。
または、液体タイプのディグリーザーを使って直接刷毛で塗りこむのもオススメです。
フレームを掃除する時は・・・
ディスク近くの掃除をするときは油分を移してしまわないよう注意してください。
私は自転車の掃除にはワコーズのフォーミングマルチを使っておりますが、この商品は泡の力で汚れを押し出し、拭き取るだけで綺麗になるという優れものです。
しかし、ディスク以外の場所で浮き出た汚れを含んだ泡が垂れ落ち、パッドに油分が付着する可能性があります。
他の洗浄剤でも同じことが言えます。
ディスクローター・パッドを直接掃除しない時も、他から汚れが移ってしまう可能性がないか注意しながら作業をしましょう。
ディスクローターを掃除する時は・・・
よくやってしまいがちな失敗として、他の場所を掃除したウエスでローターを掃除してしまうことがあります。
既に掃除に使用したウエスは少なからず油分が付着しているでしょうから、その状態でローターを拭くのは厳禁。
キレイにするどころか、むしろ汚してしまいます。
ディスクローターを掃除する時は、必ず新品のウエスを使うようにしましょう。
ウエスがなければ、キッチンペーパーでも代用できますよ。
油分の付着を回避するには
これらの作業でディスク部分に油を付着させない最も効果的な方法は「ホイールを外して作業すること」です。
ちょっと面倒なように思いますが、いろいろ気を使いながら作業するよりホイールを外してしまった方が楽で早かったりします。
ディスクに大敵な油分が付着しないよう、最大限気を付けて作業をしてみてくださいね。
ただ油圧式ディスクの場合はホイールを外した時に注意点があるので、それについては以下で紹介したいと思います。
油圧式ディスクブレーキの注意点
続いて紹介するのは「油圧式ディスクブレーキ」における注意点です。
機械式をお使いの方は気にする必要はありません。
油圧式は機械式に比べて扱いがよりデリケートになりますので、油圧特有の注意点を抑えて失敗しないようにしましょう。
注意点①:ホイールを外したら必ずスペーサーを挿入すること
油圧式ディスクでホイールを外したときは、パッドの隙間にスペーサーを挿入しておきましょう。
こういうアイテムです。
スペーサーを入れ忘れた状態でブレーキレバーを握ってしまうと、パッドがガッチリ合わさって開かなくなります。
パッド間の隙間がなくなってしまうので、当然ホイールを装着することもできなくなります。
(その原理についてはワイズロードさんの記事がとても参考になるので、気になる方は見てみてください。)
元に戻すためには力ずくでこじ開けるか、どうにも無理なら油の入れ替えをしなければならず、どちらにしても大変な作業です。
「ホイールを外したらスペーサーを入れる!」
これを習慣にして忘れないようにしましょう。
注意点②:自転車を逆さまにしないこと
油圧式ディスクの場合、自転車を逆さまにするのはあまりよくありません。
エアーがピストン部に混入してブレーキングがスカスカになる恐れがあるからです。
(こちらもワイズロードさんの記事が参考になります)
油の入れ替え以外直す方法がありませんので、基本的に自転車は通常の向きで保管するようにしましょう。
まとめ
これまでに紹介した注意点をまとめるとこのようになります。
- 素手で触らないこと
- スプレータイプのチェーン油は使わないこと
- 掃除の際は他の場所から油分を移さないこと
⇒ディスクブレーキで最も注意することは「油分の付着」
【油圧式特有の注意点】
- ホイールを外したら必ずスペーサーを挿入すること
- 自転車を逆さまにしないこと
以上の注意点を守り、失敗しないように心がけてみてくださいね。
ご覧いただきありがとうございました。