
「自転車で旅に出かけてみたいなー!」と思ってるんだけどさ、実はまだ自転車本体も、荷物も、何もない状態なんだよね。
旅に出発できるようになるまでに必要な情報を、手取り足取り教えてほしいな。
こんな方にオススメです。
「自転車旅の始め方ロードマップ」ということで、旅に出発するまでに必要な情報を7つの記事で紹介していきます。
本記事は2つ目の記事になります。
【①】思い描く「自転車旅」を具体化する
【②】荷物の積載スタイルを決める
【③】旅に使う“自転車本体”の選び方
【④】荷物を積載するための土台を作る
【⑤】自転車旅に必要な持ち物って?
【⑥】自転車旅のルートを作成する
【⑦】出発までにやっておきたいこと
「まだ自転車を持っていない。ただ自転車旅をしたい気持ちだけある!」という方は、前の記事から順にご覧ください。
全て読み通すことで、「自転車旅を始めるには何が必要か?何をしたらいいのか?」が分かるようになります。

1記事目に続き、2記事目のこちらでも「旅に使う自転車選びの前準備」を進めていきます。
前回の記事では「自転車旅のイメージを具体化」してもらいました。
それを元に「どのようなスタイルで旅をするか」を本記事で考えていただきます。
ではご覧ください。
荷物の積載スタイルを決める
荷物を自転車に積載する方法は、主に2つのスタイルがあります。
- バイクパッキングスタイル
- パニアバッグスタイル
あなたの荷物の量・旅のスケールに応じた、最適な積載スタイルを選びましょう。
詳しく解説します。
バイクパッキングスタイル
「バイクパッキングスタイル」とは、自転車に専用のバッグをいくつか取り付け、荷物を運んで旅をする方法です。
次に紹介する「パニアバッグスタイル」とは違い、荷物を載せるための「荷台」を必要としません。
バッグを直接フレームに取り付けて、荷物を運びます。
メリット
バイクパッキングスタイルのメリットは2つあります。
✓どんな自転車でも、一瞬でツーリング仕様にできること
普段はサイクリングに使う自転車でも、通勤・通学に使っている自転車でも、旅に出るとなったらすぐにツーリング仕様にすることができます。
バイクパッキングはフレームにバックを紐で取り付けるだけなので、着脱がとっても簡単。
旅が終われば、外して普段の仕様に戻すのも楽チンです。
✓荷台を使わない分、総重量が軽くなること
どんな自転車にしろ、軽さは正義です。
バイクパッキングスタイルは荷台を使わないので、その分パニアバッグスタイルに比べて軽いです。
荷物が軽ければ軽いほど、走りに与える影響も少なくて済みます。
デメリット
一方で、バイクパッキングスタイルのデメリットは3つあります。
✓荷台を使わない分、耐荷重が小さい
バイクパッキングで使うバッグは、紐でフレームへ固定するだけです。
言い換えれば、「バッグがぶら下がっているだけ」の状態ということ。
積載した荷物の重さは全て紐が受けことになるので、あまり重いものを載せることはできません。
バッグが壊れてしまいます。
✓パニアバッグスタイルに比べ、積載容量が少ない
バイクパッキングで使うバッグ一つ一つは、それほど大きくありません。
ですので、かさばるものは持ち運びづらいという欠点があります。
持っていくものを極限まで減らし、厳選しないと、荷物が入りきらないこともしばしば。
必須アイテム以外の「あったら便利だよな~」というアイテムは余分になり、持っていくことができない(入らない)と考えてもらった方がいいです。
✓パニアバッグスタイルと比べて、アイテムを揃えるのにお金がかかる
バイクパッキングで使うバッグ自体も、決して安くはありません。
例えば、基本となるこれら3つのバッグの値段を見てみましょう。
- サドルバッグ
- フレームバッグ
- フロントバッグcreated by Rinkerオルトリーブ(ORTLIEB)
ザッと、5万円弱です。

いやいや、これはあえて「質の良い価格の高い商品」だけを紹介してるよね?
もっと安いのあるじゃん!
確かに、上記で紹介したアイテムはどれも一級品です。値段も高いです。
でも、バイクパッキングをするなら、バッグにお金をかけないと絶対に後悔しますよ。
手頃なバッグというのは、品質もそれなりです。
耐久性が低かったり、防水機能が無かったり、使いづらかったりします。
・・・と、実は私自身の体験談なのです。
私も「ライトなツーリングがしたいなー」と、上記3点を手頃なアイテムでそろえたことがありました。
それほど使う頻度が高いわけじゃなかったので、それでいいやと思ったのです。
でも、結果的に後悔しました。
一回使っただけで穴は開くし、紐はほどけるし、中身は濡れるし(防水製品を選んだにもかかわらず)、最悪だったんです。
だから、バイクパッキングを始める方は、一流装備を買うようにしましょう。
装備一式約5万円はみておいた方が良いです。
そしてもう一点。
お金が掛かるのは、何もパッキングするためのバッグだけではありません。
持ち運ぶアイテム選びにもお金がかかります。
なぜかというと、バイクパッキングは積載できる容量が限られていますよね。
だから、「軽量・コンパクト」な商品を選ばないと、バッグに入らないのです。
そして、アイテムに「軽量・コンパクトさ」を求めると、それに比例して価格が上がります。
だから、アイテムを揃えるのにとーってもお金がかかる。
バイクパッキングでキャンプツーリングをしようと思ってる方は、特に注意してください。
パニアバッグスタイル
次に説明するのが、パニアバッグスタイルについてです。
パニアバッグスタイルとは、自転車の荷台に取り付ける「パニアバッグ」を使って、荷物を運んで旅をする方法です。
バイクパッキングスタイルとは異なり、バッグを取り付けるための「荷台」の用意が必須条件となります。
メリット
パニアバッグスタイルのメリットは3つあります。
✓荷台を使うため、耐荷重が大きい
使う荷台にもよりますが、荷物を10-20kg載せても大丈夫です。
実際私が日本一周をした時には、後ろに約25kg、前に約15kg載せて走っていました。
「荷台」という支えがあるので、荷物を載せてもガッチリしています。
✓バイクパッキングに比べて、積載容量が多い
パニアバッグは基本的に左右セットで使うものですが、そのセットで約40Lもの積載容量があります。
ちょっと大きめのリュックサック2つ分くらいをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
バッグの口は大きいので、かさばるものでも持ち運べますし、バッグに入りきらないものなら、荷台にくくり付けることだってできます。
バイクパッキングほど持ち物を厳選しなくてよいので、持っていくアイテム選びに融通が利きます。
✓バイクパッキングに比べて、アイテムを揃えるのにお金がかからない
パニアバッグスタイルを運用するためには、最低限これら二つのアイテムが必要です。
参考価格と一緒に、確認してみましょう。
二つ合わせて1万5000円もあればおつりが来ちゃうんです。
バイクパッキングスタイルは初期費用に最低でも5万円弱もかかるので、価格の差は歴然ですよね。
もちろん、参考価格としてチョイスしたこれらの商品も一流品です。条件は同じ。
費用対積載量のコストパフォーマンスも抜群です。
持ち運ぶアイテム選びも、バイクパッキングほど慎重になる必要はありません。
必ずしも「軽量・コンパクトだけど値が張るもの」でなくてもバッグに入れることができるので、「ちょっと嵩張るけど手ごろなアイテム」も選択肢として考えることができますよ。
デメリット
一方で、パニアバッグスタイルのデメリットがこちら。
詳しく解説します。
✓荷台を取り付けるため、着脱が少し面倒
パニアバッグ自体の着脱は一瞬ですが、荷台の着脱に少し手間がかかります。
固定しているボルトを緩め、荷台を外す必要があるので、バイクパッキングほどスピーディーにはいきません。工具も必要です。
✓そもそも、荷台を取り付けられる自転車が限られる
パニアバッグスタイル最大のデメリットが「自転車を選ぶ」ということ。
バイクパッキングスタイルとは異なり、「どんな自転車でもOK」というわけにはいきません。
「ダボ穴」や「ブレーキ台座」といった“荷台を取り付けるための構造”が、自転車のフレーム側に必要です。
だから、前回の記事・本記事を通して、「旅に使う自転車選びをするために、あなたに合った最適な自転車は何か」を洗い出しているところです。
- 1記事目では荷物の量・旅の規模をイメージしました
- 2記事目(本記事)では、あなたにあった“積載スタイル”を決めているところです
「パニアバッグを使って旅がしたい!」というのに、荷台が付けられない自転車を購入してしまってはいけませんからね。
「バイクパッキング」「パニアバッグ」どっちにする?
改めてそれぞれの特徴を確認した上で、「どんな自転車旅をしたい人にオススメなのか?」を紹介します。
それを参考に、「バイクパッキング」「パニアバッグ」どちらの自転車旅のスタイルにするかを決めてみてください。
バイクパッキングスタイルの旅はこんな方にオススメ
【バイクパッキングスタイルの特徴】
- メリット
- どんな自転車でも、一瞬でツーリング仕様にできること
- 荷台を使わない分、総重量が軽くなること
- デメリット
- 荷台を使わない分、耐荷重が小さい
- パニアバッグスタイルに比べ、積載容量が少ない
- パニアバッグスタイルと比べて、アイテムを揃えるのにお金がかかる
- メリット

バイクパッキングスタイルの旅は、こんな方にオススメです!
- ロングライド感覚で気軽に旅を始めてみたい方
- 1泊2日、2泊3日程度の「プチツーリング」を楽しむ方
- なるべく荷物を少なくして、スピード感のある旅をしたい方
- お金に余裕がある方
- 夏しかキャンプツーリングをしない方(冬は荷物が多くなるので)
パニアバッグスタイルの旅はこんな方にオススメ
【パニアバッグスタイルの特徴】
- メリット
- 荷台を使うため、耐荷重が大きい
- バイクパッキングに比べて、積載容量が多い
- バイクパッキングに比べて、アイテムを揃えるのにお金がかからない
- デメリット
- 荷台を取り付けるため、着脱が少し面倒
- そもそも、荷台を取り付けられる自転車が限られる
- メリット

パニアバッグスタイルの旅は、こんな方にオススメです!
- 本格的な自転車旅を始めたい方
- 好きなものを好きなだけ積んでロマンに溢れる旅をしたい方
- テント、自炊・・・など荷物が多い方
- あまりお金が掛けられない方(学生とか)
- 夏以外もキャンプツーリングを考えている方(寒い時期は荷物が多くなるため)
- もちろん、バイクパッキング程度しかない荷物の量でもOK!
大は小を兼ねます。
リュックを背負うのはオススメしません
もしかすると、自転車旅を始めようとしている方の中には、こんな風に思っている方もいるのではないでしょうか。

装備揃えるだけでも意外と初期費用が掛かるんだな~。
あっ、そういえば押し入れにリュックがあったはず。
最悪リュックでも背負って旅に行けばいいか!
お金に余裕のない学生がやりがちです。
リュックで荷物を背負って自転車旅をするのは、絶対にオススメしません。
理由は、「乗り手(自分)に対しての負担が大きすぎるから」です。
背負った荷物により、体の3つの部分に対して非常にダメージになります。
- リュックを支えている「肩」
- 荷重を受けるお「尻」
- 荷重を受ける「手のひら」
自転車って、長時間漕ぎ続けますよね。
100km走るんだったら、5時間は必要でしょう。
その間ずーっとリュックを背負ってたら、体のいたるところが悲鳴を上げるのは当然です。
リュックを背負った結果、「痛みに限界がきて目的地にたどり着けなかった」なんてことになりかねません。
“リュックは背負わず、荷物の加重は自転車に預ける”
これが自転車旅における鉄則です。
どうしてもお金がないというんだったら、せめて3-4000円で購入できる荷台だけは用意しましょう。
リュックやエナメルバッグに荷物を詰めて、紐でくくれば旅に出られます。
まとめ
これまでの2記事を通してやっていただきたいことをまとめます。
- 【自転車旅の始め方ロードマップ①】思い描く「自転車旅」を具体化する
⇒「どんな自転車旅がしたいか」をより具体的にし、必要になる荷物の量と旅の規模を考える - 【自転車旅の始め方ロードマップ②】荷物の積載スタイルを決める
⇒①で思い浮かべたイメージを元に、「バイクパッキングスタイル」「パニアバッグスタイル」のどちらで自転車旅をするか考える
2記事を通して、あなたの中でぼんやりしていた「自転車旅」が、より具体的にイメージできるようになったのではないでしょうか。
旅で使う自転車を選ぶための前準備は、これにて終了です。
次の記事へ
3つ目となる次の記事では、いよいよ「旅で使う自転車の選び方」を解説していきます。
あなたはどちらのスタイルで旅を始めますか?
バイクパッキングスタイル?
それとも、パニアバッグスタイル?
それを決められた方から、3記事目をご覧ください。
ご覧いただきありがとうございました。